- USDTの急下落と価格乖離
- 15日、ビットコインの急騰と逆相関を示すような形で、テザーが急落して異常値を付けた。発行会社を運営するビットフィネックスで価格乖離が生じたことから、相場操縦疑惑も再浮上しつつある。
- テザーとは
- 米ドル(USD)法定通貨と連動した価値を持っており、基本的に「1USDT≒1USD」の図式が崩れることはない。その性質上、仮想通貨売買における基軸通貨の一つとして扱われているが、同額のUSDが担保されていない可能性も浮上、一部で問題視されていた。
USDTの急下落と価格乖離
10月15日、が仮想通貨市場で全面高が見られた中、安定通貨の仮想通貨USDT(テザー)価格は逆相関を示し、今年4月以来となる年初来安値を更新した。
昨日見られたUSDTの下落は、仮想通貨取引所ビットフィネックスにおけるビットコイン価格の乖離にもつながった可能性があり、海外大手メディアCoindeskでも示唆されている。
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本稿執筆時点でも、CoindeskのBTC価格6492ドルに対し、ビットフィネックスの価格は6698ドルと約200ドルの乖離が生じている。
このような価格乖離を受け、以前から疑問視されていたUSDTとビットフィネックスの関係性が再び問題として浮上しており、投資家はUSDTからジェミニ取引所が発表したGemini Dollar(GUSD)やTrueUSDのような他のドル建てのステーブルコイン、ビットコインなどに資金を移動している可能性が指摘されている。
以前から疑問視されていたUSDT
米CFTCからの召喚状
仮想通貨取引所ビットフィネックスは、USDTを発行するテザー社を運営している事が理由で、癒着などの問題で以前から懸念視されていた。
昨年12月にはテザー社とビットフィネックスがアメリカのCFTC(商品先物取引委員会)から召喚状が発令されていたなど、USDTの安定通貨としての性質への疑問点は今に始まったことではない。
過去にCFTCは、USDTを裏付ける「ドルや安定通貨を利用した市場操作の可能性」を理由に召喚状を発令していた。
市場操縦を指摘するテキサス大学の論文
また6月には、アメリカのテキサス大学から「ビットコインは本当に繋がれていないのか」と題された論文が発表され、仮想通貨市場に波紋を呼んだ。
ビットコインは価格操縦に利用されている。
と概要部分に記述されている上、文中では
アルゴリズムを使い、ブロックチェーン上の取引記録を分析したところ、市場が低迷しているタイミングで、テザーによるビットコイン購入を合わせたことにより、ビットコイン価格の大幅な上昇を招く結果になったということが判明した。 ビットコインにおいては50%、上位仮想通貨では64%の、急激な価格上昇が関連づけられる。
このようなパターンは、投資家からの需要の表れとしては、説明がつかず、テザーが価格を下支えし、仮想通貨価格を操作するために使用されているという、供給に基づく仮説が、最も合理的な説明だ。
と厳しく批判した。
対抗するかのように公開されたテザー社報告書
なおその後、テザー社は6月15日に法律事務所Freeh Sporkin & Sullivan LLPが行った同社の担保資産に関する調査結果を開示している。
米国の法律事務所であるFSSは、テザーの利用する2つの銀行口座を数週間に渡り分析した結果、6月1日時点でのテザー社の保有するドル額は約25億4000万ドルに達した事が判明している。
しかし、テザー社が利用している2つの銀行口座の銀行名は公開されておらず、FSSも
FSSは会計事務所ではないため、今回の審査と確認は、一般に公正妥当と認められた会計原則を用いて行われたものではない。
と説明を加えていた。
回復しているUSDT価格
なお、本稿執筆時点で、『ステーブルコイン』と称される仮想通貨USDTは時価総額8位にランクインしており、月曜日の下落から.97セント(109円)台まで回復している。