CoinPostで今最も読まれています

米議員が司法省とSECに調査要請、当局初認可の仮想通貨ブローカーPrometheumに中国企業の影

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

司法長官とSEC委員長に公開書簡

トミー・チューバービル米連邦上院議員は10日、5名の議員と連名でメリック・ガーランド司法長官とゲーリー・ゲンスラー証券取引委員会(SEC)委員長に公開書簡を送り、暗号資産(仮想通貨)企業「Prometheum」を調査するよう要請した。チューバービル議員らは、アーロン・カプラン共同最高経営責任者(CEO)が、同社と中国企業との緊密な関係について、先月の公聴会で虚偽の証言を行った可能性があると主張している。

Prometheumは、SECと金融取引業規制機構(FINRA:自主規制機関)に登録された仮想通貨企業で、子会社のPrometheum Ember Capitalは5月、SECとFINRAから、デジタル資産証券の特別目的ブローカーディーラー(SPBD)の認可を取得。この業界初の承認により、同社は規制に準拠したカストディアンとして、個人および機関投資家に対し、デジタル資産証券の保管サービスを提供することが可能になった。

関連:米Prometheum、デジタル資産証券のカストディアンとして米当局が初認可

カプラン共同CEOは6月13日、下院金融サービス委員会でデジタル資産の将来について証言。その際に委員会に提出した証言書で同社は、2018年12月に開始した中国の万向(Wanxiang)ブロックチェーンおよびその関連企業ハッシュキー(HashKey)社との技術開発提携を2019年12月に終了し、独自のブロックチェーン・プラットフォームの開発を開始したと示唆していた。

しかし、2020年と2021年に同社がSECに提出した書類で、Prometheumは上記の中国企業に依存している事実が記されていると、チューバービル議員は指摘。同社の2020年末の監査済みの財務諸表の以下の文章を引用した。

(Prometheumは)万向を唯一のプロジェクト開発者として使用しており、成功するプラットフォームを構築し維持するため、万向の能力を頼りにしている

また、同文書には、Prometheumが万向のサービス提供を受けられなくなった場合、その代わりを見つけることは困難であり、同社の「事業および財務状況に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と記してあった。

さらに、SECに提出された2021年6月付の募集案内で、開発活動を共にする戦略パートナーとジョイントベンチャーとして、ハッシュキーと万向ブロックチェーンを挙げていたことが指摘されている。

チューバービル議員は、万向ブロックチェーンとハッシュキーは、中国共産党との深い関係が多くの文書から明らかになっていると指摘。Prometheumのプラットフォームが一部であれ、中国企業によって構築された場合、米国ユーザーの機密データが危険に晒されることになると警鐘を鳴らしている。

書簡では、議会で虚偽の証言を行うことは犯罪であり、SECへの申請にあたり虚偽もしくは誤解を招く報告を行うことは、証券詐欺に当たることを強調している。

Prometheumの反論

チューバービル議員は6月初旬、ウォールストリート・ジャーナル紙に意見書を寄稿し、中国企業との緊密な関係を持つPrometheumが規制当局から初の承認を受けたことにより、「アメリカの投資家のデータ・セキュリティとプライバシーを脅かす可能性がある 」と主張している。

これに対し、Prometheumはウォールストリート・ジャーナル紙に寄稿し、チューバービル氏が「古い情報」に基づいた主張をしていると反論した。

カプラン氏は、2021年10月21日に、同社が万向ブロックチェーンとハッシュキーとの共同開発業務と戦略的関係をすべて正式に終了したと説明。また、同社は万向との知的財産および技術関係全てを断ち、万向とその関連企業が「米国民を危険に晒す情報に一切アクセスできないようにした」と強調している。

さらに同社と中国企業との関係の全詳細は、SECと対米外国投資委員会に開示され、審査を受けていると付け加えた。

業界の見方

Prometheumは、現在の仮想通貨規制の枠組みは十分に明確であるという立場をとっている。

カプラン氏はSPBDの認可取得にあたり、「州のライセンスのみで運営されている取引所や取引プラットフォーム」はコンプライアンス違反であると主張し、顧客に深刻なリスクをもたらす可能性があると警告。同氏は、米国において、規制に準拠した方法で仮想通貨業界が前進する道はあると主張し、Prometheumがそれを証明すると述べた。

一方、仮想通貨業界は、規制当局から業界初のSPBD承認を受けたPrometheumに対し、懐疑的な見方をしているようだ。

このPrometheumのストーリーは、この業界でしばらく見たことのない奇妙なものだ。誰か実際に調べた人はいるのだろうか?奇怪を超越している。

公聴会でカプラン氏は、SECの規制は明確であり、新たな法律は必要ないと証言したが、2021年には規制の明確性が欠如していると述べていた。また、議員の質問により、Prometheumが実際には顧客に、仮想通貨市場の60%以上を占めるビットコインやイーサリアムの取引を提供していないことが明らかになり、業界が同社に対する疑惑を深める要因となったようだ。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/28 日曜日
11:30
ビットコイン相場は中期的には下降チャネル内での揉み合い続くか|bitbankアナリスト寄稿
ビットコイン半減期を終え1000万円周辺で推移する相場をbitbankのアナリスト長谷川氏が分析。ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|BTCの半減期完了に高い関心
今週は仮想通貨ビットコインが半減期を迎えたこと、QCP Capitalによる半減期後の相場分析、イーサリアムの証券性などを巡りConsensysが米SECを提訴したことに関する記事が最も関心を集めた。
04/27 土曜日
21:00
OKCoinJapan 5月にオプティミズム(OP)取扱い開始へ
OKCoinJapanが暗号資産(仮想通貨)オプティミズム(OP)の取扱いを開始へ。イーサリアムのレイヤー2ソリューションとして、その技術はCoinbaseが支援するBaseやバイナンスのopBNBの基盤に使用されている。OPのユースケースや今後の展望も言及。
17:20
機関投資家のDeFiリスク管理を強化、Fireblocksの新セキュリティ機能
FireblocksがDeFi製品にdApp ProtectionとTransaction Simulationを追加。リアルタイム脅威検知と安全なトランザクション実現で、機関投資家のオンチェーン活動をサポート。
13:00
BAYCで知られるYuga Labs、事業再編でチームメンバー削減 
Yuga Labsは、事業再編の一環としてチームメンバーの一部を削減した。「より小規模で機敏でクリプト・ネイティブなチーム」にする意向だ。
10:30
米国で仮想通貨発行の推奨事項5ヶ条、a16z明かす
大手ベンチャーキャピタルa16zは、米国で仮想通貨トークンを発行する際の推奨事項を挙げた。特に証券性など米SECをめぐる対処を中心としている。
09:30
ビットコインRunesデビュー1週間、200億円以上の手数料生み出す
手数料については、ミーム仮想通貨取引への高い需要が原因で、4月初めの5ドルから平均40ドルまで高騰している。ビットコインのマイニング報酬が半減し、収益が大幅に減少する見通しとなっていた採掘業者にとっては朗報だ。
08:00
半減期後のBTCのリターン、Nansen主席アナリストが分析
半減期後の仮想通貨ビットコインのリターンを、ブロックチェーン分析企業Nansenの主席リサーチアナリストが分析。半減期後250日までが最もリターンが高いという。
07:30
円安で1ドル158円台に、米ハイテク株高 来週FOMC金利発表|金融短観
本日の米国株指数は反発。エヌビディアやアルファベットなど大手IT株がけん引役となった。前日発表の米1-3月期GDPは予想を下回って悪材料となっていたが、昨夜発表の米3月PCEデフレーターはほぼ予想通りだった。
05:55
パンテラ、FTXの仮想通貨ソラナを追加取得
FTX破産財団はこれまですでにロックアップされた仮想通貨SOLの約3分の2を手放した。その多くは4年後に完全にアンロックされる見込みだ。
04/26 金曜日
14:22
「ミームコインは危険なカジノのよう」米アンドリーセン・ホロウィッツCTOが警鐘鳴らす
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツの エディ・ラザリン最高技術責任者は、ミームコインを「危険なカジノ」に例え、仮想通貨エコシステムから「本物の起業家」を遠ざける可能性があると主張した。
14:00
米FBI、マネロン防止ルール非遵守の仮想通貨サービスに注意喚起
米連邦捜査局は、マネーロンダリング防止基準を遵守していない仮想通貨送金サービスを利用しないよう、アメリカ国民に対して呼びかけた。
12:55
BTC半減期後に最初に採掘されたSatoshi、3億円超で落札
仮想通貨ビットコインの半減期後に最初に採掘されたSatoshiがオークションで3億円超で落札。Ordinalsの誕生によって、今はレア度の高いSatoshiに需要が生まれている。
12:32
ビットコインの反騰失速、ブラックロックのETF(IBIT)への資金流入が初めて途絶える
暗号資産(仮想通貨)市場では、自律反発のビットコインが日足50SMAを抜けられず再反落。ブラックロックのビットコインETF「IBIT」への資金流入は、ローンチ後71日間で初めて途絶えた。
10:15
著名な「Buy Bitcoin」のサイン、1.6億円で落札
「Buy Bitcoin」と書かれた著名な法律用箋が、オークションで1.6億円で落札された。仮想通貨ビットコインで入札され、正確な落札価格は16BTCである。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア