
強制売却の価格帯とは
スタンダード・チャータード銀行は6月3日、上場企業のビットコイン(BTC)保有が急増する一方で、価格下落時に強制売却の波が発生する可能性があると警告した。同行のデジタル資産担当トップアナリスト、ジェフ・ケンドリック氏は、企業の平均購入価格から22%下回る水準を「強制清算の潜在的レベル」と分析している。Investing.comやCoinDeskなどの海外メディアがレポート内容を報じた。
現在60社超の上場企業が財務戦略としてビットコインを保有し、合計67万 BTC以上のビットコイン(全供給量の約3.2%)を管理している。これらの企業の半数が、平均9万ドル以上の価格帯でビットコインを取得しており、価格が大幅下落すれば財務上の圧迫を受ける可能性が高まる。2022年のCore Scientific社の事例では、生産コストを22%下回った時点で12,000以上のBTCを強制売却した事例がある。
企業財務戦略としてのビットコイン採用は2025年5月に急激な拡大を見せた。新規12社を含む合計45社が約4万5,680BTCを新規購入し、特にGameStopが4,170BTCを一括取得して注目を集めている。17社が数十億ドル規模の資金調達を発表し、10社が将来的な追加購入計画を明らかにしている状況だ。
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また、最初にビットコイン準備金を採用したストラテジー社は全体の86%にあたる580,955 BTCを保有し、平均購入価格7万ドルと比較的低水準を維持している。しかし新規参入企業の保有量は過去2か月で倍増し10万BTC近くに達し、多くがストラテジー社より高い平均購入価格で取得しているため、価格下落時のリスクが高い状態となっている。
ケンドリック氏は、ビットコイン価格が9万ドルを下回れば企業数ベースで半数の財務部門が含み損を抱えることになってしまうと指摘した。長期的にはETFアクセスの改善により、現在1を上回るNAV(プレミアムまたはディスカウント)倍率が持続不可能になり、ビットコイン保有企業の株価に下向き圧力がかかる可能性があると分析している。企業がどの程度の損失に耐えられるかが今後の鍵となりそうだ。
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