マクロ経済と金融市場
24日の米NY株式市場では、ダウは前日比28ドル(0.1%)安で取引を終えた。インフレ鈍化を背景としたFRB(米連邦準備制度)の金融引き締め懸念の後退が相場を支えている。
一方、暗号資産(仮想通貨)相場の反落を受け、米最大手取引所運営のコインベース株が前日比4.2%安、ライオット・プラットフォームズ(旧Riot Blockchain)株が5.2%安と下落した。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比1.58%安の22,574ドル。
前日比1.58%安のBTCに対し、イーサリアム(ETH)は前日比4.5%安と下落が顕著だ。直近急騰したアルトコインは利益確定売りが先行し、前日比10%以上下げた銘柄も複数確認された。
ただ、ビットコインはこの程度の下げでは調整の範疇にも入らず、ダウンサイドリスクに注意は必要だろう。
BTCは直近最安値15,500ドルを底値に連騰しており、フィボナッチ・リトレースメントで量ると61.8%押しで20,400ドルのサポートラインにあたり(①)、半値戻しは200MA(200日移動平均線)の19,500ドル付近と重なる。(②)
とはいえ、昨年の強気トレンドと比較すると相場の先行き不透明感から個人投資家の警戒感も根強い。レバレッジ比率やOI(未決済建玉)などデリバティブ(金融派生商品)市場の過熱感は限定的であるため、大規模ロスカットを伴うようなボラティリティ(価格変動性)の急変動が発生する可能性は低いとの指摘もある。
Arcane Researchの市況分析
Arcane Researchは最新のレポートで、年初以降の暗号資産(仮想通貨)相場の好調な推移について、過剰レバレッジの清算(ショート踏み上げ)が燃料になったと指摘。「ビットコインの日足RSIが80を超える異常な高水準にある」と言及。調整の必要性を示唆した。
また、機関投資家の先物市場への参入増加も一因に挙げられると分析した。CME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)のデリバティブデータでは、機関投資家の市場参入の増加傾向が見られたという。
昨年11月のFTX破綻を受け、オフショア建玉の合計が18.6%減となる中、BTC先物の建玉全体に占めるCMEのシェアは過去最高水準の「約21%」まで上昇している。
これは、ビットコインETF(上場投資信託)の承認を背景にCME先物出来高が活性化し、過去最高値の1BTC=69,000ドルに達した2021年末に匹敵する水準であり、再びCME BTC先物市場のプレゼンスが高まりつつあることを意味する。
なお、先週のチャプター11(連邦破産法11条)適用申請を行った「ジェネシス・グローバル・キャピタル」の提携先である暗号資産取引所ジェミニが、3090万GBTC株を私的整理で売却していたことが明らかになった。GBTCは、ジェネシスの親会社デジタルカレンシーグループ(DCG)傘下の資産運用会社グレースケールが発行・運用する投資信託。
Arcane Researchによれば、昨年末にかけてGBTCのディスカウント(マイナス乖離)は過去最大の-50%近くまでが膨らんだ際、一部投資家が割安なGBTCでヘッジを行ったことも、CMEのアクティビティ急増に影響した可能性があると指摘した。
一方、今年1月以降のBTC反発局面において、CMEの先物価格は現物価格に対して「コンタンゴ(順ザヤ)」に回帰した。ビットコイン先物市場ではここのところ、決済期限(満期日)の近い期近物が期先物にくらべて高く、長期保有コストを度外視する「バックワーデーション(逆ザヤ)」に陥っていた。
今後はマクロ経済の重要指標も控える。
中国圏が旧正月期間にあるため“アジア時間”の影響は少ないと想定するも、2月2日に予定される米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、今後数週間は米国株式市場との相関が再び高まるとした。
マクロ経済のセンチメント(市場心理)が、インフレに関する懸念から潜在的なリセッション(景気後退)に関する懸念へと徐々に変化しつつあることが背景にある。
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マイナー動向
暗号資産(仮想通貨)取引所ビットフィネックスのアナリストが追跡したオンチェーンフローによれば、マイナー(採掘業者)の売り圧力は3年ぶり水準まで低下した。
運用コストを賄うためのマイナー売りが一巡し、相場環境改善に伴い長期保有を見越した“売り控え”が散見されるという。昨年末にかけて相場環境が悪化した際には、Core ScientificやCompute Northなど大手マイナーの破綻や財政悪化報道が相次ぎ、負債整理および保有資産の清算を余儀なくされた。
マイナー関連のインジケーターでは、買いシグナルのハッシュリボン(Hash Ribbons)が点灯したほか、Bitcoin Puell Multiple(プエル倍数)が弱気ゾーンを脱するなど、相場の大底圏でアク抜けを示唆するデータも確認され始めている。
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