BlockFiがマイニングマシンを売却へ
米破産裁判所は23日、破産手続き中の暗号資産(仮想通貨)貸借サービス企業BlockFiが、マイニングマシンなど物理的な資産を、約6.1億円(470万ドル)で売却することを承認した。
BlockFiの弁護士は、この資産はU.S.Farmsと呼ばれる組織に売却されたと説明。売却先決定の前には、マイニング資産一式に対して5件の入札、さらに資産の一部に対して7件の入札があり、競争は激しかったとしている。
BlockFiは22年11月に米連邦破産法11条(チャプターイレブン)により破産申請を行った。チャプターイレブンは、経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行うものだ。債権者の資産回収を最大限にするために、破産申請した会社の財産を第三者に売却し、それを債権者に分配する場合がある。
米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
▶️仮想通貨用語集
BlockFiは1月30日に、ニュージャージー州の破産裁判所から、マイニングマシンなどの資産売却の許可を得ていた。裁判所は売却が「公正で、合理的かつ適切」であり、事業の回復と「実現可能な価値」を最大化するためのものであると認めていた形だ。
1月には、BlockFiが、約200億円のローン債権の売却を進めていることも伝えられた。ビットコインマイナー向けに組まれたローンであり、計68,000台のマイニングマシンが裏付けである。マイニングマシン価格下落のため、一部担保不足に陥っている可能性がある。
関連:BlockFi、ビットコイン採掘機械担保ローン200億円分の債権売却へ
仮想通貨マイニング業界は上向きの徴候
仮想通貨マイニング業界は昨年、ビットコイン価格の下落や、主要な経費である電力料金の高騰によって、大きな打撃を受けた。しかし、こうした傾向は収まりつつある。
22年12月にチャプターイレブンで破産申請したCore Scientificの広報担当者は今月、ビットコイン価格の上昇に助けられていると述べた。また、「電力価格も劇的に下がったため、専門家の雇用などにも多額を費やしているが、運営的にはとても順調」だと続けている。
また、マイニングマシンの相場も、1月下旬に2021年12月以来初めて上昇傾向に転じた。マイニングマシンの取引デスクを運営するLuxorによると、効率性が最高クラスのマシン価格は、過去2か月で9%上昇している。
LuxorのEthan Vera最高執行責任者は、マイニング事業者は、収益やコストに関するリスクをヘッジするために、以前よりもレバレッジを小さくする傾向にあると指摘。一方で、マイニングマシンの価格とビットコイン価格は相関傾向にあると話した。
米マイニング企業CleanSparkのMatthew Schultz会長も次のようにコメントしている。
私達にとって、今は非常によい状況だ。ビットコインの価格上昇を考慮すると、1日に20ビットコインを採掘している場合、以前よりも1日に約2,600万円(20万ドル)程度のキャッシュフローが追加されることになる。