トークン化債権がUSDTで資金調達
Bitfinex Securitiesは20日、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)のレイヤー2ソリューションであるリキッドネットワーク上で、トークン化債券を発行したと発表した。
ルクセンブルクを拠点とする証券化ファンド「ALTERNATIVE(オルタナティブ)」が今週初めにトークン化債権で資金調達を完了した形だ。ステーブルコインUSDTにより、約7億円(500万ドル)以上を調達している。
オルタナティブは、マイクロファイナンス大手Mikro Kapitalが運営するファンドだ。Mikro Kapitalは、14か国30万人の借り手に、総額10億ユーロ以上の融資を行ってきた実績がある。
リキッドネットワークは初のビットコインサイドチェーンとして2018年に立ち上げられた。法定通貨や証券、デジタル報酬ポイントやその他一般的な資産クラスをトークン化する機能を備えている。
また、トークン発行者が規制上の義務を履行することや、投資家が有価証券を自己保管、引き出し、ピアツーピア取引することを可能にするものだ。
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今回の動きは、現在様々な金融関連企業や政府により取り組みが進む現実資産(RWA)トークン化の一環である。
日本でも三菱UFJ信託銀行ら約30社がベンチャーキャピタル(VC)ファンドのデジタル証券化に取り組むことが伝えられたところだ。
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RWAとは
「Real World Asset(現実資産)」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債権等の有価証券などが含まれる。
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小規模起業家のニーズにも対応
USDTを発行するテザー社のCEOで、Bitfinex Securitiesの最高技術責任者も務めるパオロ・アルドイノ氏は、次のように今回の取り組みの意義を説明した。
今回の概念実証は、単なる資金調達ではなく、マイクロファイナンス業界へのUSDT導入に向けた重要な前進だ。
私たちの継続的な課題は、証券とトークン化の結びつきで利益がもたらされることを広め、従来の投資家と仮想通貨投資家の間に存在している溝を埋めることだ。
Mikro Kapital社長で創設者でもあるヴィンセンゾ・トラニ氏は、「トークン化により、小規模起業家のニーズに効率的かつ迅速に対応できるようになる」と話した。
近年、様々なビットコインL2プロジェクトが立ち上がっている。直近ではブロックチェーン技術企業Elastos(エラストス)が、ビットコインでスマートコントラクトの開発と管理を可能にする「BeL2」を発表。ステーキングを可能にする構想も明らかにした。
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その他、ビットコインのブロックチェーンでNFT(非代替性トークン)発行可能にするプロジェクトOrdinalsも台頭している。
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