ビットコイン購入へ
東京証券取引所スタンダード市場に上場しているメタプラネット(3350)は8日、財務戦略として暗号資産(仮想通貨)ビットコインを購入・保有することを発表した。
今回の決断の背景には、円安やマイナス金利政策の影響で、日本円の主軸通貨としての位置付けが弱まっている現状があると説明。そして、購入総額は10億円までとすることを取締役会で決定したと述べている。また、ビットコインは単に保有するだけでなく、運用して収益を得ることも予定していると説明した。
メタプラネットはビットコインなどの仮想通貨について、以前主流だった懐疑的な見方と違って存在感を強めており、今では公的通貨として採用する国が現れるほど普及するようになったと評価。
そして、ビットコインは価格変動はあるものの過去10年間で価値が着実に上昇しており、流動性の高い長期主力通貨として日本円に換算しても価値を維持できることが広く期待されていると述べた。
その上で、今回の決断の背景には以下のような要素があると説明している。
- インフレと通貨ヘッジ
- マクロ経済の不安定性
- 主要国・金融界での受け入れと成長の可能性
- 固定供給とデジタル希少性
- 技術革新の活用
今後は、ビットコインの保有残高を四半期ごとに価値を時価評価し、その評価損益を損益計算書の特別項目に計上すると説明。四半期業績に著しい影響が発生した場合には、速やかに開示するとした。
会社概要
同社は公式ウェブサイトの「会社概要」の欄に「さまざまな技術とサービスにおいて、Web2からWeb3へ、そして伝統から革新へ、日本と世界の懸け橋を築いていきます」と記載。そして「本社が所在する日本から、Web3分野のコンサルティング、不動産の開発、及び事業投資を事業としてグローバルに展開しております」と書いている。
今回の決断については「メタプラネットは、アジアのマイクロストラテジーになる」とも説明されている。Tradingviewのデータによれば、2006年に3万7,600円だった同社の株価は現在19円。全期間では99%超下がっている。
マイクロストラテジーは本記事執筆時点で21万4,246BTC(2.3兆円相当)を保有する米上場企業。マイクロストラテジーの株価はビットコイン価格の影響を大きく受けているとの見方が多い。
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Web3企業がサポート
メタプラネットはこの発表に先立って、「第9回新株予約権の譲渡」に関する通知を公開。新株予約権とは、行使することでメタプラネットの株式を購入することができる権利を指す。
メタプラネットは今回、昨年2月にEVO FUNDら2社に第9回新株予約権を発行したものの、現時点で権利が行使されていないと説明。また、2022年12月に発表したWeb3及びメタバース関連の新規事業について、現時点で収益化の目処が立っていないと明かした。
このような状況下で、同社の代表取締役が経営環境について意見交換する中で、第9回新株予約権を取得して即座に行使する話が上がったと説明。その後、EVO FUNDらがそういった企業や個人に権利を譲渡することに同意したという。今回発表したビットコインの購入では、第9回新株予約権で調達できる資金を使うとしている。
今回の譲渡先には、アジアを拠点にするWeb3投資企業Sora Venturesらが含まれる。Sora VenturesのファウンダーJason Fang氏は今回の件について以下のようにコメントした。
アジアで最初のマイクロストラテジーを作るためにメタプラネットと協業することを嬉しく思う。
我々は、最大55%の税金を支払う可能性も規制上のリスクもなく、日本の人々にビットコインのエクスポージャーを提供していく。
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