CoinPostで今最も読まれています

コインチェックIEO第2弾、フィナンシェトークン(FNCT)を解説【独自インタビュー】 主なユーティリティや今後の展望は

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Coincheck IEO第2号「フィナンシェトークン(FNCT)」

Coincheck IEO第2号案件となる、フィナンシェトークン(FNCT)のIEOが23年2月21日に開始されました。開始初日からわずか1時間で調達目標金額である10億6600万円を突破していますが、FNCTの購入申し込みは3月7日まで受け付けています。

その後は、3月7日に行われる抽選結果に基づいて、当選者にFNCTが付与され、3月16日には、暗号資産(仮想通貨)交換業者Coincheckの「取引所」への上場、及び入出金が可能になる予定です。

今回、株式会社フィナンシェにインタビューさせて頂きました。本稿では、フィナンシェトークン(FNCT)のIEOについて解説します。

目次
  1. IEOとは
  2. FiNANCiE(フィナンシェ)とは
  3. フィナンシェトークン(FNCT)とは
  4. Coincheck IEO 2号案件までの経緯
  5. インタビュー内容

FNCTの最新の情報はこちらから

公式Twitter(日本):https://twitter.com/Fnct_Official

公式Twitter(英語):https://twitter.com/Fnct_Officialen

公式Discord:https://discord.gg/fnct-official

公式LINE:https://lin.ee/8M4HSQW

IEOとは

IEO(Initial Exchange Offering)とは、デジタルトークンの発行を通じて行う資金調達手段の一種です。2018年頃まで主流だったICO(Initial Coin Offering)とは異なり、暗号資産交換業者(仮想通貨取引所)による審査・サポートを通じてプロジェクトが選出されているため信頼性が高く、トークンのマーケティング・販売・上場まで幅広くバックアップされます。

FiNANCiE(フィナンシェ)とは

株式会社フィナンシェが運営しているFiNANCiEは、スポーツクラブやクリエイターが、サポーターと共に夢や目標を実現するためのトークン発行型クラウドファンディングとコミュニティを提供するプラットフォームです。

プロサッカー選手の本田圭佑氏や長友佑都氏は、FiNANCiEのポリシーに賛同し、アドバイザー及び投資家としてプロジェクト設立当初から携わってきました。

FiNANCiE上では、スポーツクラブやクリエイターは「オーナー」としてコミュニティトークン(CT)を発行します。CTを購入したファンは「サポーター」としてコミュニティの一員となり、オーナーから限定特典(オフ会参加・限定グッズなど)を受ける権利を得ます。

FiNANCiEの最大の特徴は、CTを中心とするトークンエコノミーが形成されることにあり、サポーターに対して継続的にメリットが提供される仕組みになっていることです。

これまでクリエイターやアーティスト、地域文化等を支援する方法としては、購入型クラウドファンディングが知られています。集めた資金で実現した商品やサービスを、リターンとして出資者に提供しています。

FiNANCiEは商品ではなくトークンを取り入れることで、初期から応援していたサポーターにとってメリットが生まれるように設計されています。

CTはFiNANCiE内の二次市場(流通市場)で売買できるため、コミュニティが活性化して拡大するほど、トークンの価値が変動し上昇する可能性があります。オーナーにとっても、CTの二次市場の取引手数料から成長資金を得られるスキームとなっています。

これらの特性によりFiNANCiEは、プロジェクトの熱心なファンだけでなく、成長プロセスへの参加自体を楽しむ人々や投資家層が組み合わさり、各コミュニティの経済圏をさらに拡大させるプラットフォームとして機能します。

主な実績

2019年3月にオープンβ版をリリースしたFiNANCiEでは、2021年1月に湘南ベルマーレが国内初のプロサッカークラブトークンを発行しました。これを皮切りに、スポーツに注力することで急成長を遂げています。

FiNANCiE資料

2022年12月時点で、サッカー、野球及びバスケットボール等のスポーツチームによるフィナンシェ内でのトークン発行事例は86件に上り、ユーザー規模は8万人を超えています。一次市場(発行市場)、二次市場(流通市場)の市場規模は合計25.2億円となっています。

その後FiNANCiEはエンタメ、地域創生分野へと拡大。仮想都市「神椿市」のメタバースを共創するWeb3コミュニティ「KAMITSUBAKI DAO」はFiNANCiE史上で最高額となる1億3,573万円を調達しました。

FiNANCiE資料

また、静岡県三島市で関係人口創出を目指す「三島ウイスキープロジェクト」は、サポーターを“交流市民”と位置づけ、限定のウイスキー購入権を配布しています。同プロジェクトは、内閣府の「関係人口」創出・拡大のためのモデル事業に採択されています。

現在、株式会社フィナンシェは、FiNANCiE事業に加えて、NFT企画・発行・販売事業を提供。CTを発行するオーナーの付加価値向上とコミュニティ活性化支援も行っています。

例えば、日本初のエンタメDAOとして「SUPER SAPIENSS」は世界市場で戦える映画制作に挑むプロジェクトです。SUPER SAPIENSSは22年12月にFiNANCiEにて独自のNFTを4,200個販売しました。

フィナンシェはまた、Coincheck IEOでFNCTの販売を実現させたノウハウを活かし、各プロジェクトの国内拡大や世界展開を視野に入れたIEO支援事業にも進出。FiNANCiEのロードマップとしては、2023年後半にも海外進出を計画しています。

フィナンシェトークン(FNCT)とは

フィナンシェトークン(以下「FNCT」)は、イーサリアムブロックチェーン上で発行される暗号資産(仮想通貨)です。FiNANCiEを利用して発行された各オーナー(個人、クラブ、プロジェクト)のコミュニティトークン(CT)の横串を通す役割を担い、シナジー効果を生むための機能が設けられています。

FNCTの機能(ユーティリティ)は主に以下6項目に大別されます。

FiNANCiE資料

  1. ステーキング(dPoS)/ガバナンス(投票):FNCTステーキング量に応じた投票権
  2. BuyBack&Burn:収益の一部を使って定期的に市場でFNCTを購入、バーンする
  3. コミュニティトークンホールディング:FiNANCiEにおいて成長・活発なコミュニティにFNCTを配布、そのコミュニティが発行するCTの長期保有者に還元される
  4. コミュニティドネーション(寄付) :保有するFNCTを特定のコミュニティに寄付できる 
  5. グレード特典(保有数に応じた特典):FNCT保有数に応じてグレード特典(FiNANCiEアプリにおける決済時の優遇)を受け取る
  6. CT購入(消費):初回販売のCT購入に使用可能

特に、コミュニティトークンホールディングは、CT保有者にメリットを還元する仕組みであり、FiNANCiEの特徴を活かした機能となっています。

FiNANCiEでは、各CTのユーザー、価格、ボリューム、投票状況に応じた「スコア」に基づいて、コミュニティランキングを管理しており、今後は定期的にランキング上位のコミュニティに対してFNCTを付与していきます。FNCTを受け取ったコミュニティオーナーは、CTのホールディング量に応じて各サポーターに分配する設計です。

Coincheck IEO 2号案件までの経緯

株式会社フィナンシェはFNCTのIEO構想について、2021年夏にCoincheck IEOを運営するコインチェック株式会社に打診したと言います。

当時は、2021年7月に国内初の事例がCoincheck IEOで実施されたばかり。2023年現在でさえ、FNCTのIEOは国内3例目(Coincheck IEOとしては2号案件)となっており、事例がない中での課題整理、ステークホルダーとの調整作業は困難を極めた模様です。

フィナンシェの代表取締役CEOの國光宏尚氏によると、BtoBtoC(B2B2C)であるFiNANCiEの事業形態を踏まえ、プロジェクトのサポーターへの説明責任を明確にするためにも国内での法令遵守はマストでした。

厳しい審査体制を擁すコインチェックとの協議の中で、「IPOではなくフィナンシェトークン(FNCT)で資金調達を行う理由」がより明確にされ、FNCTのユーティリティが強化されました。

また、FiNANCiEは、Web3の重要要素の一つ「DAO(分散型自律組織)」の概念を取り入れており、規制に適した形で運営していく方針です。

一方、コインチェック常務執行役員天羽健介氏は、Web3(分散型ウェブ)の構成要素を使って価値の民主化を推進するFiNANCiEのコンセプト、そしてブロックチェーン技術を活かしたトークンユーティリティに賛同して、IEO支援を決めたといいます。

両社は1年半に及ぶ協議を通して、利用者の保護、様々なガバナンス・コンプライアンス体制の構築対策を含む環境整備、時にはトークン設計に踏み込み、入念に調整を重ねてきました。

コインチェックは暗号資産交換業とNFT取引所(Coincheck NFT)を事業領域としていることから、今後は両社のシナジー効果を生む取り組みも期待されています。

インタビュー内容

以下、インタビュー内容です。

当初からIEO前提のトークンエコノミクスを設計していたのか

暗号資産を発行することはFiNANCiEの構想段階から考えてきました。トークンエコノミクスはIEOの審査過程で多少の変更はあったものの、国内取引所に上場することを前提としてではなく、FiNANCiEがビジョンに掲げる「10億人の挑戦を応援するクリエイターエコノミー」を実現するためにはどのような役割があったらいいのかという視点で設計しました。

ロードマップにある「国内エコシステム拡充」に向けて、どのようなマーケティングを考えているか

FiNANCiEは、スポーツ分野での活用が進み、現在はエンタメや地域創生の分野にカテゴリを広げています。

これらの分野にCT(FiNANCiE内で使えるコミュニティトークンです。暗号資産ではありません。)やNFT企画支援事業、IEO支援事業を掛け合わせ、FiNANCiEのエコシステムを拡大していきたいと考えています。

FiNANCiE資料

FiNANCiE資料

海外進出について、SECが規制強化する中、米証券法にどのように準拠していくか

現在米国の弁護士事務所とFNCTのユーティリティが米国においてどのように解釈されるか検討を重ねております。

FNCTの6つのユーティリティについてどのような経済循環をイメージしているか

ホワイトペーパーにも記載しているのですが、FNCTはFiNANCiEのプラットフォームトークンとして、スポーツチームやクリエイターのコミュニティを活性化するサポーターへの更なるメリットを提供することを目的に設計・開発されています。

FiNANCiEの価値を下支えし、コミュニティを活性化する人が増えるほどFNCTの価値が上がり、それをFNCT保有者に還元できるエコシステムを目指しています。

独自チェーン(FNBC)はどのようなメリットを見込んでいるか

FNCTがEthereumやPolygon等の外部プラットフォーム上で流通することは、当該プラットフォームのネットワークの広がりに乗じて、多くの経済圏・ユーザーにアプローチできるメリットがある一方で、当該プラットフォームの仕様に左右されたり、他サービスによる混雑の影響を受けたり、ガス代を払い続けなくてはならないデメリットがあります。

独自チェーンを開発することは、これらのデメリットを克服することを目的としています。そして、今後、日進月歩で進化・変容するチェーンに求められる機能も見極め、実装していくことでさらなるメリットを提供できるようにしていくことをイメージしています。

FNCTのユーティリティとして「コミュニティドネーション」を盛り込んだ経緯は

フィナンシェ自体が、「スポーツチームやクリエイター」と「サポーター」が共創して、コミュニティを発展させていくことを目指しているプラットフォームであることから、FNCTもその共創のツールとして活用を推進したいと考えています。そういった経緯でコミュニティドネーションというユーティリティを盛り込みました。

注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
12/09 土曜日
16:20
2024年仮想通貨市場予測、アルトコインへのシフトや企業のトークン保有増
VanEck社が発表した2024年の仮想通貨市場予測を詳細に分析。ビットコイン半減期の影響、イーサリアムの市場ポジション、企業の暗号資産保有増加など、15の重要なトレンドを探求。仮想通貨業界の次の発展段階を見据えた包括的なレポート。
13:30
フリービットの格安スマホ、TONE Coin報酬と株主専用NFTでWeb3事業拡大
フリービット株式会社が格安スマホ市場に新たな一手。Web3の世界への進出と共に、「TONE Coin」報酬システムを導入し、株主に特別なNFTを提供。スマートフォンユーザーの参加を促し、非中央集権化ブロックチェーンコミュニティの拡大を目指す。
12:30
米国議会、国防権限法で仮想通貨関連条項を不採用
米国議会は2024会計年度国防予算の枠組みを決める国防権限法を発表。ビットコインなど仮想通貨やブロックチェーンに関する条項は採用されなかった。
11:20
コインベース、L2仮想通貨銘柄などの先物を提供へ
米仮想通貨取引所大手コインベースは、Optimism(OP)、Arbitrum(ARB)、Ethereum Classic(ETC)のパーペチュアル先物取引を新たに提供する予定を発表した。
10:25
大手銀BBVAスイス支社、リップル社傘下のMetacoと提携
欧州の大手銀BBVAのスイス部門は、仮想通貨のカストディで米リップル社傘下のメタコと提携すると発表した。現実資産トークン化も念頭に置いている。
09:10
堅調な米雇用統計で早期利下げ観測やや後退 ビットコイン反発で仮想通貨関連株大幅高
仮想通貨ビットコインはフィデリティのSEC面談のニュースなどを受けて再び44,000台に復帰。ソラナは「JTO」エアドロップの実施や、NFTでイーサリアムNFTの出来高を超えたことに連動し大幅に上昇し再び年初来高値を更新した。
08:15
ソラナNFT、初めてイーサリアムNFTの出来高超えて1位のチェーンに
ソラナ・ブロックチェーン基盤のNFTの出来高は24時間ベースで、初めてイーサリアム・ブロックチェーンのNFTの出来高を超えた。
07:25
フィデリティもビットコインETFの上場申請でSECと技術的会議 BTC価格上昇
米SECは仮想通貨現物型ビットコインETFの上場申請について、今週7日に申請側のフィデリティと会議を行ったことが判明した。
07:05
Starknet、独自仮想通貨STRKの配分計画を一部発表
仮想通貨イーサリアムのL2「Starknet」を推進するStarknet財団は、STRKトークンの配分計画を一部発表。ユーザーへの割当についても説明している。
12/08 金曜日
18:39
ビットコインETFへの資金流入予測、金ETF事例や経済環境から算出
ビットコイン現物ETFが承認された場合の資金流入見込みに関してVanEck社が予測レポートを出した。米経済の景気後退予測や金ETFの事例、過去の金融経済動向を基に、暗号資産(仮想通貨)市場の新たな潮流を探る。
18:25
来年11月までにビットコインの過去最高値を予測、上昇要因に半減期や米大統領選|VanEckレポート
仮想通貨ビットコインが2024年11月に過去最高値を記録するとの予測。半減期と米大統領選が影響。VanEckによる予測と市場サイクルの分析内容を解説。
14:26
米大手ベンチャーキャピタルa16z、「2024年に期待する9つの仮想通貨トレンド」を発表
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツは、2024年に仮想通貨領域で期待されるトレンドのリストを発表。分散化、人工知能(AI)、顧客体験の向上などの9項目に言及した。
12:30
米下院エネルギー委員会、ブロックチェーン促進法案を可決
米国の下院エネルギー・商業委員会は、ブロックチェーン技術や分散型台帳技術を促進する法案を可決した。米国の競争力強化が期待される法案となる。
12:23
ビットコイン上昇一服、主要アルトはイーサリアム前日比5.6%高、ソラナ(SOL)12.1%高に
暗号資産(仮想通貨)市場では高騰していたビットコインが一服し、アルトコイン相場ではイーサリアムが上昇した。ソラナ(SOL)エコシステムではエアドロップされたJito Networkのガバナンストークン「JTO」が高騰するなど反響を呼んだ。
11:45
サム・アルトマン支援のMeanwhile Group、1億ドルのビットコイン運用ファンドをローンチ
Meanwhile Advisorsが仮想通貨ビットコインに焦点を当てたプライベートクレジットファンドを立ち上げ。BTCで5%の利回りを提供し、2024年第1四半期までに1億ドル調達の計画。OpenAIのサム・アルトマンが支援するMeanwhile GroupはBTCベースの生命保険ビジネスも展開。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア