中央銀行がビットコインを持つ意味
米資産運用企業VanEck(ヴァンエック)で今年までデジタル資産責任者を務めていたガボール・ガーバックス氏は29日、米連邦準備制度(FRB)がビットコインを保有する意義を語った。
ガーバックス氏は、米国債は増刷可能でビットコインは増刷不可能という違いがあると指摘し、次のように意見している。
これは本質的には、中央銀行が金(ゴールド)で行っているのと同じような、ハードアセット取得戦略だ。
自由に印刷できる米国債から、供給量が固定されているビットコインに資産の一部を移すことで、保有資産を多様化し、インフレや金融の不安定性から身を守ることを目指すものである。
国債を発行する中央銀行が、自己に対するヘッジを取ることでもあると続けた。
これは、元ウォールストリートジャーナル記者で作家のポール・ヴィニャ氏が、シンシア・ルミス氏の提案に疑問を呈したことへのリプライとなっている。
共和党のシンシア・ルミス議員はカンファレンス「ビットコイン2024」で、12の連邦準備銀行が持つ準備金の余剰分を五年かけてビットコインに転換する法案を起草する予定だと発表したところだ。
合計100万BTCを備蓄すること、米国政府は最低20年間ビットコインを保有すること、その間ビットコインは、米国の国家債務の返済にしか使用できないことなどを挙げている。
戦略的なビットコイン準備金を持つことにより、2045年までに国の借金を半分にすることができるとも唱えた。
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これに対して、ヴィニャ氏は「FRBが保有する資金を、世界で最も安全な資産である米国債から最も変動の激しい資産(ビットコイン)に移すことにどんな利益があるのか」と疑問を投げかけていた。
トランプ氏の計画
ドナルド・トランプ前大統領も「ビットコイン2024」に登壇し、大統領に当選した場合は、ビットコインを国家戦略的な備蓄として保有すると話している。
これには、司法省が犯罪収益として押収した約21万BTCを充てる計画だ。
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「金持ち父さん」著者の見解
世界的に物価高が続いていることもあり、インフレに対するヘッジ手段の一つとして、デジタルゴールドと称されることもあるビットコインが注目されているところだ。
例えば、ベストセラー『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキ氏は、インフレや米ドルの価値下落から身を守るためにゴールド、シルバー、ビットコインを購入することを勧めている。
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デジタルゴールドとは
ビットコインにつけられている別称。ビットコインは2,100万BTCという発行上限が設定されており希少性があること、従来型資産に対するインフレヘッジとして購入する投資家がいることなどから、金(ゴールド)と類似したものとして捉える名称だ。
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