採掘能力を倍増へ、AI対応も
豪暗号資産(仮想通貨)マイニング企業Iris Energy Limited(アイリスエナジー・リミテッド)は15日、マイニングマシンの増強により、セルフマイニング能力を10EH/s(エクサハッシュ・毎秒)まで高めると発表した。
最新式のマイニングマシンであるBitmain T21を32億円(2,230万ドル)相当購入する格好だ。
今回発表した注文分は1.6 EH/sにあたり、2024年第2四半期(4~6月)に納品される見込みだ。
以前の注文分については、2024年第1四半期(1~3月)に1.4 EH/s相当の採掘能力を持つBitmain S21マイナーと、また、1.3 EH/s相当の採掘能力を持つBitmain T21マイナーが納品される予定である。
アイリスエナジーは、現時点で5.6 EH/sの採掘能力を持っており、これらすべてが稼働した暁には、10EH/sとなる見込みだ。
また、テキサス州のチルドレスで100メガワット(MW)データセンターの初期工事が行われているとも報告した。
アイリスエナジーは、100%再生可能エネルギーを使用しているビットコインマイニング企業だ。マイニングの他、生成人工知能(AI)コンピューティングのデータセンター事業も進めているところである。8月には、約14億円(1,000万ドル)を投資して248台の最新Nvidia H100 GPUを購入。これらは2023年末までに納入される予定だ。
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今回アイリスエナジーが注文したANTMINER T21はビットメインが10月に発表したばかりで、熱効率もよい最新型である。
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半減期でマイニング業界再編成か
2024年4月から5月に予定されるビットコイン(BTC)半減期は、マイニング業界再編成のきっかけとなる可能性もある。
ナスダック上場の米大手仮想通貨マイニング企業マラソン・デジタル・ホールディングスは5日、ビットコイン採掘の最新状況をアップデートした。その中で、次のように述べている。
次のビットコインネットワークの半減期を見越して、当社は業界統合を含む戦略的機会を活用するために、バランスシート上の流動性を蓄積し続けている。
マラソンは、11月30日時点で、現金および現金同等物とビットコインを約1,140億円(8億230万ドル)保有しているところだ。
半減期では、ビットコインの価格上昇が期待されるものの、ビットコインの採掘報酬が50%削減されるため、マイニング企業にとってはますます事業運営の効率性向上などが重要となる。
米採掘サービス企業ルクソール・テクノロジーズ社のイーサン・ベラ氏は、合併することでスケールメリットを得ることが可能であり、特に非上場企業と上場企業が合併する事例が増えるだろうと意見した。
次のビットコイン半減期は2024年4月18日前後に予定されており、マイニング報酬は現在の6.25 BTCから3.125 BTCに削減される。
半減期とは
ビットコインなど仮想通貨のマイニング報酬(=新規発行量)が半分に減るタイミングを指す。仮想通貨にはインフレを防ぐために「発行上限」が定められているものが多く、一定周期で訪れる半減期の度に、新規発行量が半分に減る仕組みになっている。供給量が減ることで希少価値が大幅に上昇し、価格が高騰しやすくなるため、仮想通貨特有の注目イベントでもある。
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