ステーブルコインで寄付
サークル社のジェレミー・アレールCEOは9日、ドナルド・トランプ次期米大統領の就任式実行委員会に、同社が発行するステーブルコイン「USDC」で100万ドル(約1.6億円)を寄付したと公表した。
就任式実行委員会がUSDCで寄付を受け付けたことについて「これは我々がどのくらい発展したか、デジタルドルの可能性や力がどれだけあるのかを示している」とコメント。大統領選で早くから暗号資産(仮想通貨)を支持する姿勢を強く示したトランプ氏の就任式は現地時間20日に迫っている。
ステーブルコインとは
価格が常に安定するように設計された仮想通貨のこと。法定通貨または仮想通貨に価値が裏付けられていたり、アルゴリズム等で価格を安定させたりする様々なステーブルコインが開発されている。
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トランプ氏は選挙活動中も仮想通貨業界から多額の寄付を受けてきた。大統領選後も就任式に向けてサークル社の他、すでにコインベースやクラーケン、リップル社らが寄付を行なっていることが伝えられている。
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大統領選前後の言動から、次期トランプ政権は仮想通貨に友好的な規制を行うとみられている。現在、米国ではステーブルコインに関する法案を審議中だ。
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過去の審議では民主党と共和党間で議論が紛糾した様子が伝えられているが、議員で広範な支持を得られていることも明らかになっている。
仮想通貨運用企業Bitwiseのマット・ホーガン最高投資責任者は24年4月、米国で包括的なステーブルコイン法案が可決した場合、仮想通貨の広範な普及という面でビットコイン(BTC)現物ETFの承認と同等か、それ以上に大きな影響を与える可能性があると述べていた。
ステーブルコインの可能性
ステーブルコインの用途や可能性を評価しているのはホーガン氏だけではない。
例えば、米財務省は24年10月、法定通貨に裏付けられたステーブルコインの普及が米国短期国債の需要増加につながっている可能性が高いと指摘した。
当時の報告書によれば、ステーブルコインの担保資産の多くは短期国債および財務省が保証するレポ取引で構成されており、総額1,200億ドル(約19兆円)が直接米国債に投資されていると推計されている。
また、英大手スタンダード・チャータード銀行は同11月、Zodia Marketsと共同でステーブルコインに関するレポートを発表し、「近年、仮想通貨取引以外の用途にステーブルコインが使用されるケースが顕著に増加しており、仮想通貨初のキラーアプリとなる可能性が高い」と指摘した。
その際、仮想通貨取引だけでなく、従来の金融(TradFi)で提供されている米ドル建の貯蓄や取引、米ドル建のクロスボーダー取引などに、ステーブルコインが使用されるようになっていると説明している。
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