政治家の誠実さを疑問視
暗号資産(仮想通貨)取引所BitMEXの創業者で前CEOのアーサー・ヘイズ氏は、仮想通貨支持を打ち出すトランプ陣営の戦略を盲信しないように注意喚起し、仮想通貨コミュニティが資金集めに奔走していることに対して失望を示した。
12日に投稿したブログでヘイズ氏は、2024年の仮想通貨コミュニティと1964年の黒人コミュニティの状況の類似点を指摘し、同年の米国大統領選におけるマルコムXの発言に言及。政治家が「守るつもりのない偽りの約束で」コミュニティの期待を高めるも、最後には裏切るという警告を引用した。
私は、1964年のマルコム氏と同じように、トランプ氏の誠実さを疑っている。彼は選挙に勝つことに関心があり、票を獲得するためには(リップサービスを含め)何でも言うだろう
1964年も2024年も、主な激戦州では「数千人の有権者」が大統領選挙の結果を決定するため、選挙陣営は一つの集団の票を獲得するための戦略を展開するとヘイズ氏。「若くて活動的で、新たに富を得た仮想通貨コミュニティを魅了すること」でトランプ氏が選挙に勝つ可能性は高く、実際「必要なことを全て言う」ことで、トランプ氏は仮想通貨支持派としての資格を強化していると指摘した。
しかし、トランプ氏が実際に政権交代を果たせば「仮想通貨に関連するものは、全て遠い記憶となるだろう」とヘイズ氏は懐疑的な見方を示している。
コミュニティの団結
コインベースの推定によると、米国では約5,000万人(人口の20%)の有権者が仮想通貨を保有しており、仮想通貨支持という単一争点で有権者が団結すれば、その影響力は選挙結果を左右する力になるとヘイズ氏は主張する。
マルコムXが、黒人コミュニティに宗教や教育の有無などの相違は傍に置いて団結する必要性を訴えたように、仮想通貨コミュニティも支持するトークンや経済的背景などの違いを超えて、集団として投票すれば、誰が勝利するのかを「簡単に決めることができる」と同氏は言う。
特に、米国では民主党と共和党支持者がほぼ均等に分かれているため、今回の選挙は「重要な政治的譲歩を引き出す」絶好のチャンスだという。
しかし、マルコムXが警告したように、どちらが政権を取ろうとも「形だけの優遇策」に甘んじるべきではないと同氏は指摘。「法律として署名された仮想通貨支持法案」のみを受け入れるべきだと述べた。
仮想通貨保護のための法案
ヘイズ氏は、仮想通貨が「言論の自由」と同等の保護を受けることで、シンプルに仮想通貨規制の問題を解決できると主張。仮想通貨に対する以下のような方針を提案している。
ブロックチェーン上に存在する、あるいはブロックチェーンで動作する仮想通貨およびトークンは、保護されるべき言論の一形態である。言論の自由の保護に適用される全ての法律は、仮想通貨ユーザーまたは仲介者に適用される。個人または正規に設立された団体が仮想通貨を保有または移転する能力を制限するいかなる法律または規制も適用されない。
ヘイズ氏は上記をベースに、法定通貨や金のような代替通貨も言論とみなし保護されるべきであり、国民のコスト軽減のために、政府が金融機関を救済するために公的資金を投入することも禁じるべきだとして、その2点を追加し最終的な修正案とした。
この法案については、11月の選挙前に、上下両院で審議され投票されることが望ましいとヘイズ氏は主張。再選のために激しく争っている数人の議員を選んで法案を提出してもらい、仮想通貨支持の有権者票を武器に圧力をかけるという方法を提示した。
選挙後、有権者は影響力を失ってしまうため、この法案を可決成立させる方が、トランプ氏がさまざまな仮想通貨政策の約束を守ることに期待するよりも、効果的であるとヘイズ氏は言う。
法案支持のデジタル署名
ヘイズ氏は、選挙キャンペーンには寄付せず、大多数の有権者に、仮想通貨支持という単一争点で投票に行くよう説得するために、仮想通貨支持ロビー団体が集めた数百万ドルを費やすべきだと主張する。
例えば、大手仮想通貨取引所コインベースのブライアン・アームストロングCEOが、仮想通貨支持政策の提唱者となることに本気であるならば、ヘイズ氏提案の仮想通貨保護法案を支持するため、米国のコインベース・ユーザーのデジタル署名を集めるべきだと述べた。
そうすることで、政治家に仮想通貨保有者の組織力を見せつけ、仮想通貨に反対することは得策ではないと思い知らせると同時に、選出された議員に行動するよう責任を負わせることが可能になると同氏は総括した。
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