Centrifugeのローンのデフォルト危機
Centrifugeが取り扱うトークン化されたローンがデフォルト(債務不履行)のリスクに直面していることが25日に明らかとなった。これにより、MakerDAOが投じた2.7億円分の資金の回収が困難になる恐れがある。
リアルワールドアセット(RWA)を担保に、DeFi(分散型金融)でトークンを発行する流れが加速する中、カウンターパーティリスクに対する懸念が高まっている。
Centrifugeは、スマートコントラクトを介して事業者(借り手)と投資家を接続するプラットフォームだ。事業者は請求書、住宅ローン、音楽のロイヤルティなどのリアルワールドアセット(RWA)を担保に、デジタル上での資金調達が可能となっている。
デフォルトリスクに直面している信用プールは、ConsolFreight Pilot LLCが引き受け会社を担う「Cargo & Freight Forwarding Invoices(輸送業務や運送業務に関連する請求書)」。APR(年換算利回り)6%で、2,793,953 DAI(約4億円)を調達した。
ControlFreightは、25日に発表した声明の中で、該当のプールの主要な借り手がオーストラリアの最高裁判所からの活動停止命令を受けたこと、そして知的財産権の紛争により、資金の流れがストップしていると明らかにした。
MakerDAOは、Centrifugeのローンプールへの投資として、2.7億円のステーブルコイン「DAI」を貸し出しており、この回収が危ぶまれている。ControlFreight社は、借り手である「Hanhwa AUS Pty LtdとHanhwa New Zealand Pty Ltdに関連する資金の全額または一部の損失のリスクが高い」と警戒を示した。
DAIは、発行総額が53億ドル(約7000億円)に上る米ドル連動型のステーブルコイン。イーサリアムやUSDCなどの暗号資産(仮想通貨)により十分に担保されている。MakerDAOはその資金を活用し、米国債やトークン化ローンなどのリアルワールドアセット(RWA)への投資を進めてきた。
Centrifugeのトークン化ローンのデフォルト問題は、DeFiのコミュニティで関心を集めている。先月にはMakerDAOがHarbor Tradeという別のCentrifugeトークン化クレジットプールへの融資を一時停止する事態も起きていた。
関連:現実資産(RWA)トークン化が暗号資産市場に及ぼすインパクトとは|WebXレポート
新興国でのカウンターパーティリスクも
また、新興国向けの融資を専門とするRWAプロトコル「Goldfinch」も、債務者との取引の中でリスクに直面している。
ケニアの金融業者Tugendeは、Goldfinchを通じてバイクタクシー運転者向けの資金調達を行い、500万ドルを集めた。しかし、契約に反しウガンダの関連会社に資金を転用。その後、債務超過の状態に陥った。
Goldfinchは投資家に、この結果、投資資金が全額失われる可能性があると伝えている。
デジタル金融の世界において、リアルワールドアセット(現実資産)の導入が進んでおり、この動きは従来の金融と新しい金融の融合をもたらすと期待されている。しかし、これらの事件は、DeFiにおけるRWA投資のリスクを浮き彫りにしている。
シミター・キャピタルのアナリスト、シックシー氏はSNSへの投稿で「RWAは魅力的だが、適切な管理が必要」との見解を示している。米国債をオンチェーンで購入する方が妥当との見解を示している。MakerDAOの利回りトークン「sDAI」は、米国債投資による金利収益を還元することで、2~8%の年間利回りを提供する。
関連:BinanceLabsが出資、Pendle Financeが実現する米国債金利のトークン化