米国から段階的に撤退へ
暗号資産(仮想通貨)融資企業Nexoは5日、米国から数か月をかけて段階的に撤退すると発表した。「米国の州および連邦の規制当局と1年半以上にわたって対話を続けてきたが、行き詰まった」結果、この判断に至ったと釈明している。
米国からの撤退は秩序を持って行われ、リアルタイムで出金を処理し続けると説明。ユーザーは、「これまで通り自分の資産に中断なくアクセスすることができる」とした。
Nexoは、レンディング商品に対する規制上の懸念解消、特に「アーン・インタレスト」という利回り商品について、米国で法的遵守しながら提供できることを目指して規制当局と対話してきたが、うまくいかなかったと以下のように述べた。
複数の規制当局は互いに協調することを望まず、執拗に互いに矛盾する立場を取り続け、効率的な事業運用や、ユーザーのための価値創造が不可能な環境を作り出している。
Nexo側は様々な当局が、それぞれ自分たちの監督権限を主張していると説明。1日には、消費者金融保護局(CFPB)がNexoの利回り商品を調査する管轄権があると発表していた。この商品についてはすでに、米証券取引委員会(SEC)や複数州の当局が管轄権を主張していた。
そのことに加えてNexoは、数か月にわたって対話し協力してきた州当局の多くが、事前通知なしにNexoに対して訴訟を起こしたとも指摘している。
Nexoは、「急速にデジタル化が進む世界において、ブロックチェーン技術の重要性を理解している地域向けの製品やサービスの開発に時間と労力を捧げたいと思う」と結論した。
消費者金融保護局(CFPB)とは
2011年、連邦準備制度理事会(FRB)の下に設立。サブプライムローン問題を踏まえて、連邦法に基づいて消費者金融商品・サービスの提供などに関する監督を行う。
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経緯
米国各州の規制当局は9月、Nexoの利子付き口座サービスを有価証券とみなすと発表していた。
例えばカリフォルニア州当局は、利子付き口座サービスは有価証券として登録されておらず、有価証券として必要なリスク開示なども行っていなかったと主張している。
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Nexoは当局の求めに応じ、2021年から2022年にかけて、ニューヨーク州およびバーモント州でのサービス提供を停止し、利回り商品を米国の新規顧客に提供することも一時停止していた。
さらに12月6日より、インディアナ、ケンタッキー、メリーランド、オクラホマ、サウスカロライナ、ウィスコンシン、カリフォルニア、ワシントンの8州でも、利回り商品の提供を停止する。その他のNexoが提供する金融商品については、現時点では「通知があるまでは利用可能」となる。
利回り商品に対する規制強化
米国の規制当局は、特に利回り商品に対する規制を強めているところ。2月には、SECと大手仮想通貨レンディングサービスBlockFiが仮想通貨有利子口座をめぐって和解した経緯がある。
BlockFiは100億円超の罰金を支払い、有利子口座を証券として登録することになった。
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