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FXの「スワップポイント」とは|概念や特徴、おすすめ運用方法も解説

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FXを長期にわたって運用する場合、スワップポイントを理解することが重要です。スワップポイントを活用した長期運用を行うことで、安定したインカムゲインを期待できるでしょう。FXは仮想通貨と比較してボラティリティ(価格変動リスク)が低い傾向があるため、長期運用に適しています。

そこで本記事では、スワップポイントの概要やメリット、運用する際の注意点を解説します。

目次
  1. スワップポイントは通貨ペアの金利差によって生じる損益
  2. スワップポイントを運用する3つのメリット
  3. スワップポイントを運用する3つの注意点
  4. スワップポイントを狙うおすすめ運用方法
  5. スワップポイントの長期運用で安定したインカムゲインを

1. スワップポイントは通貨ペアの金利差によって生じる損益

スワップポイントの概要や計算方法について解説します。

1-1. スワップポイントの概要

スワップポイントとは、FX取引において通貨ペアの金利の差から生じる損益を指します。例えば、低金利通貨を売り、高金利通貨を買った場合、ポジションを保有する期間中に利益を得られます。

【米ドル/円】

・米ドル 5.25〜5.5%
・日本円 -0.1%
・金利差 5.35%~5.6%

※2024年2月時点の金利

例えば、日本円と米ドルに以上の金利差があるケースでは、日本円を売って米ドルを買った場合、金利差5.35〜5.6%をスワップポイントとして受け取れるのです。FX取引によって為替差益を目指しながら、為替差益とは別に利益を期待できるのがスワップポイントの魅力と言えるでしょう。

スワップポイントは、通貨を発行する国が定めた金利にもとづいて、各FX会社が通貨ペアごとに定めています。投資をする際には、取引するFX会社のスワップポイントの水準を確認しましょう。

スワップポイントは、保有中のポジションを翌営業日に持ち越す際に付与されます。持ち越すことをロールオーバーといい、そのタイミングは、基本的に日本時間の午前7時(サマータイムの場合、午前6時)です。この時間は、ニューヨーク市場が終了する時間であり、ニューヨーククローズ(NYC・NYクローズ)と呼ばれています。

なお、スワップポイントは通常、毎日付与されますが、土日祝日の場合は次の営業日に繰り越されます。ただし、FX会社や通貨ペア等によって異なることがあるため確認しておきましょう。

1-2. スワップポイントの計算方法

1日あたりのスワップポイントの計算方法は、以下のとおりです。

保有数量×(金利差÷365日)×為替レート=1日のスワップポイント

※1年365日計算

では例として、1米ドル140円のレートで日本円を売って、米国ドルを購入した場合のスワップポイントを計算しましょう。米国の金利は5.5%、日本の金利が-0.1であれば、100,000通貨保有している期間は1日に約2,147円のスワップポイントを得られる計算です。

USD/JPY 円評価レート140円
米国金利5.5% 日本金利-0.1 金利差5.6%

100,000通貨×(5.6%÷365日)×140円=約2,147円/日

なお、多くのFX会社のサイトでは、スワップポイントをシミュレーションするツールが提供されています。必要な証拠金やレバレッジ等も確認できるため、取引時に役立つでしょう。

2. スワップポイントを運用する3つのメリット

スワップポイントを運用するメリットを、仮想通貨と比較しながら3つご紹介します。

2-1. 仮想通貨よりボラティリティが低い傾向にある

FXは仮想通貨よりボラティリティが低い傾向があるため、価格の急落リスクが低く、長期保有に適しています。

一方、仮想通貨は金利が高いトークンほどボラティリティが高い傾向にあり、長期保有には適さないケースも珍しくありません。例えば、仮想通貨のレンディングやステーキングしている際に価格が暴落し、損失が出るケースが考えられます。

さらに、FXは取引量の多い通貨ペアのボラティリティは低い傾向にあるため、値動きが安定しやすいでしょう。

2-2. 為替相場の変動とは独立して発生する

スワップポイントは、通常各国が定めた金利にもとづいて変動するため、為替相場の変動による影響は受けません。

例えば、米ドル/円の取引の場合、米国と日本の金利の差がスワップポイントとして計上されます。つまり、為替レートの変動に関係なく、金利差が発生している間はスワップポイントが付与されるのです。為替レートが下がったことで為替差損が発生しても、長期保有によるスワップポイントで損失を抑えうる点も魅力と言えるでしょう。

金利が変更されるタイミングは国によって異なりますが、一般的には数カ月単位で変更される傾向にあります。例えば日本や米国は約2ヶ月ごと、オーストラリアでは約1ヶ月ごとに金融政策に関する会合が開かれています。

ただし、戦争や災害などの有事の際は、為替相場にも影響を与えてスワップポイントが変動する可能性もあります。日頃から経済や時事に関するニュースなどを確認し、為替相場の動向を確認しましょう。

2-3. 発生した損失は損益通算や繰越控除の対象

ただし、スワップポイントがマイナスの場合は支払いが発生する点に注意しましょう。スワップポイントが利益ではなく損失となるケースもあるのです。

ただし、FXの取引で発生した決済損益やスワップポイントは、損益通算や繰越控除の対象になります。損益通算とは、他のFX会社などの取引で得た利益と損失を通算して、税金を計算する制度です。

損失が利益を上回った場合は、その差額を翌年以降3年間繰り越し、その3年以内に得た利益から差し引けるため、翌年以降の税負担を抑えられます。そのため、損失が出た場合でも確定申告しましょう。

なお、損益通算や繰越控除は、「先物取引に係る雑所得等」の損益と通算が可能です。

先物取引に係る雑所得等

・FX取引の決済
・商品先物取引の決済
・金融先物取引の決済
・CFD取引の決済

また、FX取引の利益には、申告分離課税20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)がかかります。なお、2013~2037年までの期間は、復興特別所得税が上乗せされて徴収されます。

一方、仮想通貨の取引で得た利益は雑所得として総合課税の対象になるため、税率は5~55%です。雑所得は繰越控除も適用外になるため、損失を翌年以降に繰り越すことはできません。

3. スワップポイントを運用する3つの注意点

スワップポイントには多くのメリットがありますが、運用する際には3つの注意点を押さえる必要があります。

3-1. マイナススワップになると支払いが生じる

前述した例とは逆に、高金利通貨を売り低金利通貨を買うと、金利差はマイナスとなります。この場合は「マイナススワップ」と呼ばれ、保有者がスワップポイントを支払う必要があります。

【米ドル/円】
・米ドル 5.25〜5.5%
・日本円 -0.1%
・金利差 5.35〜5.6%

※2024年2月時点の金利

例えば、米ドルを売って日本円を買った場合、金利差である-5.35〜5.6%のスワップレートを、マイナススワップとして支払わなければいけません。

では例として、米国ドルを売って、日本円を購入した場合のマイナススワップを計算しましょう。米国の金利は5.5%、日本の金利が-0.1であれば、100,000通貨保有している期間は1日-2,147円のマイナススワップを支払う必要があります。

USD/JPY 円評価レート140円
米国金利5.5% 日本金利-0.1 金利差-5.6%

100,000通貨×(-5.6%÷365日)×140円=約-2,147円/日

マイナススワップが発生する通貨ペアを保有している場合、長期保有するリスクは大きくなります。高レバレッジの取引であれば、支払い額も大きくなるため、支払いに耐えられる保有期間を想定しておくことが重要です。取引する際には、スワップポイントがプラスかマイナスかを確認しましょう。

また、為替相場に影響しやすい国際情勢を確認することも重要です。

例えば、毎月第一金曜に発表される米国の雇用統計は、投資にまつわる重要な指標のひとつです。雇用統計は政策金利を検討するうえで重視されており、景気の状態を踏まえて政策金利が変動します。各国の政策金利も景気の状況を踏まえて政策金利が変動するため、保有途中にマイナススワップに変わる可能性もあります。

高金利通貨を発行する新興国は、政情不安や地政学リスクが大きいため、為替レートの動きも大きく、マイナススワップになる可能性があるため注意しましょう。

3-2. 証券会社の取引時間外の相場変動に注意

外国為替市場の多くは週末が休場になるため、土日はFX取引ができません。ただし、一部の中東地域では、イスラム圏の休日は土曜日が休日ではないため、為替レートは変動し続けていることに注意しましょう。

例えば、土日の間に経済に大きな影響を与える事件や事象が起きた場合、スワップポイントが見直され、マイナススワップになる可能性もあります。大きな為替変動があるかもしれません。

なお、祝日は国によって異なるため、多くの場合取引できますが、元日は例外的に取引できません。一方、仮想通貨取引は365日24時間いつでも取引を行えます。そのため、土日しか取引できない方には、FXよりも仮想通貨取引が適している可能性があるでしょう。

3-3. ロスカットによる強制決済に注意

仮想通貨と同様に長期のポジションを維持する際、ロスカットによる強制決済に注意が必要です。ロスカットにより、スワップポイントの利益を超える損失が発生する恐れがあります。

ロスカットの基準となる証拠金維持率は、通貨ペアや証券会社によって異なるため、取引を始める前に必ず確認しましょう。証拠金維持率は「純資産÷必要証拠金×100」で計算します。

スワップポイントを得るために長期のポジションを維持する場合には、ロスカットにならないように必要な証拠金を常に確認しましょう。

4. スワップポイントを狙うおすすめ運用方法

スワップポイントを狙うおすすめの運用方法を解説します。

4-1. 金利差が大きい通貨ペアを選ぶ

スワップポイントの利益を最大化するためには、金利差が大きい通貨ペアを選ぶことが重要です。金利差を大きくするためには、新興国の高金利通貨をペアとして選ぶとよいでしょう。2024年2月13日時点の高金利通貨とスワップポイントの例は、以下のとおりです。

高金利通貨 金利 日本の金利と比較したスワップポイント
トルコ 45.00% 45.10
メキシコ 11.25% 11.35
南アフリカ 8.25% 9.35
ニュージーランド 5.50% 5.60

米国の金利5.50%と比較して、高金利通貨の取引の方がスワップポイントを多く得られるでしょう。ただし、高金利通貨は価格変動が大きくリスクが高いため、リスク許容度を考慮して投資しましょう。

4-2. 高スワップのFX会社を利用する

スワップポイントを最大化するためには、高スワップを付与するFX会社で利用しましょう。スワップポイントは通貨ペアによる金利差だけでなく、FX会社によっても異なります。FX会社ごとのスワップポイントは、公式サイトで確認できます。

平均的なスワップを上回るFX会社を選ぶことで、利益を最大化できるでしょう。ただし、スワップポイントは毎日変動するため、高いFX会社を選んだとしても、ポジション保有中に低下する可能性がある点には注意してください。

4-3. 複数の通貨ペアに分散投資する

スワップポイント運用におけるリスクを分散させるために、投資の基本である複数の通貨ペアに分散投資すると良いでしょう。複数の通貨ペアに投資することで、仮に急激な政策変更で一部のペアがマイナススワップとなった場合でも、その他のペアがプラススワップとなることで損失を補填しやすく、全体の損益を安定させることにつながります。

5. スワップポイントの長期運用で安定したインカムゲインを

本記事ではスワップポイントの概要と、運用する際に押さえておきたい知識について詳しく解説しました。スワップポイントを得られるポジションを長期運用することで、安定したインカムゲインを手に入れられるでしょう。

マイナススワップやロスカットのリスクはあるものの、FXは仮想通貨と比較して、ボラティリティが低い傾向があるため、長期運用によって利益を得るのに適しています。

スワップポイントを最大化するためには、金利差が大きい通貨ペアを選択し、高スワップのFX会社を利用することをおすすめします。

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