10万人の署名集まれば国民投票へ
スイス政府は12月31日、連邦官報にスイス国立銀行が準備金の一部として暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を保有するための憲法改正案を登録した。
この案について国民投票を実施するには、2026年6月30日までに、スイス国民10万人の有効な署名を集める必要がある。人口の約1.15%に当たる数だ。
この案は、スイスの仮想通貨擁護団体「2B4CH」が中心となって提出したもの。2B4CHのイヴ・ベナイム創設者や、テザー社のエネルギー・マイニング担当責任者のギウ・ザンガネ氏らが名前を連ねている。
ベナイム氏らは「財政的に健全で、主権を持ち、責任あるスイス」のための提案としており、憲法改正により、スイス国立銀行がその収益を資金に使って準備金の一部をビットコインで積み立てることを目指す。
スイスの大手仮想通貨ブローカー「ビットコインスイス(Bitcoin Suisse)」のルジウス・マイサー社長も以前、これに賛同し「ビットコイン準備金により、スイスは欧州中央銀行(ECB)からの独立を示し中立性を強化」できると述べていた。
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一方で、スイス中銀はこれまで、ビットコインは準備金の基準を満たしていないとして、この提案を退けている。
ロイター通信によるとスイス中銀のマーティン・シュレーゲル総裁は11月、ビットコインやイーサリアム(ETH)などの仮想通貨は成長しているがまだニッチであり、価格変動が大きいために支払いには実用的ではないとの見解を述べていた。
仮想通貨は違法行為と関連しており、取り締まりが難しいとも懸念を表明している。
民間では仮想通貨に積極的な動きも見られ、例えばスイスで4番目の規模を誇るZKB銀行は昨年9月、個人顧客向けにビットコインとイーサリアムの取引・保管サービスを立ち上げた。
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米国や日本における準備金提案
国によるビットコイン準備金に関して現在注目が高まっているのは米国の動きだ。ドナルド・トランプ次期大統領は、選挙キャンペーン中に政府がすでに手元にあるビットコインを備蓄することを提案。
シンシア・ルミス議員は、さらに大胆に政府がビットコインを準備金として購入することを定める法案を提出している。一部の識者は、2025年に米国によるBTC購入はないかもしれないが、関連の議論が議会で深まるだろうと意見しているところだ。
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他に、EUやブラジル、ロシアなど様々な国の議員がビットコイン準備金を提唱し始めている。日本では「NHKから国民を守る党」の浜田聡議員が外貨準備金の一部をビットコインなど仮想通貨にすることを検討すべきと表明した。
これに対して、石破茂総理名義で発表された答弁書は、まだ他国でも議論の段階であり、準備金においては安全性と流動性確保が最優先だとも強調。「見解を示すことは困難」としていた。
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