
「アメリカン・ビットコイン」始動準備
米上場マイニング企業Hut8と、トランプ家主導の企業American Data Centersが支援する合弁会社American Bitcoin(アメリカン・ビットコイン)は、グリフォン・デジタルとの合併により上場する手続きを進めている。Hut8が12日に発表した。
アメリカン・ビットコインとグリフォンは、株式公開に関する最終合併契約を締結したところで、今後グリフォンが株式交換による合併取引でアメリカン・ビットコインを買収する予定だ。
この取引は、早ければ2025年7~9月期に完了する見込みである。
取引完了後、会社は「アメリカン・ビットコイン」ブランドの下で運営され、マイク・ホー氏が会長、マット・プルサック氏がCEO、トランプ大統領の息子であるエリック・トランプ氏が最高戦略責任者として率いていくことになる。
新会社は、ナスダックでティッカーシンボル「ABTC」で取引される予定だ。また、アメリカン・ビットコインの株主が約98%を保有し、グリフォンの株主が残りの2%を保有することになる。アメリカン・ビットコインは、Hut8の過半数所有子会社だ。
Hut8のアッシャー・ジェヌートCEOは、次のようにコメントした。
この取引は、アメリカン・ビットコインを、低コストで大規模にビットコイン(BTC)を蓄積するための、目的特化型事業体として拡大させる一歩となる。
アメリカン・ビットコインを上場させることで、Hut8のバランスシートとは独立した形で、この事業が成長資金を直接調達することが可能になると期待できる。
取引完了後も、Hut8は一連の長期商業契約を通じて、アメリカン・ビットコインとの特別なインフラ・オペレーションパートナーであり続ける。これにより、Hut 8は安定した契約収益を生み出すことが期待される。
今回の発表後、Hut8の株価は時間外取引で12%上昇した。
ビットコイン財務戦略も構想
アメリカン・ビットコインは、3つの主要目標を掲げている。「ビットコインの効率的なマイニング」、「ビットコイン・エコシステムの主導」、「ビットコイン準備金の積み立てだ。
4月時点で、Hut8のジェヌートCEOは長期的にはアメリカン・ビットコインを「二つの姉妹上場企業」として経営する構想を語った。一方がエネルギーとデータセンターインフラを提供し、もう一方がビットコインマイニング機器など仮想通貨関連事業を行う体制を目指すという。
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「ビットコイン準備金の積み立て」に関しては、米ストラテジー社のような、ビットコイン財務戦略を予定している。ビットコインを保有・購入することで、同社株式を、ビットコインへの長期的な間接投資手段とする見込みだ。
ストラテジー社のように転換社債などを活用して資金調達し、ビットコインを購入することも構想している。それに加えて、自社でマイニングしたビットコインの一部も蓄積に充てる予定だ。
トランプ一族は、アメリカン・ビットコインの他にも様々な仮想通貨事業を行ってきた。例えば、トランプ夫妻による公式ミームコイン発行、DeFi(分散型金融)プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」の立ち上げなどがある。
民主党の一部からは、特に公式ミームコインについて利益相反ではないかとの批判が上がっているところだ。
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