はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

国際決済銀行と各国の中銀、クロスボーダーCBDC取引の実証実験成功 ホールセールCBDCを発行する将来を見据えて

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

国際決済銀行主導のプロジェクト最終報告

国際決済銀行(BIS)は28日、フランス、シンガポールおよびスイスの中央銀行とともに行った、ホールセール中央銀行デジタル通貨(wCBDC)のクロスボーダー取引および決済の実験に成功したと発表した。

この実験はBISイノベーションハブ(BISIH)とフランス中央銀行、シンガポール金融管理局(MAS)、スイス国立銀行による共同プロジェクト「Project Mariana」の最終段階であり、実験の成功をもってプロジェクトは無事完了し、BISは最終報告書を公表した。

Project Marianaは、中央銀行がwCBDCを発行する将来を見越し、トークン化された外国為替(FX)取引と決済方法を検証する試みで、「分散型金融(DeFi)のアイデアとコンセプトを借用」し、パブリックブロックチェーンを活用している。

特に、DeFiの要素である自動マーケットメイカー(AMM)が、市場効率の向上や決済リスクの低減に貢献し、FX取引と決済を簡素化できるかどうかの研究が行われた。

ホールセールCBDCとは

CBDCには主に二つの種類がある。一つは一般の消費者向け「リテールCBDC」、もう一つは金融機関間での取引や決済に使用される「ホールセールCBDC」。ホールセールCBDCの主な利用例は、大口取引や国際間の決済、証券取引の決済など。

今回の概念実証では、シミュレートされた金融機関間で、仮想のスイスフラン、ユーロ、シンガポールドルのwCBDCのクロスボーダー取引と決済に成功した。

BISIHを統括するセシリア・スキングスリー氏は、「同プロジェクトは銀行間FX市場で新興技術AMMの使用を推進する先駆的な役割を果たしたが、その成功の鍵は、3つのイノベーションハブセンターと中央銀行にまたがって、ソフトウェアエンジニア、政策、為替の専門家からなる多様なチームを結集したことにある」と述べた。

関連:CBDCとDeFi環境の融合 国際決済銀行が外国為替市場の効率化を検証

三つの構成要素をテスト

プロジェクトでは、銀行間のFX取引と決済の簡素化、および透明性の向上と決済リスクの軽減を調査するため、主に以下の三つの構成要素がテストされた。

  1. wCBDC間の相互運用性のための、共通したトークンの技術標準
  2. 異なるネットワーク間のwCBDC転送のためのブリッジ
  3. FX取引と決済のためのAMM

出典:BIS Innovation Hub

wCBDCはスマートコントラクトとして実装されているため、中央銀行が直接プラットフォームを操作・管理することなく、wCBDCの管理が可能だという。その設計はイーサリアムのトークン規格であるERC-20を基盤としており、アップグレードも可能。

ブリッジは、より広範な相互運用性を可能にするメカニズムとして機能し、国内プラットフォームと国境を超えたネットワーク間でwCBDCの転送を可能にする。中央銀行がそれぞれのブリッジを管理・運営するが、各ブリッジには、国内プラットフォーム用と国際ネットワーク用の二つのスマートコントラクトが実装される。

BISは、プロジェクトでテストされたAMMは、グローバル外為行動規範(FX Global Code)の要件を満たしたと報告しており、トークン化されたFX市場の潜在的なメリットとして、以下のような点を指摘した。

  • 簡潔で自動化された取引をサポート
  • 通貨の選択肢を広げるオプションの提供
  • 決済リスクの排除
  • 透明性を実現

自動マーケットメーカー(AMM)とは

スマート・コントラクトで構築された分散型取引システム。トークン価格と在庫の関係を定義する数式「ボンディングカーブ」と、1:1の比率で2種類のトークンをロックアップする「流動性プール」を利用して、資産の自動交換を促進する。

▶️仮想通貨用語集

今後の課題

BISは、Project Marianaの概念実証を「純粋に実験的なもの」であり、「wCBDCを使用したホールセールFX取引におけるAMMの潜在的な利点と課題を理解するための第一歩」と位置付けている。

サイバー攻撃をはじめ、ブロックチェーンおよびDeFi技術の脆弱性の問題などが指摘される中、今後はセキュリティ面で徹底的な調査が欠かせないと述べた。

また、AMMの商業的な可能性や、トークン化と金融政策との関係、より広範なトークン化された金融システムにおける中央銀行とwCBDCの役割などについて、更なる研究が必要となるとまとめた。

関連:国際決済銀行、CBDCに対するDeFiリスクへの対処を勧告

関連:成田悠輔が切り込む『デジタル円実現後の未来』|WebX対談レポート

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10:15
バックパック、FTX EUの顧客へのユーロ返還手続きを開始
仮想通貨取引所バックパックは、FTX EUの顧客にユーロを返還するための手続きを開始。FTX自体は現金での返還をすでに開始しており、仮想通貨の買い圧につながるのではないかとの見方も上がっている。
08:20
バリュークリエーション、2度目の1億円分のビットコイン購入を実施
東証グロース上場のバリュークリエーション株式会社が3月31日、1億円で7.8BTCの追加購入を発表。3月17日の初回購入から2週間で2回目の投資を実施した。
08:15
ビットコイン一時50万円上昇、米経済指標とトランプ関税政策が影響|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは前日比で一時50万円の上昇となった。現在、市場の最大の注目材料はトランプ大統領による関税政策であり、ビットコインはリスク資産である米国株価指数との相関性が非常に高くなっている。
07:50
『ビットボンド』提案、トランプ政権のビットコイン準備金戦略、年間10兆円の財政削減効果も
ビットコイン政策研究所が「ビットボンド」提案を発表。米国債の金利負担軽減と仮想通貨ビットコイン保有増加を同時実現する戦略で、2兆ドル規模で導入した場合、年間700億ドルの節約効果と推算。
07:20
ビットコイン購入準備のゲームストップ、2200億円調達済み
米ゲーム小売大手ゲームストップが15億ドルの無利子転換社債発行を完了し、ビットコイン購入計画を進行。マイクロストラテジーの戦略に類似する企業の仮想通貨投資の新たな展開に。
06:55
三井住友FG、アバランチらとステーブルコインを共同開発
三井住友FGは、ステーブルコインの開発を行うことがわかった。仮想通貨アバランチを開発するAva Labsら3社と協業し、26年度を目処にした発行を検討している。
06:35
トランプ家支援のAmerican Bitcoin、二社統合モデルでIPO計画
トランプ家支援のAmerican Data CentersとビットコインマイナーHut 8が設立した合弁会社American Bitcoinが上場計画を発表。エネルギー・インフラとマイニング事業を二社統合モデルで展開していく。
06:12
ブラックロック、英で仮想通貨事業者認可を取得、ビットコインETF提供へ
世界最大の資産運用会社ブラックロックが英国金融行動監視機構から仮想通貨事業者として認可を取得。資産12兆ドルの投資巨人が欧州向けのビットコインETFを英国拠点から運営へ。
05:50
AI関連株と仮想通貨が反発、OpenAI過去最大の6兆円調達受け
OpenAIが史上最大の400億ドル資金調達を実施し企業価値3,000億ドルを達成。週間ユーザー数は5億人に拡大し、年間売上高は127億ドルを見込む。これを受けてCoreWeaveが38%上昇、AI関連仮想通貨も5%以上上昇した。
04/01 火曜日
17:40
メタプラネット、ビットコインを696 BTC追加購入
メタプラネットが696BTCを追加取得した。キャッシュ担保付きプットオプションで第1四半期に7.7億円の収益を計上し、長期的なビットコイン蓄積と安定収益を同時に狙う戦略を公開した。
15:02
オリコン調査 ビットコイン取引所満足度ランキングbitbankが首位【現物取引】
オリコン顧客満足度調査2025で暗号資産取引所を徹底比較。現物取引ではbitbankが2年連続の総合1位を獲得し、手数料・システム安定性で3年連続首位となった。GMOコインはステーキング・レンディングで高評価。6,260人の利用者の声から見る信頼性の高い取引所選びに。
14:15
エックスモバイルがWeb3参入 暗号資産モバイルサービスを今年度中に開始
マジモバ・ホリエモバに続く展開 格安携帯電話サービスを提供するMVNO「エックスモバイル」は1日、暗号資産(仮想通貨)を含むWeb3事業への本格参入を発表した。今年度中に、ブロ…
13:45
テザー、1Qに8888BTC追加購入
ステーブルコイン最大手テザーが2025年第1四半期に約1,100億円相当のビットコインを追加購入。総保有量は92,647BTCとなり世界第6位のホルダーに。
13:10
イーサリアムL1の手数料収益が大幅減少 目標達成も課題浮上
仮想通貨イーサリアムのDencunアップグレード後、L1の手数料収益が大幅に低下。ガス代削減という目標は達成したものの、ETHのインフレ課題が浮上していることを解説する。
12:11
トランプ関税発表控え緊迫するビットコイン市場、ETF資金流入とマイニング課題の狭間で
4月2日のトランプ関税発表を控え、ビットコイン市場は複雑な状況に直面している。一方ではETFへの資金流入が9営業日連続で続き回復の兆しを見せる一方、マイニングコストは87,000ドルまで上昇。さらにハッシュレートは史上最高の8億5,000万TH/sを記録するという矛盾した状況だ。市場のリスク回避姿勢が強まる中、投資家とマイナーの動向から見える業界の今後を分析する。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧