仮想通貨関連の開示請求
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは、リサーチ企業History Associates Incorporatedと共同で、米証券取引委員会(SEC)と連邦預金保険公社(FDIC)に対してそれぞれ民事訴訟を起こした。情報公開法に従わなかったとしている。
情報公開法(FOIA)は、政府の透明性と説明責任を確保するために作られた法律で、米国政府が管理する未公開情報の全部または一部の開示を認めるものだ。
請求対象になった機関は20日以内に応答する必要がある。また、国家安全保障、個人のプライバシー、法執行活動、企業の秘密などに関する情報は例外的に開示されない場合がある。
経緯としてコインベースは昨年末、History Associates Incorporatedを代理人として、この法律に基づく開示請求をSECとFDICに提出していた。両機関が仮想通貨に関して行った措置や調査についての情報を求めた形だ。
しかしSECとFDICは請求に応じておらず、コインベースは今回、情報公開法に違反しているとして地方裁判所に提訴した。
コインベースとSECの間では、SECが証券法違反でコインベースを提訴した裁判と、コインベースが仮想通貨の明確なルール作りを求めてSECに対して起こした裁判の二つがすでに進められている。今回、新たな訴訟が加わったことになる。
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SEC(証券取引委員会)とは
株や債券などの証券の取引を監督する米国の政府機関のこと。1934年設立。公正な取引の確保と投資家保護を目的としており、インサイダー取引や企業の不正会計、相場操縦などを防止する。仮想通貨が有価証券に該当するかという判断も行う。
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FDICの書簡
まずコインベースらは連邦預金保険公社(FDIC)について、2023年10月にFDIC内部の独立した監査機関である監察総監室(OIG)の報告書に言及した。
OIGによると、FDICは監督下の金融機関に対して、仮想通貨関連の活動を無期限に停止するよう求める書簡を送付していた。
OIGは、この書簡が仮想通貨に関するこれまでのFDICのガイダンスと矛盾していると批判し、「金融機関の仮想通貨分野におけるイノベーションと成長を制限するリスク」が生じていると述べてもいた。
コインベースは情報公開法に基づき、この書簡を開示するよう求めていたが、FDICは拒否している。コインベースらは情報公開法の遵守を求めて裁判を起こした形だ。
FDICについては昨年3月、トム・エマー下院議員も疑問を呈していたところである。シグネチャー銀行などに対して取った閉鎖措置は、仮想通貨業界を抑え込もうとする意図があったのではないかとしていた。
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SECの調査記録を開示請求
コインベースらはSECに対しては、これまで何が証券であるかなど規制を明確にしてこなかったと再強調。仮想通貨関連のSECによる調査記録3件の開示を請求したが、SECが、定型的な文言で応答し、ほぼすべての記録を公開しなかったと指摘している。
3件のうち1件は、イーサリアム2.0についての調査だった。この調査は最近正式に終了した。SECがイーサリアムを有価証券とはみなさないことを意味する。
コインベースは、SECが仮想通貨の証券性に関する見方を一転二転させているとも申し立てた。2018年には「仮想通貨それ自体は証券ではない」としていたが2024年には「仮想通貨それ自体が投資契約を表わす」とするなど、これまでの発言に矛盾がみられるとしている。
Coinbase highlighting the SEC's inconsistent statements over the years pic.twitter.com/CfrTiej3XR
— Tim Copeland (@Timccopeland) June 27, 2024
また、明確な規制が存在するかどうか、SECが仮想通貨を規制できるかどうかについてもその時々で、否定と肯定が混じってきたとも指摘した。
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