CoinPostで今最も読まれています

リップル裁判、 SECのヒンマン講演資料が5年越しに一般公開

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

スピーチの舞台裏が明らかに

暗号資産(仮想通貨)XRPの有価証券問題をめぐり、米リップル社と米証券取引委員会(SEC)の係争が続く中、ついに重要な焦点の一つであるSEC元高官の講演資料が一般公開された。

ビル・ヒンマン氏が例のスピーチをしてから5年が経った。SECのリップル社に対する訴訟(および7つの裁判所命令)により、そのスピーチに関する、現在公となった電子メール/草稿を通じて、舞台裏で何が起こったかをようやく共有することができる

2018年6月に行われた、ウィリアム・ヒンマン前企業金融ディレクターによるスピーチは、「ビットコインとイーサリアムは証券に該当しない」と明言したとして、仮想通貨規制にとって画期的なものとなった。ヒンマン氏はトークンの証券性判断の基準として、ネットワークの分散性に言及していたため、リップル社とSECの裁判でも、リップル社側が頻繁に引用してきたものだ。

ヒンマン氏の見解が、SECの規制当局としての公式見解と解釈できるのかを明らかにするため、リップル社は何度も、このスピーチに関連するSECの内部文書の公開を求めてきたが、SECはその度に裁判所に非公開措置を要求。裁判所はその申し立てを幾度も却下していた。

関連:リップル裁判 SECのヒンマン講演資料の非公開申し立て、裁判所が再度却下

公開資料で明らかになったのは、スピーチの原稿が完成に至るまでの過程で、ヒンマン氏の見解にSEC職員が懸念を呈していた部分が何点かあったという。

リップル社のスチュアート・アルデロティ最高法務責任者は、ヒンマン氏がSEC職員の懸念を無視したことが資料から判明したと指摘している。

ヒンマン氏が、自身のスピーチが法律に基づかない作り上げられた分析を含んでおり、ハウィー要因から分離され、規制のギャップを露呈し、市場に混乱だけでなく「より大きな混乱」をもたらすであろうという複数の警告を無視したことがわかった。

リップル社の主張

SECの落ち度として、アルデロティ氏は以下の点を指摘している。

  • 「個人的な見解として」ヒンマン氏が「十分に分散化されたトークンは証券に該当しない」と述べる
  • 当時のジェイ・クレイトンSEC委員長は、この見解をガイダンスとして公に言及した
  • スピーチはSECのウェブサイトに掲載継続中だが、訴訟ではスピーチの重要性を軽視

また、SECの取引・市場責任者から、スピーチで言及されたハウィー分析の適用範囲や証券の定義について、「より大きな混乱につながる」可能性を指摘されていたにもかかわらず、ヒンマン氏は無視したと批判した。

また、SECの顧問委員会がイーサリアムに関する直接的な言及を含むことについて懸念を表していたが、ヒンマン氏はイーサリアムについての見解を披露する結果となった。なお、ヒンマン氏はイーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテレン氏に、イーサリアム財団の運営方法に関して自身の理解を確認するために、話し合いを計画していたことも公開資料から判明した。

アルデロティ氏は、「何が・誰がヒンマン氏に影響を与え、なぜ懸念が無視され、なぜSECが混乱を引き起こすと知りながら、このスピーチを宣伝したのか」について、再調査が必要だと主張している。

リップル社のブラッド・ガーリングCEOは、アルデロティ氏の意見に賛同し、規制当局が「業界全体を混乱に陥れたことは受け入れ難い」と非難している。

関連:米議員、SECの再編とゲンスラー委員長の解任を求める法案を提出

裁判の決め手となるか

リップル社によるSEC批判の格好の材料となった内部文書の公開だが、実際の裁判への影響は限定的だと見る向きもある。

Zero Knowledge Consultingのオースティン・キャンベル氏は、文書公開が「SECの現在の行動について、“疑わしきは罰せず”という原則の恩恵を享受するに値しない存在であることを示す上では、より有効だと思う」と述べ、世論形成に役立つ程度だとの見解を示した。

Delphi Labsのガブリエル・シャピーロ顧問弁護士は、公開文書によって、リップル社の裁判に役立つような新たな情報は何も明らかにされておらず、「パテのないハンバーガー」のように、意味がないと指摘した。

関連:米SECが提訴した「リップル裁判」まとめ(20年12月~23年4月)

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/27 土曜日
21:00
OKCoinJapan 5月にオプティミズム(OP)取扱い開始へ
OKCoinJapanが暗号資産(仮想通貨)オプティミズム(OP)の取扱いを開始へ。イーサリアムのレイヤー2ソリューションとして、その技術はCoinbaseが支援するBaseやバイナンスのopBNBの基盤に使用されている。OPのユースケースや今後の展望も言及。
17:20
機関投資家のDeFiリスク管理を強化、Fireblocksの新セキュリティ機能
FireblocksがDeFi製品にdApp ProtectionとTransaction Simulationを追加。リアルタイム脅威検知と安全なトランザクション実現で、機関投資家のオンチェーン活動をサポート。
13:00
BAYCで知られるYuga Labs、事業再編でチームメンバー削減 
Yuga Labsは、事業再編の一環としてチームメンバーの一部を削減した。「より小規模で機敏でクリプト・ネイティブなチーム」にする意向だ。
10:30
米国で仮想通貨発行の推奨事項5ヶ条、a16z明かす
大手ベンチャーキャピタルa16zは、米国で仮想通貨トークンを発行する際の推奨事項を挙げた。特に証券性など米SECをめぐる対処を中心としている。
09:30
ビットコインRunesデビュー1週間、200億円以上の手数料生み出す
手数料については、ミーム仮想通貨取引への高い需要が原因で、4月初めの5ドルから平均40ドルまで高騰している。ビットコインのマイニング報酬が半減し、収益が大幅に減少する見通しとなっていた採掘業者にとっては朗報だ。
08:00
半減期後のBTCのリターン、Nansen主席アナリストが分析
半減期後の仮想通貨ビットコインのリターンを、ブロックチェーン分析企業Nansenの主席リサーチアナリストが分析。半減期後250日までが最もリターンが高いという。
07:30
円安で1ドル158円台に、米ハイテク株高 来週FOMC金利発表|金融短観
本日の米国株指数は反発。エヌビディアやアルファベットなど大手IT株がけん引役となった。前日発表の米1-3月期GDPは予想を下回って悪材料となっていたが、昨夜発表の米3月PCEデフレーターはほぼ予想通りだった。
05:55
パンテラ、FTXの仮想通貨ソラナを追加取得
FTX破産財団はこれまですでにロックアップされた仮想通貨SOLの約3分の2を手放した。その多くは4年後に完全にアンロックされる見込みだ。
04/26 金曜日
14:22
「ミームコインは危険なカジノのよう」米アンドリーセン・ホロウィッツCTOが警鐘鳴らす
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツの エディ・ラザリン最高技術責任者は、ミームコインを「危険なカジノ」に例え、仮想通貨エコシステムから「本物の起業家」を遠ざける可能性があると主張した。
14:00
米FBI、マネロン防止ルール非遵守の仮想通貨サービスに注意喚起
米連邦捜査局は、マネーロンダリング防止基準を遵守していない仮想通貨送金サービスを利用しないよう、アメリカ国民に対して呼びかけた。
12:55
BTC半減期後に最初に採掘されたSatoshi、3億円超で落札
仮想通貨ビットコインの半減期後に最初に採掘されたSatoshiがオークションで3億円超で落札。Ordinalsの誕生によって、今はレア度の高いSatoshiに需要が生まれている。
12:32
ビットコインの反騰失速、ブラックロックのETF(IBIT)への資金流入が初めて途絶える
暗号資産(仮想通貨)市場では、自律反発のビットコインが日足50SMAを抜けられず再反落。ブラックロックのビットコインETF「IBIT」への資金流入は、ローンチ後71日間で初めて途絶えた。
10:15
著名な「Buy Bitcoin」のサイン、1.6億円で落札
「Buy Bitcoin」と書かれた著名な法律用箋が、オークションで1.6億円で落札された。仮想通貨ビットコインで入札され、正確な落札価格は16BTCである。
09:40
フランクリン・テンプルトンの600億円規模「BENJI」トークン、P2P送信可能に
米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンは、米国政府マネーのトークン化ファンドFOBXXで資産のピアツーピア送信を可能にしたと発表した。
08:30
強気相場継続の兆しか? パンテラが新たな仮想通貨ファンドで1500億円以上調達計画
2024年の仮想通貨相場感が2023年から好転しておりVCの調達案件も着実に増えている状況だ。昨日、野村グループのLaser Digitalが主導するラウンドで、zkSync Era基盤のWeb3ゲーム開発会社Tevaeraは500万ドルを調達した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア