
ビットコインの強気ケースとは
米資産運用会社ビットワイズのマット・ホーガン最高投資責任者(CIO)は9日の顧客向け報告書で「トランプ政権はドルの基軸通貨としての地位を犠牲にしてでも、大幅なドル安を望んでいることは明らかだ」と分析。市場の混乱と絶え間ないニュースフローにより投資家心理が動揺する中、ホワイトハウスの戦略がより明確になったとホーガン氏は語っている。

出典:fx.minkabu.jp/pair/USDJPY(ドル円チャート)
ホーガン氏によれば、この政策はビットコインに大きな影響をもたらす可能性がある。短期的には、2020年以降のデータが示すように、米ドル指数(DXY)が下落するとビットコインが上昇する相関関係が続くと予想される。「ドル安はビットコイン高につながる。このパターンは今後も続くだろう」とホーガン氏は説明した。
長期的な展望はビットコインにとってさらに強気だという。関税主導の世界経済リバランスとドル依存度低下により、各国経済は新たな準備通貨を模索するようになる。ホーガン氏は世界が単一の準備通貨(ドル)から「より分断された準備通貨システム」へと移行する中で、ビットコインや金のような「ハードマネー」の役割が拡大すると予測している。
「国際情勢が緊張し、世界の通貨が流動的な状況では、投資家が、希少でグローバルでデジタルな価値保存手段として、政府や特定の組織の管理下にないビットコインに注目するのは当然だ」とホーガン氏は主張。国際的な混乱がビットコインの価値を高める可能性を示唆した。
一方で、ビットワイズは昨年12月、ビットコインが2025年末までに20万ドルに達するとの予測を発表していたが、同氏はこの予測について「まだ可能性がある」と強気な見方を維持している。
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世界的な貿易戦争が激化している中、ビットコイン(BTC)をはじめとする仮想通貨市場や為替相場にも大きな影響を与えている状況だ。米国ホワイトハウスの経済諮問委員会のスティーブ・ミラン委員長は4月8日、ドルの基軸通貨としての役割が米国の製造業に悪影響を及ぼし「為替市場を歪めてきた」と指摘し、トランプ政権のドル安促進の姿勢を示した。
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