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ビットコイン続落で2週連続陰線、市場から警戒される3つの下落要因は?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マクロ経済と金融市場

前週末21日の米NY株式市場は、ダウ平均株価は前日比15.5ドル高の39,150ドル、ナスダック指数は32.2(0.18%)ポイント安の17,689で取引を終えた。

米国株の暗号資産(仮想通貨)関連銘柄では、コインベースが前日比3.9%安と続落した一方、大量保有するビットコインをさらに買い増したマイクロストラテジーの株価は1.2%反発した。

一方、マラソンデジタルやライオットなどのマイニング関連銘柄はいずれも10%弱反落した。マイニング関連銘柄は、2024年米大統領選の候補者であるドナルド・トランプ前大統領と米マイニング企業代表の会合および支援表明を受け急騰していた。

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関連:トランプ氏、ビットコインマイニングの支持を表明 企業CEOらと面会

仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比2.0%高の1BTC=63,200ドルに。

BTC/USD週足

時価総額上位の主要アルトコインでは、イーサリアム(ETH)が2.6%安、ソラナ(SOL)が5.4%安、XRPが2.1%安となった。

アナリストのJustin Bennett氏は、このままビットコインが底割れした場合のダウンサイドリスクについて、「1BTC=52,000ドル〜54,000ドルまでの下落は十分あり得る」との見立てを示した。

その上で、「72,000ドルを超える上昇が起これば弱気トレンドは否定されるものの、高止まりするインフレ指標やドル指数(DXY)などの推移を踏まえると決して楽観はできない」としている。

関連:ムード悪化のビットコインは売りシグナル点灯、来週は材料豊富な1週間に|bitbankアナリスト寄稿

相場の下落要因は

FRB(米連邦準備制度)の金融政策における利下げ期待後退などマクロ経済の影響もありつつ、クリプト起因の下落要因としては、主に3つの理由が挙げられる。

1つ目は、ビットコイン現物ETF資金フローであり、ここのところ流出超過が続いている。

21日までに6営業日連続の流出となり、総額1億600万ドルに及んだ。21日にはフィデリティのFBTCから4,480万ドル(67.2億円)、グレースケールの投資信託ビットコイントラスト(GBTC)から3400万ドル(51.3億円)の流出が確認された。 

また、調整局面におけるドイツ政府のビットコイン売却では、直接的な影響は限定的ながら、市場心理悪化につながった可能性がある。

ブロックチェーンインテリジェンスサービスArkhamのデータによれば、ドイツの政府機関にあたる連邦刑事警察庁(BKA)は20日、6億ドル相当のビットコイン(BTC)を移動し、そのうち1億3000万ドルをKrakenやBitstampを含む4つの取引所に送金した。

これは、2008年から2013年にかけて88万本以上の海賊版映画を配信した罪で告発され、違法取引やマネーロンダリングの疑いで押収された多額の犯罪収益にあたるもので、資産の処分およびドイツの国家予算補填に充てるために売却されたか。

これまでに1億9,500万ドル以上のBTCが売却されたとみられるが、依然として30億5000万ドル相当のBTCがウォレットに保有されている模様だ。

米司法省の例では、過去にダークウェブ「シルクロード」を巡る犯罪収益として押収された多額のビットコインが売却されたこともある。

関連:ドイツ当局、670億円相当のビットコインを移動

そして、昨今の暗号資産(仮想通貨)相場低迷の一因として最も有力なのは、ビットコインマイナー(採掘業者)の売り圧力である。

24年6月だけで3万BTC(20億ドル相当)を売却しているからだ。

今年4月に実施された4年周期のビットコイン半減期を経て、マイニング報酬が6.25 BTCから3.125 BTCに減少したことでマイナーの採算性が悪化。電気代や設備のメンテナンス費用、人件費などのランニングコストを賄うため、手許資金の確保を迫られていると見られる。

マイナーは、採掘報酬として得た暗号資産(仮想通貨)を取引所で売却して現金化しているが、オンチェーンデータ分析によれば、マイナーのビットコイン備蓄量は14年以上ぶりの最低水準にまで減少している。

この点についてオンチェーンアナアナリストのWilly Woo氏は、ビットコインマイナーの重要指標であるハッシュリボン(Hash Ribbons)を分析した。

ハッシュリボンは、ビットコインのネットワークハッシュレート(採掘の計算力)の移動平均を示すもので、30日移動平均(短期)と60日移動平均(長期)を比較するものだ。

ビットコインの価格が大幅下落し、採掘コストが利益を上回る状態が続けばマイナーの降伏(キャピチュレーション)とみなされるが、キャピチュレーション後に大手マイナーがネットワークを支配し、ハッシュレートが回復し始めるとハッシュリボンがゴールデンクロスし、買いシグナルが点灯する。

過去の相場サイクルでは、ハッシュリボンの買いシグナルはビットコイン市場にとってポジティブな兆候とされ、底値圏からのトレンド転換の前兆となるケースが度々確認されている。

現在のキャピチュレーション期間は2ヶ月(60日間)以上続いており、過去のキャピチュレーション期間と比較して長期間に渡るが、Ordinal InscriptionsやRunesによる想定外の利益増がマイナーの撤退を遅らせているとの見方もある。

関連:ビットコインの新規格「Runes」、半減期後の需要殺到でBTC取引手数料が急騰

19年11月〜20年11月におけるハッシュリボン点灯時と相場の値動きは次の通り。比較的信頼性の高いシグナルとされている。

ハッシュリボン(19年11月〜20年11月)

その上でWilly Woo氏は、Bitcoin Speculation Intensity」(ビットコイン投機強度)を根拠に、市場の冷え込みがあと1〜4週間続く見通しを示した。

今後、費用対効果の低いマイニングマシンしか稼働できないような非効率な中小マイナーが降伏して市場から淘汰されれば、ハッシュレート(採掘速度)の推移およびハッシュリボンに反映され、相場の転換点を示唆する底打ちシグナルとして意識される可能性がある。

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