イーサリアムのステーキング需要
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のステーキングの利率が、低下傾向にある。
「Validator Queues」のデータによると、16日時点の利率は3.5%。この利率は、今年6月には5%超あった。また、ステーキングをしてネットワークへ参加することを待つ新しいバリデータの数と、ステーキングをやめてネットワークから撤退することを待つバリデータの数が本記事執筆時点でゼロになっている。
ステーキングとは
仮想通貨を所定の期間、預け入れることで報酬が得られる仕組みやサービスのこと。仮想通貨を預け入れることでブロックチェーンネットワークの運営に貢献し、対価として報酬を得られる。
▶️仮想通貨用語集
イーサリアムは2022年のアップグレード「The Merge」でコンセンサスの仕組みをプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行。その後、今年のアップデート「Shapella(上海+カペラ=シャペラ)」でステーキングの引き出しが可能になった。
関連:仮想通貨のPoS(プルーフ・オブ・ステーク)とは|PoWとの違いとメリットを解説
上述した利率は、ステーキングをすることで得られる報酬の年間利回り。以下はThe Blockのグラフで、今年5月には最大8.62%あった。現在は過去最低水準まで低下しており、The Blockのデータでも下落傾向にあることが示されている。
利率と一緒に低下しているのが、ネットワークの参加・撤退を希望するバリデータの数と、そのために待たなくてはいけない時間。PoSを採用するイーサリアムは、バリデータになるために入金してネットワークに参加したり、出金してネットワークを撤退したりできる一度の数に制限を設けている。この制限は、Shapella後に懸念された売り圧を低減することにも役立った。
例えばネットワークの参加を待つバリデータ希望者の数は今年6月に9万超に達し、その際の待ち時間は一時40日を超えていた。待機数がゼロになったのはShapella後、初めてである。
コインベースのレポート
米大手仮想通貨取引所コインベースは13日にレポートを発表し、イーサリアムのステーキングの状況に言及。バリデータの待ち時間がゼロになったことは、ステーキング需要が落ち着いたことを意味していると指摘した。
また、利率が3.5%になっていることにも言及。そして、この利率は代替投資の1つの指標になると主張している。
コインベースは「イーサリアムのステーキングの利率は米債券の名目5%超という利率には劣る。しかし、供給量を考慮して調整した実質3.2%というイーサリアムの利率は、米債券の事前的実質金利の3.1%よりも高い」とした。
そして「ネットワークの活動や取引手数料が一定に保たれれば、バリデータの増加が落ち着いているため、ステーキングの利率も維持されると予想する」と述べている。
関連:JPモルガン「イーサリアムはステーキング増加で中央集権化進行」