まもなく取引記録を開始する構え
暗号資産(仮想通貨)スタートアップのWorldcoin(ワールドコイン)は、今後6週間以内に、ブロックチェーン上で取引記録を開始する準備を進めている。関連して、約136億円(1億ドル)の資金を調達するために交渉を進めている。フィナンシャルタイムズなどが報じた。
WorldcoinはChatGPTの開発企業OpenAIの共同創業者・CEOのサム・アルトマン氏と物理学者アレックス・ブラニア氏による仮想通貨プロジェクトだ。
関係筋によると、Worldcoinは資金調達について、すでに同社に出資している投資家、および新規の投資家どちらとも交渉しているところだとされる。
既存の投資家には、先端技術に投資するVC(ベンチャーキャピタル)Khosla Venturesや仮想通貨VCのアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)、Coinbase Ventures、現在は当局の監視下におかれるサム・バンクマン・フリード前FTX CEOなどが存在していた。
Worldcoinは2021年に約33億円、2022年3月に約130億円を資金調達している。
2月の報道によると、Worldcoinは次回、評価額約4,075億円(30億ドル)で最大約163億円(1億2,000万ドル)を調達する構えだとされていた。株式と、トークンのワラント(予約権)の販売という形で行われる見込みだ。
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AI高度化が生み出す問題に対処
Worldcoinは、人工知能(AI)の高度化によって引き起こされる2つの問題、すなわち「人間とロボットの区別」、「AIによって引き起こされる雇用喪失」に対処するものとしても提示されている。
AIが人間の仕事を奪うことに関しては、参加者が、バレーボールほどの大きさの生体認証装置「オーブ」で目の網膜をスキャンして、「人間である」ことを証明することで、仮想通貨をもらうことができる仕組みだ。
仮想通貨をベーシックインカムとして配布しようとする発想である。トークン配布は、Worldcoinトークンの他、イーサリアム(ETH)やビットコイン(BTC)などの形でも行われる予定だとされる。
アルトマン氏の別事業OpenAIは、その自然言語インターフェース「ChatGPT」が世界中で話題になっているところだ。人間の雇用を奪う可能性が懸念される技術を世に出す一方で、AIによる雇用喪失に対応するプロジェクトを進めていることは興味深い。
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ChatGPTとは
対話型のAI言語モデル。ユーザーの質問に対し人間との会話感覚で回答を得られるように設計されており、レポートの作成、ソフトウェアコードの設計等の用途が期待される。リリース後1週間足らずで利用者数100万ユーザーを突破するなど注目を集めている。
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ウォレットをリリース
Worldcoinは8日、初のウォレット「World App」をリリースしたばかりだ。ベータ版は現在Polygon上に構築されているが、フルバージョンではイーサリアムロールアップ上に構築される見込みである。
現在サポートしている通貨は、ステーブルコインのUSDCおよびDAI、イーサリアム、ラップドビットコイン(WBTC)、Worldcoin(WLD)。ウォレットにはUniswapが統合されており、トークンの取引も可能だ。
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ロールアップとは
メインのブロックチェーンのセキュリティを活用しながら、トランザクションの一部をオフチェーン(ブロックチェーン外)で処理することにより、ネットワークの混雑解消を図るスケーリング・ソリューション。
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