ライセンス制度導入
フランス議会で暗号資産(仮想通貨)企業のライセンス制度導入を加速化させる法案を検討していくことがわかった。フィナンシャルタイムズが報じた。
フランスではEU(欧州連合)のMiCA法案が今後2024年に施行されていくが、規制に適応する目的で18ヶ月の猶予期間が設けられる予定。そのため、実際の施行は2026年になる計画となっている。
しかし、フランス議会のHervé Maurey議員は事実上ライセンス無しでも仮想通貨企業が稼働できる状況を問題視。FTX破綻で規制強化への機運が高まる中、18ヶ月に及ぶ猶予期間の撤廃を求める改正案を今週13日に議会へ提出した。
フランスでは当局の登録を申請する必要があるものの、ライセンスを完全に取得しなくても事業展開が可能。フランスのAMF(金融市場庁)の経歴を持つThierry Philipponnat氏は現行法での「投資家保護は軽微で事実上、無いに等しい」とコメントしており、FTX破綻で制度の改善を迫られている状況にあるという。
Maurey議員の改正案では、AMFは2023年10月までにライセンス取得を義務付けることとなる。ライセンス企業は財務状況の報告や、内部の管理システムの開示などが課せられるため、消費者保護の強化を望む格好だ。
現在、フランスでは50社近くの仮想通貨やブロックチェーン企業が登録済だが、ライセンス取得に至った企業はまだいない。バイナンスも22年5月にデジタル資産サービスプロバイダー(DASP)として登録を完了していたが、当局からは懸念が残るという状況だ。
また、今月新たなモデルのコールドウォレット「Ledger Stax」をリリースしたばかりの大手ウォレット企業Ledger社もフランスに拠点を置く。
関連:新発表|次世代ハードウォレット「Ledger Stax」
各国の規制強まるか
FTXおよびアラメダの破綻騒動などを受け、前CEOのサム・バンクマン=フリード氏が今週バハマで逮捕されたが、各国の規制当局は大規模な金融犯罪を受け、仮想通貨全般の規制強化を検討している。
米国では民主党所属のエリザベス・ウォーレン議員が「デジタル資産マネロン防止法案」を議会に提出。「無法国家やオリガルヒ、麻薬密売組織」などが仮想通貨を資金洗浄目的で利用しているとして、FTX破綻に便乗して仮想通貨全般を非難した。
関連: 米議員ら、新たに提出した仮想通貨規制法案でKYC要件を拡大
関連:仮想通貨市場に激震、アラメダショックとFTX騒動の動向まとめ