はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

次世代金融チェーンedgeX:誰でも使えるDeFiを実現したモバイルアプリ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

暗号資産(仮想通貨)市場では、分散型取引所(DEX)の存在感が高まっています。中央集権型取引所はこれまで、高効率な処理能力やユーザーフレンドリーなインターフェース、豊富な流動性を武器に市場をリードしてきましたが同時に中央集権化リスク、資産管理の不透明さ、自己資産のコントロール権の欠如といった問題が発生する可能性も抱えています。

FTX事件以降ユーザーの資産安全性への懸念が高まり、DEXが提供する「分散化」「自己資産管理」「取引の透明性」「スマートコントラクトによる自動化」といった特性に注目が集まっています。

DEXの台頭は、ユーザーニーズの変化だけでなく、ブロックチェーン技術の進化にも支えられています。高性能なL1/L2チェーン(基盤ブロックチェーンと拡張レイヤー)とパーペチュアル取引(Perp:期限のない先物取引)DEXの組み合わせは、チェーン上での高頻度取引の実現可能性を示しています。

インフラストラクチャーの発展によるDEXのパフォーマンス向上

edgeXエコシステムの最初の市場検証用製品である「edgeX v1」は、StarkEx Layer 2エンジンを採用し、決済とロールアップシステムの効率化とセキュリティを実現しています。edgeXでの取引はすべてZK-Proof(ゼロ知識証明:取引内容を開示せずに正当性を証明できる技術)によって検証されます。

StarkExのZK-Rollup(取引を束ねてから証明することで処理を効率化する技術)を通じて、ユーザーの取引はレイヤー2で処理され、イーサリアムのスマートコントラクトによって最終的な検証と確認が行われ、取引の透明性と安全性を確保しています。

edgeXは以下のイノベーションを通じて他のPerpDEXとの差別化を図っています。

1. オーダーブック取引エンジンレイヤー

edgeX v1は毎秒20万件の注文処理能力を備え、マッチングの遅延は10ミリ秒未満です。この取引エンジンが、高頻度取引や大規模な同時ユーザー取引の基盤となっています。

複数のシャード(データベースを分割して処理を並列化する技術)を活用することで、スケーラビリティも確保しています。10シャードにスケールアップした場合、毎秒20,000トランザクションの処理が可能となり、一般的なDEXを上回る処理能力を実現しています。

2. ハイブリッド流動性レイヤー

edgeXはネイティブ資産ブリッジのサポートと主要ブロックチェーンとの統合により、ユーザーが複数のブロックチェーン間で資産を出し入れできる機能を提供しています。現在、edgeXはマルチチェーンスポット取引を提供しており、ユーザーはクロスチェーン操作なしでリアルタイムの取引機会を捉えることができます。

このシステムにより、異なるブロックチェーン上の資産を保有するユーザーでもedgeXのサービスを利用できるようになっています。ユーザーは自分の資産の管理権を保持したまま、様々なチェーン間で取引が可能です。

3. ユーザーフレンドリーなインターフェース

edgeX v1は約100カ国のApp Storeで公開されており、edgeXのUIデザインはユーザーニーズに基づいて開発され、モバイル端末での体験は主流の取引所アプリに近い操作性を提供しています。

取引画面では、必要な情報が表示され、注文操作を行うことができます。チャート表示やテクニカル分析ツールも実装されており、ポジション管理画面では、現在のポジション状況や利益・損失が表示されます。

登録プロセスも簡略化されており、複数の当事者間で秘密情報を共有せずに計算を行う技術を活用したソーシャルログイン機能により、メールアドレスでの登録が可能です。これにより、暗号資産取引の経験がないユーザーも利用を開始できる環境を提供しています。

4. リスク管理とVault保護メカニズム

edgeXはCEXとDEXの特性を組み合わせ、クリアリング、リスク管理、Vault(資産保管庫)設計において最適化を図っています。

4.1 中立的な価格決定の仕組み

edgeXは、第三者オラクル(外部からの信頼性の高いデータ提供者)を使用しています。これにより、プロジェクト側が清算価格を直接操作することができず、透明性と公正性のある清算メカニズムが実現されています。

この仕組みは市場変動時に役割を果たします。中央集権型取引所では「フラッシュクラッシュ」と呼ばれる急激な価格変動が発生し、予期せぬ清算が行われるケースがありましたが、edgeXの中立的な価格決定メカニズムはこうした問題の解決を図っています。

4.2 Dynamic Margin Transfer Ratios(動的な証拠金移転比率)

ユーザーの損益状況やレバレッジ水準に応じて、証拠金の出金・移転比率が動的に調整されます。この仕組みにより、証拠金維持が可能になり、大口ポジションの清算が市場に与える影響を抑制します。

例えば、レバレッジが高いポジションを持つユーザーは、より多くの証拠金を維持する必要があり、出金可能な割合が制限されます。これにより、システム全体の安定性が保たれる設計となっています。

4.3 Dynamic Leverage and Risk Limits(動的なレバレッジとリスク限度)

ポジションの規模が大きくなるにつれ、利用可能なレバレッジが段階的に制限されます。つまり、取引規模が大きくなると、必要な初期証拠金比率も自動的に高くなります。

  • 各取引ペアには最低の維持証拠金率が設定されており、
  • リスク限度に応じて、証拠金の要件が段階的に引き上げられます。

複数のアカウントを使用してポジションを分散させても、総資金に対する初期証拠金の割合は変わらないよう設計されており、不正なレバレッジ拡張を防止する仕組みとなっています。

4.4 Vaultの健全性を守る追加対策

edgeXでは、専用のリスク準備金(リスクファンド)を設けており、マーケットメイク(MM:市場に流動性を提供する活動)による一時的な損失が、新たにVaultに参加するユーザーに与える影響を抑制しています。

このリスクファンドは、市場の変動時にVault全体の安定性を維持する機能として設計されています。

「インフラ+ナラティブ」から実需への転換

暗号資産プロジェクトの評価はインフラ構築とナラティブ(物語性)マーケティングに偏重し、実際の製品がないままプライマリーマーケット(新規発行市場)で評価が形成されるケースがありました。しかし、市場の成熟化と市場サイクルの変化により、投資家やユーザーの視点は変化しています。

edgeXは市場検証用製品である高性能PerpDEXを通じてユーザー成長を進めています。edgeX Mobileは、App Storeでのリリース後にダウンロードを獲得しました。インターフェースの簡素化と操作プロセスの最適化により、チェーン上取引の経験がないユーザーも利用を開始できる環境を提供しています。

現在もCEXが主流を占めていますが、プラットフォームルール、市場操作、情報の非対称性などの課題も存在しています。edgeXは分散化されたアーキテクチャと機能体験を通じて、ユーザーの取引機会と取引公平性への需要に応える設計となっています。

今後の展望:金融決済チェーンとしての発展

edgeX v2の導入により、edgeXは分散型デリバティブプロトコルからDeFi製品のための専用金融決済チェーンへと進化を進めています。この進化は以下のようなマイルストーンに沿って計画されています:

  • 2024年第2四半期:V1テストネットとウェブインターフェースのリリース
  • 2024年第3四半期:V1メインネットとモバイルアプリのリリース
  • 2024年第4四半期:エコシステム製品とSDK(開発キット)の統合
  • 2025年上半期:パーミッションレス(許可不要)な流動性モジュールの展開

計画されている機能の一つが、流動性プロトコル「ePool」の導入です。これは、流動性提供者と取引者の間で資本配分を行う仕組みで、取引の深さと効率性を高めることを目的としています。ePooは、複数のチェーンから流動性を集約し、配分を行うことで、取引コスト削減と流動性向上を図る設計となっています。

また、モジュラー設計の採用により、将来的には開発者や一般ユーザーが自分のニーズに合わせた金融サービスを構築できる可能性があります。金融プロダクトの機能を独立したモジュールとして分割し、組み合わせることで、柔軟性と拡張性を高める取り組みが進められています。

まとめ

edgeXは分散型金融の透明性や自己管理といった特性を維持しながら、中央集権型取引所のような操作性を提供する取り組みを行っています。100カ国以上でリリースされているモバイルアプリは、暗号資産取引に不慣れなユーザーも利用を開始できる環境を提供しています。

取引エンジン、リスク管理システム、ユーザーインターフェースを備えたedgeXは、CEXからDEXへの移行を促進するプラットフォームとして位置づけられています。今後、v2の展開とともに、取引所から金融決済チェーンへと進化することで、DeFiエコシステムの発展に寄与する計画が進められています。

暗号資産市場が成熟し、ユーザーの要求が高度化する中、「操作性」と「セキュリティ」を両立させたプラットフォームの役割が注目されています。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/11 木曜日
18:32
NYSE、サトシ・ナカモト像を設置 ウォール街の変化示す
ニューヨーク証券取引所がビットコイン創始者サトシ・ナカモトの像を設置。設置者のトゥエンティワン・キャピタルは約4万BTC保有で世界3位。伝統的金融が仮想通貨を受け入れる象徴的出来事に。
17:56
テザーとHoneyCoinが提携、アフリカでUSDT決済を拡大
テザーはHoneyCoinと戦略的提携を発表し、アフリカでのUSDT決済拡大を目指す。HoneyCoinはQRコードや専用端末に対応したPOSネットワークを導入し、加盟店が直接USDTを受け取れる仕組みを構築。まずケニアでサービスを開始し、他市場へ展開予定。現地通貨の変動リスクを避けたいユーザーの需要に応え、アフリカにおけるステーブルコイン普及を加速させる。
17:15
コインチェックがソラナ(SOL)の取扱いを開始
コインチェックがソラナ(SOL)の取扱いを開始。販売所・取引所・つみたてに対応し、1万円購入で抽選1万円分のSOLが当たるキャンペーンも実施中。
16:47
ブータン都市GMC、金裏付けトークン「TER」発行へ ソラナ活用
ブータンの特別都市GMCが、金を裏付け資産とする国家支援型トークン「TER」をソラナ基盤で発行。DK Bankが販売・保管を担い、同国のデジタル経済戦略を加速させる取り組みとなる。
16:33
仮想通貨取引所ジェミニ、CFTC承認で予測市場参入へ
仮想通貨取引所ジェミニがCFTCから予測市場運営の承認を取得。関連会社ジェミニ・タイタンを通じて二者択一式イベント契約を提供する。カルシとポリマーケットが急成長する予測市場で、競争が激化している。
14:58
仮想通貨業界トップ、米CFTC新設諮問会議に参加へ
米CFTCが「CEOイノベーション評議会」を設立し、クラーケンやジェミナイなど仮想通貨業界トップが参加。デリバティブ市場の構造変化やトークン化について議論。仮想通貨担保のパイロットプログラムも開始。
14:06
レイヤーゼロ(ZRO)とは?スターゲートの使い方・バイバックの仕組みを解説
レイヤーゼロ(LayerZero)の仕組みやZROトークンのバイバック、スターゲートを使ったブリッジ方法を初心者向けに解説。Stargate買収の背景やリスクまでわかりやすく紹介します。
12:05
イーロンのスペースX、146億円相当のビットコイン移動 IPO関連か?
イーロン・マスク氏率いるスペースXが約146億円相当のビットコインを移動した。10月から毎週大規模な送金を継続しており、IPO計画との関連が注目されている。
11:49
トム・リー氏、「イーサリアムは既に底打ち」 先週690億円相当を購入
ビットマイン会長トム·リー氏が、イーサリアムは既に底入れしたと発言。同社は先週、約4億6,000万ドル相当のETHを購入し、10月以来最大規模の買い増しを実施。今後10~15年間、ビットコインよりもイーサリアムの将来性に期待を寄せている。
11:49
FRBの慎重姿勢でビットコイン反落 2026年の利下げは限定的か
FRBは25bpの利下げを決定したが、パウエル議長の慎重姿勢を受けビットコインは下落した。2026年の追加利下げは1回との見方が広がる中、グラスノードのデータは実現損失が1日5.5億ドルとFTX崩壊時並みの高水準を示す。機関投資家の本格参入で4年サイクル終焉論も加速。
11:04
米大手9行が仮想通貨企業を排除 通貨監督庁が是正へ
米通貨監督庁(OCC)は、JPモルガンなど大手9行が2020-23年に仮想通貨企業を含む合法事業者へのサービスを業種理由で制限していたと発表。「金融の武器化」と批判し、違法行為には司法省照会も検討。トランプ政権下で「デバンキング」問題の是正が加速。
11:00
ビットコイン9.4万ドル急騰からの反落、FOMC利下げ後に軟調な動き|仮想NISHI
FRBの25bp利下げを受け、ビットコインは一時9万4000ドルまで上昇したものの、その後反落。X-Bankアナリストの仮想NISHI氏によると、デリバティブ市場でのロング解消による売り圧力が現物買いを上回っている。欧米機関投資家のクリスマス休暇入りを控え、年末にかけて軟調基調となるリスクを指摘。
09:19
ストラテジー社、ビットコイン保有企業の扱いめぐり書簡 MSCI指数除外案に反対表明
ビットコインを蓄積するストラテジー社がMSCIの指数除外案に反対意見を提出。仮想通貨保有50%以上の企業を除外する提案に対して、様々な観点から異論を唱えている。
09:11
Superstate、株トークン化の新サービスをローンチへ
Superstateは、株式をトークン化する新サービスを発表。上場企業が仮想通貨イーサリアムやソラナのブロックチェーン上で株式を新たにトークン化して、投資家に直接発行することができる。
07:40
ビットコインの買い増しなどを計画 米Strive、最大約780億円を調達へ
米Striveは、最大約780億円相当の株式を発行・販売する契約を締結。調達資金は仮想通貨ビットコインの買い増しやビットコイン関連商品への投資などに使用すると説明した。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧