ポリゴンがハードフォークへ
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のスケーリングソリューション「ポリゴン(MATIC)」は、17日にも到達予定のブロック高38,189,056でハードフォークを実施する。
執筆時点のブロック番号は38,180,789。ポリゴンでは2秒毎に1ブロック生成されるため、日本時間1月17日20時頃にハードフォークが実施される見込みだ。(追記:ハードフォークは予定通り完了した)
The Polygon PoS network has been upgraded 👏👏👏
— Polygon (@0xPolygon) January 17, 2023
To learn more about the upgrade, check out 👇https://t.co/RaBWDjEGrI pic.twitter.com/WiDOdJWzaK
今回のハードフォークの目的は2つ。高騰する取引手数料(ガス代)を軽減するための施策と、ブロックチェーンの再編成(リオーグ)に対処すること。これらにより、ネットワークパフォーマンスとセキュリティの向上を図る。なお、フォークによりチェーン分岐を伴う新たな仮想通貨が誕生することはない。
ポリゴンではイーサリアムと同様にネットワーク利用頻度に応じて取引手数料(ガス)が変動する「オンチェーン・ガスダイナミクス」を採用。しかし、Polygonのブロック生成時間は2秒程とイーサリアム(~15秒)より早いため、「ベースフィー」部分が指数関数的に上昇する傾向があった。
ベースフィーは各ブロックの空き容量に応じてアルゴリズムで算出され、バーン(焼却)される。ユーザーが指定しマイナー収益となる優先手数料(チップ)と区別される。ハードフォークにより、ガス計算式のパラメーターを調節し、実際の利用率が目標利用率を上回る場合にベースフィーの変動率を緩やか(12.5%→ 6.25%)にする。
また、単一バリデータによるブロック生成が可能な時間を128秒から32秒に変更し、ネットワークとしてファイナリティに到達するまでのブロック数(スプリントの長さ)を現在の64ブロックから16ブロックに減らす。
これらの措置により再編成(リオーグ)の深さを低減させ、またブロック生成に二人目や三人目のバリデータが同時に介入する可能性を低減させるねらい。なお、バリデーターが生成するブロックの合計数と時間には影響しないため、ハードフォーク前後で発生するバリデーター報酬は変動しない。
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再編成(リオーグ)とは、分散型ブロックチェーンネットワークにおいて2つのブロックが同時に採掘(生成)された際に発生するチェーン分岐のこと。後続するブロック数の点でより長いチェーンが正規とみなされ、もう一方のチェーンは削除される。これにより、取引の遅延や不確実性といったユーザーエクスペリエンスの低下、ノードのコストの増加といった悪影響を引き起こす。
全体を通してポリゴンの今回のアップグレードは、ユーザー、バリデーター、開発者にとって、パフォーマンスと予測可能性が向上すると考えられている。
ポリゴンの採用拡大
11. [Transactions on EVM Chains]
— DEFIYIELD.App (@defiyield_app) January 3, 2023
Activity on (almost) all EVM blockchains has decreased.
BNB Chain has lost >60% in tx's activity.
The activity on Avalanche has greatly dropped down as well.
Polygon, Ethereum, Fantom, and Celo blockchains remain on same levels as 1 year ago. pic.twitter.com/SKnRYzsxWV
過去1年間を通して、ポリゴンは数々の大手企業との提携や採用が相次いでいる。スターバックス、コカ・コーラ、ディズニー、ナイキ、インスタグラムといった大手ブランドがポリゴンでNFTプロジェクトを立ち上げ、ネットワーク効果が生まれつつある。
こうした影響か、イーサリアム仮想マシン(EVM)互換チェーンの中でも、ポリゴンはトランザクション数の点で上位を維持してきた。
3. Network effects
— Lamboland (@LambolandNFT) January 9, 2023
Some of the biggest brands in the world have launched NFTs on Polygon.
This makes it easy for the Polygon team to attract other brands to their blockchain.
Polygon has become the default choice for big brands to build on because of this. pic.twitter.com/HeJgRChMq5
1月6日には、決済大手のマスターカードが音楽アーティスト向けのWeb3(分散型ウェブ)育成プログラム「Mastercard Artist Accelerator」を発表。ポリゴン(MATIC)ブロックチェーンを基盤として採用することが明らかになっていた。
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