
「新たなアセットクラス」とする議論
自民党の塩崎彰久議員(デジタル社会推進本部web3主査)は27日、衆議院予算委員会で暗号資産(仮想通貨)について質問。仮想通貨を金融商品取引法の中に位置づけるのが適切ではないかと述べた。
その際には、これまでの有価証券とは異なる新たなアセットクラスとするのが、投資家保護、市場の健全育成、分離課税の実現という様々な観点から見てバランスがいいのではないかと自民党内で議論していると続けた。
背景としては、暗号資産は1,000万口座を超えるほどアセットとして認識されており分離課税を求める声も多いことや、情報開示面など投資家保護の必要性を挙げている。
一方で、「有価証券」とみなせば海外では「セキュリティ」に分類されるもので、証券とは様々な制約を受けてしまう可能性もあると指摘。自民党としての考えを早ければ来週にでも公表できるように考えをまとめていきたいと話した。
従来のアセットとは違う暗号資産の性質を踏まえながら、金融商品取引法の対象とする方向性を探る姿勢を示した格好だ。
これに対して、西野太亮政務官が回答。金融庁は外部有識者との勉強会を重ねており、現在法令上は「決済手段」とされている暗号資産について「投資対象」とすることがふさわしいのかを議論していると述べた。
また、暗号資産を金融商品取引法の規制の対象にするか否か、また同法によって規制する場合は、アセットクラスや種別ごとの分類などをどのようにするのかも議論する必要性を示唆した。現時点では、こうした部分についてはまったく方針が固まっていないと話している。
西野氏は、「いずれにしても暗号資産取引市場がいかにして健全に発展していくのかということが重要」だとして、その観点から検討を進めていきたいと締めくくった。
なお、加藤財務相は1月の衆議院本会議にて、金融庁が暗号資産に関する制度の見直しを2025年6月末までに行う方針だと明らかにしていたところだ。
関連:暗号資産の税制・制度、25年6月末までに検証 加藤財務相
トランプ政権もトークン分類作業中
日本政府も今後、暗号資産の分類について検討していく可能性があるが、米国では、トランプ政権下で新体制となった米証券取引委員会(SEC)がトークン分類について作業を進めているところだ。
すでにSECはミームコインについての見解を27日に発表。ミームコインは収益を生み出さず、企業の将来の収入、利益、資産に対する権利を付与しないため、「証券」には該当しないとの見解を示している。
一方で、あるプロジェクトが内実は証券であるものをミームコインと偽装している場合、そのプロジェクトの経済的実態に基づいて評価されるとも注意を促した。
関連:米SEC「ミームコインは証券法の対象外に」 詐欺リスクへの注意も
ミームコインとは
インターネット上で話題になることで人気を集めるコイン。代表的なものにイーロン・マスク氏がSNSで言及することで取引量が急増したドージコイン(DOGE)がある。2020年にドージコインを踏まえてリリースされたSHIBA INU(SHIB)も存在。
米国では特に、バイデン政権下のSECが、様々なトークンを「未登録証券」とみなして仮想通貨企業に裁判を起こしてきた。その過程では、SECが証券性を判断する方法が恣意的だとの批判が業界やSEC内部からも上がってきた。
SECが今後、どのようなトークンが証券とみなされるかを明確化すれば、こうした状況が変化し、Web3企業もプロジェクトを進めやすくなる可能性がある。