仮想通貨のための言論の自由
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)CEOは10月31日、米CNBCの金融番組Squawk Boxのインタビューで、イーロン・マスク氏のツイッター買収に740億円(5億ドル)を出資した理由について語った。
"We want to make sure that #crypto has a seat at the table when it comes to free speech," says @cz_binance on @binance investing $500M into @elonmusk's purchase of @twitter. "We want to help bring @twitter into Web3 when they're ready." pic.twitter.com/BmbWJqXvul
— Squawk Box (@SquawkCNBC) October 31, 2022
言論の自由に関して言えば、仮想通貨に席が用意されていることを確かなものにしたいし、ツイッターの準備ができた時に、Web3への参入を支援したい。
CZ氏はツイッター買収を支援した主な理由として、1)ツイッターが世界規模の言論の自由のためのプラットフォームであること、2)有能な起業家を支援したいこと、3)自身がツイッターのヘビーユーザーであること、4)仮想通貨のための言論の自由が確保されることを挙げた。
また戦略的な意味では、ツイッターによるWeb3の導入の支援もあると付け加えた。さらに、会員制の課金など当面の直接的な課題は、仮想通貨を支払い手段として活用することで、グローバルに簡単に解決できるとコメント。問題解決について支援も行いたいと述べた。
その後CZ氏は、ツイッター上のAMAセッションで、マスク氏は何らかの形でツイッターに仮想通貨を統合することを考えていると発言。マスク氏はドージコインの大ファンでビットコインも所有しているが、ツイッターとしては、1つの通貨に限定するのではなく、複数の仮想通貨をサポートすべきだとの考えを示した。
Got a question for CZ?
— Binance (@binance) November 1, 2022
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ただし、ツイッターの改革に着手したばかりのマスク氏には状況を把握する時間が必要であり、具体的な機能の追加や「バイナンスペイ」との統合などについての急かせる気持ちは全くないと、CZ氏は強調した。
「ツイッターはWeb3のサンドボックス」
バイナンスのPatrick Hillmann最高戦略責任者は1日、マスク氏のツイッター買収について、研究開発としては「一生に一度のチャンス」であり、「名高いWeb2プラットフォームをサンドボックスとして使用し、Web2空間の複数の課題を分解し、Web3のソリューションを試し始めるチャンス」と形容した。
仮想通貨メディアCoinDeskのインタビューに応じたHillmann氏は、バイナンスがツイッター改革の中で果たす役割について、まずマスク氏が全ての主導権と決定権を持っていることを強調。ツイッター社側の準備が整った時点から、バイナンスはWeb3導入のための戦略的パートナーとして、具体的な解決策についてサポートすると述べた。
買収交渉でも問題となったツイッターに蔓延しているボットやスパムについて、Hillmann氏は非常に高い問題意識を持って対処していることを明らかにした。詐欺的な仮想通貨投資に誘導するツイートなども多いが、同氏はバイナンスの厳しい上場基準に言及し、同社としては不正を防ぐよう、できる限りの対応策をとっていると強調した。
しかし、最近ではアルゴリズムに基づいたAIボットが、ターゲットを絞り、極少数派の意見を主流だと誤認させる手法を取ったりするなど、その解決は喫緊の課題となっている現状にも触れた。
バイナンスはこのような問題へ対処するツイッター社を支援するため、内部チームを結成し戦略について話し合いを重ねていることが報道されている。