マイニング収益に課税
ロシアのウラジミール・プーチン大統領は29日、暗号資産(仮想通貨)のマイニングと取引に課税する法的枠組みを規定する法律に署名した。法律の内容は原則的に即時発効するとみられる。
この法律は、税法改正を行い、仮想通貨を財産として認めて課税対象とするものだ。
まず、この法案は仮想通貨マイニング事業者に対する段階的税制を導入している。年間240万ルーブル(約340万円)までの収入があるマイナーは、一律13%の税率を支払う。
累進課税により、政府は高収益のマイナーからより多くを徴収し、小規模マイナーには有利な税制環境を提供できる見込みだ。また、企業としてマイニングを行う場合は、来年から標準法人税率25%の対象になる。
これにより、ロシア政府は、マイナーから年間最大2,000億ルーブル(約2,800億円)を徴収できることを見込んでいると報じられる。
マイナーが採掘した仮想通貨を取引所で販売する際のVAT(付加価値税)については免除される。
また、法律はマイニングの監視を強化する内容を盛り込むものだ。マイナーは、ロシア連邦税務局(FTS)に収入などを報告することが義務付けられ、これに従わなかった場合は、最大4万ルーブル(約5万6,000円)の罰金が科せられる可能性がある。
さらに、マイナーは顧客に関する情報を税務当局に提供することも義務付けられる。
ロシアの税務当局は、すでに政府認可の大規模マイニング事業者についてのデータベースを立ち上げた。
なお、ケンブリッジ大学オルタナティブ金融センターによると、2022年1月時点で世界のビットコイン採掘ハッシュレートに占めるロシアの割合は4.7%だ。なお同時点での首位は米国で37.8%、中国が21.1%と続いていた。
ハッシュレートとは
マイニングの採掘速度のこと。日本語では「採掘速度」と表現される。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる。
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国際貿易での仮想通貨決済を許可
ロシアでは9月1日より、実験法制度の枠組み内で仮想通貨による国際決済を許可する法律が施行されているところだ。
ロシアでは、商品やサービスの決済に仮想通貨を使用することは引き続き禁止されるが、この法律は、外国との貿易活動における決済手段として仮想通貨の使用を許可するものとなる。
現地の弁護士によると、まず第一段階では仮想通貨による国際的な支払い、その後の段階では仮想通貨による為替取引に関する実験的枠組みが導入される見込みだ。
なお、ロシアはウクライナ侵攻後に西側諸国からの経済制裁に直面しており、仮想通貨の採用はこれを回避する目的もあるとみられている。
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