- ビットコインプライベートで約4.2億円分の仮想通貨不正発行が発覚
- 時価総額100位以内のフォーク通貨であるビットコインプライベート(BTCP)が約204万枚分も不正に発行されていた事が仮想通貨企業Coin Metricsの調査の結果、発覚した。開発側は不正発行との関与を否定し、発行された通貨の除去を図るハードフォーク決行も辞さない構えを見せている。
ビットコインプライベート、204万枚の不正発行が明らかに
時価総額93位の仮想通貨ビットコインプライベートで、通貨が不正に約200万枚(約4.2億円分)発行されていたことがCoinMetrics社の独自調査レポートで23日判明した。
さらに本日、ビットコインプライベート側からも公式見解が発表されている。
ビットコインプライベートとは
ビットコインプライベート(BTCP)は、ビットコインとZクラシック(Zキャッシュからの派生通貨)の統合フォークから今年3月頃に生まれた匿名通貨だ。
今回はプライバシーを提供する匿名化技術、zk-SNARKsを持ち、なおかつビットコインと同じ2100万枚の発行上限量をもつBTCPにおいて現在、正体不明の犯人が独断でBTCP204万枚(約4.2億円)を不正発行した点が問題となっている。
CoinMetrics社レポート内容
23日に公開されたレポート内で、CoinMetricsは、ビットコインとZクラシックのハイブリッド通貨である「ビットコインプライベート」がハードフォークした直後に何者から追加で204万BTCP分、余計にプレマイニング(事前採掘)されていたことを指摘した。
CoinMetrics側が実際にノードを運行したところ、CoinMarketCapなどで表示される流通量とマシンが表示する流通量に差があったことを発見した。
ビットコインとZクラシックのハイブリッド通貨と呼ばれるBTCPだが、実際はZクラシックの台帳(レジャー)を元に分裂している。そこにマイナー貢献プログラム分の62,500BTCPを加えて、ビットコインプライベートは開始した。
CoinMetricsの調査では、ブロックチェーンを移行する際、102のブロックでそれぞれ50BTCP分の取引が400確認されていた。
それを計算すると、204万BTCP分が余計に発行された計算となる。
102(ブロック数) X 400(取引数) X 50(取引額)= 2,040,000BTCP(不正に発行された総量)
ビットコインプライベート側の公式発表
このような情報が明らかとなった中、ビットコインプライベート側は、約1日後に公式対応を発表した。
We have written our official response to the Coinmetrics report published yesterday. Please see the link below.https://t.co/TmuuhgoJHq
— Bitcoin Private [BTCP] (@bitcoinprivate) 2018年12月24日
公式発表では、主に以下の3点が説明された。
事件との関与を否定
不正発行の発見に至る経緯を説明
今後の方針
ビットコインプライベート側は、公式ブログからの発表で不正発行との関与を否定した。
BTCP開発チームはレポートが公開されるまで、事件の内容を知らされていなかったという。
このように明記した上で、CoinMetricsの計算が正しいとも言及し、レポートの内容と詳細を時系列順に置き換え説明した。
- Githubでバグを発見した人に報酬が与えられる制度が設立される
- 開発者がBTCPのデベロッパーに。Githubのコントリビュータとなった為、コードを追加できる権限を与えられる。コードを提出すると、自動で報酬がもらえる仕組み。
- 修正点の依頼を受託し、コードを提出するものの、1行コードが欠けていた為、フォークで採掘された通貨が承認されなくても発行されてしまうバグが発生する。
- このコードを1月に提出した後、同開発者は開発貢献と開発チームとの連絡が途絶える。
- フォークマイニングが公表されると、何者かがこの弱点につけ込み200万以上の通貨を不正に発行。CoinMetricsに指摘されるまで、BTCPチームは脆弱性に気づかなかった。 <
- CoinMetricsが流通量の誤差に気づく。調査の結果、不正があったことを確認する。
- BTCPチームもCoinMetrics側の発表を受け、独自の調査を開始し、今後の方針を検討。
- BTCP開発チームは同通貨を取り扱う全取引所におけるビットコインプライベートの入出金と取引停止を呼びかける。
今後の予定
この件に伴い、ビットコインプライベート側は、不正に追加された204万BTCPの排除を目的とした緊急のハードフォークも辞さない姿勢を示している。
CoinMetricsは、シールドアドレスには170〜180万枚相当の不正に発行されたBTCPが存在すると想定しており、開発チームはこれらの最大180万枚の不正通貨を除去するハードフォークの決行も辞さない構えだ。
2万枚の正規BTCPも除去される可能性があるが、不正発行されたBTCPをそのままにするよりは良い選択肢だと捉えている。
事件の真相はまだ明かされていないが、仮想通貨やブロックチェーンプロジェクトの利点でもあるオープンソースという特性が逆に、今回ビットコインプライベートでは脆弱性として利用されてしまった印象が見受けられる。
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