極東の電力計画
ロシアのユーリ・トルトネフ副首相(極東担当)は極東地域の電力産業の発展に関する会議で、余剰電力を暗号資産(仮想通貨)マイニングに利用することで、コストの削減が図れるとの考えを示した。
極東地域における今後18年間の電力消費の伸び率は、ロシアの平均を超えると予想されている一方で、現在実施されている投資プロジェクトに必要とされる電力の供給には、すでに問題が生じているという。
トルトネフ氏は、新たなエネルギー容量の創出計画では、実施中および実施予定の投資プロジェクトのニーズだけでなく、極東地域における余剰電力の創出も考慮すべきだと主張した。
我々は、極東連邦管区の投資プロジェクトの数は増加すると確信している。したがって、予備容量を作るのは良い考えだ。そして、余剰電力があれば、それを(仮想通貨)マイニングのために蓄えておくべきだ。単に予備として保持しておくだけでは費用がかかるが、マイニングに使用すれば、費用はかからない。
また、プーチン大統領の極東特使でもあるトルトネフ氏は、極東地域の発展のため、このような対策はロシア極東の全地域で実施されるべきだと付け加えた。
エネルギー大臣も推奨
ロシアのセルゲイ・ツィヴィレフ エネルギー大臣は昨年9月、ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムで、「合法的な」仮想通貨マイナーに対しては余剰電力を供給する用意があると発言した。
ツィヴィレフ氏は仮想通貨マイニング産業の育成は、ロシア政府にとって優先事項ではないが、余剰電力を供給可能にすることは、マイナーと電力会社の両方にとって「有益だ」と述べた。
発電所がフル稼働しているとき、我々はこの余剰エネルギーをマイナーに提供する用意がある。ただし余剰エネルギーに限る。対象となるマイナーは、合法かつ税金を支払う必要がある。
同氏は、余剰エネルギーの利用方法がある場合、発電所は100%の稼働率で稼動可能となるため、発電所の経営にも、政府の税収にも、また一般の人々にとっても有益な状況だと説明した。
マイニング合法化と規制強化
ロシアは、2024年11月に仮想通貨マイニングを特定の条件下で合法化し、マイナーには仮想通貨とウォレットのアドレスを連邦税務局(FTS)に報告することが義務付けられた。
マイナーは事業登録を行い、収益を報告すること、さらに許可された地域と期間で事業を行うことが求められている。
ロシア政府は最近、マイニング事業に対する監視と税務コンプライアンスの向上を目指し、仮想通貨マイニング登録とオンライン報告システムを導入した。
エネルギー省は、マイニング機器の統一された登録簿作成計画を発表。この登録簿は、マイニング業界への明確な規制導入のツールとして機能し、政府はこのシステムを通じて、マイニング業務の監視と規制強化を図る。
ロシア政府は、今年1月から複数の地域におけるマイニングの全面禁止や、その他の地域での季節的な制限を課す規制を導入した。2025年の最初の制限期間は1月1日から3月15日まで。季節的な禁止措置は、厳しい冬のエネルギー消費ピーク時に合わせ、2031年まで毎年11月15日から3月15日まで実施される。
マイニング登録簿の導入により、これらの禁止地域でのマイニング活動の特定が容易になると見られている。
また、FTSは納税者のアカウントに新機能を追加し、仮想通貨の領収書を税務当局に直接報告できるオンラインサービスの提供を開始した。この新たなシステムでは電子署名による身元確認が必須となっており、個人ユーザーと法人ユーザーの両方が簡単に報告手続きを行えるよう設計されている。
マイニング事業者は、個人、法人ともに毎月20日までに採掘した通貨に関する報告書を提出することが義務付けられている。
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