- 9月のICO調達額は激減
- 経済調査を専門とするAutonomous社の最新調査報告によると、ICOにおいて、今年1月には24億ドル(約2700億円)を市場全体で調達していたのに対し、9月の調達額は全体で2億8000万ドル(約316億円)と激減。要因の一つとしてSTOの増加が考えられる。
- STOとは
- セキュリティトークン・オファリング=Security Token Offering の略。株や債券といった法的に証券と分類される資産をトークン化できるため、今後利用の幅が広がることが期待されている。
9月におけるICO調達額は激減
金融調査企業であるAutonomousは昨日仮想通貨ICOのデータを分析した最新報告 を発表し、9月のICOの調達額は今年の1月から比較しておよそ90%も激減したという。
こうしたICO市場の変化に対するレポートがAutonomous Nextから発表された。
以下のようにその内容を紹介する。
今年1月にはICO市場全体で約24億ドル(約2700億円)を調達していたのに対し、9月の調達額は2億8000万ドル(約316億円)となっている模様だ。
EOSやその他の巨額プライベートトークンセールを含めると1月時点では30億ドル(約3400億円)と言う数字を記録していた。
ICOの調達額はイーサ(ETH)の価格にも影響を受けるとされているが、イーサ価格の推移とは約3ヶ月のずれがあことが調査データによってわかった。
ICO調達額激減の3つの要因
同報告によれば、この激減には3つの要因が考えられる。
- ・投資家はICOにおけるユーティリティトークンからその発行会社の株式への関心度が高まる
- ・STOの増加
- ・2015年以降の中国でのP2Pレンディングの崩壊
まず、一つ目の要因に関して、ユーティリティトークンの代わりにその発行会社の非上場株式を手に入れようとしはじめていることを確かめるために、Autonomous Nextが、ブロックチェーンとビットコイン関連のベンチャーに対するベンチャーキャピタルからの投資額を「上図のピンク部分」にて参照したところ、その金額は確かに増加傾向にあり、2018年8月には10億ドル(約1130億円)にまで達していると判明した。
では、なぜこのような傾向が見られるのだろうか。
これには2つの理由があるとされる。
・一つ目は、RobinhoodやRevolutのようなフィンテック企業が仮想通貨に事業を拡大したことが挙げられる。
・二つ目には、Bitmainが買収を試みており、ベンチャーキャピタルとしてはリターンの見込みが高いという事情がある。
さて、ICOの調達額が減少した理由の二つ目だが、これはセキュリティトークンオファリング(STO)による調達などに取って代わられてきていることにある。
いまや、トークンを利用した資金調達手段は豊富になってきている現状である。
例えばプラットフォームでいうならTemplumからTokeny、Sharespost、Indiegogo、tZero というサービスが挙げられる。
この見解はブロックチェーンコンサンルタントのMichael K’ Spencer氏の意見と一致している。
Spencer氏は『STOs is new ICOs』という最近の記事の中で、2018年後半から2019年にかけてSTO市場の大幅な拡大が見られるだろうとしており、最終的にはICOを圧倒するかもしれないと述べている。
しかし、STOの将来性に関してはAutonomous Nextのレポートの見解とは異なる。
同報告の見解によれば、このSTOがICOの減退分を埋めてくれることを願ってやまないが、実際のところ、今後半年で本格的に流行り出すことはないだろうという。
少なくとも規制との折り合いをつけられないであろうという点でSTOは課題が残る。
そしてICO調達額減少の最後の要因として、2015年から始まる中国でのP2Pレンディングサービスの崩壊とそれによるリスクテイクを厭わない投資家たちが資金をICOへ投入したか否かという点では、Autonomous Nextとしても未だ検証中である模様である。