- またもアメリカ大手銀行のビットコイン派生商品計画が明らかに
- ゴールドマンサックスやシティグループに次ぎ、モルガン・スタンレーもビットコイン先物に基づくデリバティブ商品の公開を計画している事がブルームバーグ誌を通じて明らかになった。
- 機関投資家向けの仮想通貨商品
- ビットコイン先物の派生商品では現物を所有することなく、ビットコイン価格変動から得られる運用成果を享受できるようになる為、現物に触れられない機関投資家の市場参入につながる事が期待される。
- スワップ取引とは
- 等価の金融商品を交換するデリバティブ取引の一種。利息、コモディティ、外貨等が一般的なスワップ取引の対象とされている。
当サイトの速報でもお伝えしました通り、アメリカの銀行で第6位の資産額を誇るモルガン・スタンレー銀行が、デリバティブ取引の一種である、ビットコインスワップ取引商品の提供を計画していることが明らかになりました。
モルガン・スタンレーCEOのJames Gorman氏は、今年、同銀行を通して顧客が仮想通貨を直接売買するのではなく、
デジタル資産(仮想通貨)に結びついたデリバティブ商品を提供するトレードデスクを開設する。
と、述べていましたが、その言葉の通りの商品提供が計画されているようです。
ブルームバーグの報道によると、同投資銀行のビットコインスワップ取引は、「技術的には準備済み」であり、「機関投資家からの需要」が立証されること、また同時に内部承認を待っている状態であると、匿名の情報筋が伝えたとのことです。
計画中の商品は、「価格リターン」スワップと呼ばれるデリバティブ商品で、ビットコイン現物ではなく、ビットコイン先物の価格に連動しており、顧客はショートまたはロングポジションを取ることが可能ですが、取引ごとにスプレッドの手数料を課されることになります。
一般的にスワップ取引は、等価のキャッシュフローを交換する取引契約で、相場変動を回避したり、効率的で効果的な調達や運用を実現したりするために利用されています。
非常に複雑な契約であるため、大半が企業間のみの取引で、取引所を介して行われることは稀です。
先物取引自体が複雑なデリバティブ取引であるのに加え、スワップ取引もデリバティブ取引であるため、今回、モルガン・スタンレーで計画されているビットコイン・スワップ取引は、複雑な二重構造を持つ金融商品となるようです。
現状のアメリカにおいて、仮想通貨現物に対する規制上の定義は、未だ曖昧さを残しているものの、ビットコイン先物取引は、規制当局である米商品先物取引委員会(CFTC)によって承認された金融商品であるため、先物を組み入れることで、規制の枠内で、(機関)投資家はビットコイン現物を所有することなく、ビットコイン価格変動から得られる運用成果を享受できることにつながると見られています。
モルガン・スタンレーは、6月にスイスの投資銀行であるCredit Suisseから、ビットコインに精通しているAndrew Peel氏を引き抜き、デジタル資産部門責任者に抜擢して、準備を進めてきた模様です。
デリバティブ商品は、投資銀行にとって大きな収入源であると言われており、仮想通貨市場の低迷が続く中でも、ビットコインを組み入れたデリバティブ商品開発に注力している銀行は増えているようです。
モルガン・スタンレーに加え、ゴールドマンサックスやシティグループもすでに、ビットコインデリバティブ商品を提供する予定であることが報じられています。
また、世界最大の証券取引所の運営会社であるインターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)は、ビットコイン現物によって決済されるビットコイン先物商品の提供を発表しています。
大手金融機関のビットコインを組み入れた機関投資家向けの金融商品開発は、着実に進められているようです。