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混乱続くOpenAI、マイクロソフトがアルトマン氏ら受け入れ 社員9割超が一斉退社を警告

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

社員の反乱

対話型人工知能(AI)「ChatGPT」を開発した米OpenAIの9割を超える社員が、サム・アルトマン元CEOを突如解任した取締役会に対し、総退陣を求める書簡を提出した。社員らは、アルトマン氏と退社したグレッグ・ブロックマン前社長の復帰を求めており、それが叶わない場合、一斉に退社すると迫っている。

米メディアWiredの報道によると、この書簡は米国時間20日の朝に発表され、770人の社員のうち738人が署名しているという。

社員らは、今回の取締役会の行動は、OpenAIを監督する能力の欠如を示していると主張。現取締役の総辞職と、新たな取締役2名を任命することを求めている。

署名者の中には、同社の最高技術責任者(CTO)で元暫定CEOであるミラ・ムラティ氏や、現取締役のイリヤ・サツキバー氏の名もある。アルトマン氏解任の報道以降、沈黙を続けていたサツキバー氏は、同日のXへの投稿で「取締役会の行動に参加したことを深く後悔している」と心中を吐露している。

OpenAIに害を及ぼすつもりは全くなかった。我々が共に構築してきたものすべてに愛着を抱いており、この会社を再統合するためなら、何でもやるつもりだ。

アルトマン氏はこの投稿を引用し、ハートマーク3つで返答。その後、「我々はこれまで以上に団結し、コミットし、集中している。」と投稿。「一つのチーム、一つの使命」であり、何らかの形で、全員が協力することになると述べた。

関連:OpenAIを突如解任されたサム・アルトマン元CEO、復帰ならず後任決定か=報道

急速な展開

17日の突然のアルトマン氏解任に端を発するOpenAI騒動では、急展開が続いている。

週末、主要投資家(ステークホルダー)からの圧力もあり、アルトマン氏と取締役会は、同氏の復帰や同社のガバナンスをめぐり協議。合意に達するかに見えたが、最終的に協議は決裂した。

その後、取締役会は、ゲーム配信プラットフォーム「Twitch」の共同創業者でTwitchの元CEOを務めたエメット・シア氏を新たな暫定CEOとして迎え入れた。

そして、アルトマン氏とブロックマン氏、すでに退職した一部の上級研究員に関しては、OpenAIの筆頭株主であるIT大手マイクロソフトが20日(現地時間19日深夜)、受け入れを表明した。同社のサティア・ナデラCEOはXで、新たに設立される「高度なAI研究チーム」をアルトマン氏らが率いることになると発表。同氏らチームが成功に必要なリソースを提供するために、「迅速に行動する」と述べた。

アルトマン氏はマイクロソフトへの入社にあたり、次のようにツイートしている。

サティアと私の最優先事項は、OpenAIが今後も成功し続けるようにすることだ。
私たちはパートナーや顧客に事業の継続性を完全に提供することを全力で取り組んでいる。
OpenAI とマイクロソフトのパートナーシップは、これを実現可能にする。

OpenAIの社員らに対しても、マイクロソフトは受け入れの姿勢を見せているようだ。社員らは、取締役会への書簡で、「アルトマン氏とブロックマン氏が経営するマイクロソフトの新しい子会社に参加することを選択する」可能性を示唆している。

マイクロソフトに有利な展開か

OpenAIに複数年で100億ドル(1兆3000億円)以上を投資するとしていたマイクロソフトは、OpenAIとの提携によりBing検索エンジンを再活性化させ、クラウドコンピューティングのいくつかの分野では競合他社のグーグルやアマゾンを追い抜く勢いを見せていた。

17日の解任騒動により、マイクロソフトの株価は下落。しかし、アルトマン氏やブロックマン氏、そしてAI開発に携わってきた主要研究者らを迎え、新たなAI研究チームの設立するという報道を受け、マイクロソフト社の株価は過去最高値を更新した。

Wiredによると、アルトマン氏とブロックマン氏に加え、大規模言語モデル(LLM)「GPT-4」の研究を率いてきたヤクブ・パチョッキ氏、AIの安全性に取り組むためにアルトマンに採用されたマサチューセッツ工科大学(MIT)教授のアレクサンダー・マドリー氏、AI技術の強化学習に取り組んできた研究者のシモン・シドー氏らがOpenAIを去り、マイクロソフトへ入社したという。

ニュースレター「Exponential View」の著者で技術アナリストのアジーム・アズハル氏は、このようなOpenAIの経営陣とAI開発のトップ研究者らの移籍について、「OpenAIの頭と両腕、一本の脚がマイクロソフトに移ったようなものだ」と形容した。

一方、アルトマン氏とブロックマン氏にとっても、マイクロソフトへの移籍で得られるものは大きいとアズハル氏はみている。巨額の資本とコンピューター処理能力を利用できるようになり、これまでOpenAIではできなかったような他部門の開発においても、同社の支援を受けることが可能になると同氏は説明した。

WuBlockchainによると、アルトマン氏はOpenAI取締役会から解任される数週間前に、Nvidiaと競合するAI特化型の開発会社設立のため、数十億ドルを調達していたようだ。

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