
米サークル社は7月10日、レイヤー1ブロックチェーンのSeiにネイティブ型USDCとCross-Chain Transfer Protocol(CCTP)V2を導入することを発表した。
CCTP V2は、異なるブロックチェーン間でUSDCを直接移動させるCircleが開発したプロトコル。
サークルは、米ドル連動型ステーブルコイン「USD Coin(USDC)」を発行するグローバルな金融テクノロジー企業。
Sei Networkは、高速なトランザクション処理を特長とするレイヤー1ブロックチェーンであり、ブロックチェーンイノベーションの最前線に立っている。EVM互換によりイーサリアムの開発ツールをそのまま活用できるほか、特にDeFi(分散型金融)やゲーム、支払いなどのアプリケーションに適している。
今後予定されているアップグレードでは、約20万TPS(トランザクション毎秒)と400ミリ秒未満のファイナリティ(取引確定時間)を目標とし、現在の50倍の処理能力向上を目指す。
サークルは、2025年7月時点でSei Network上でネイティブUSDCの提供を開始しており、これによってSei NetworkのユーザーはさまざまなアプリケーションでUSDCをシームレスに利用できるようになった。この統合は、Sei Networkの高速性とスケーラビリティを活用し、USDCの転送や取引を効率化することを目的としている。
今回の導入により、SeiエコシステムはUSDCへの直接アクセスが可能となった。CCTP V2を通じて、13の異なるブロックチェーン間で合計156のルートを使用した資産移動に対応する。
CCTP V2は、開発者向けのクロスチェーン機能を提供する。
13のブロックチェーン間でネイティブ型USDCを1:1の資本効率で移動させることができ、ブリッジによる資産のロックや価値の損失を回避する仕組みとなっている。この技術により、クロスチェーンでのオンボーディング、スワップ、購入、財務リバランスなどの機能を持つアプリケーションの構築が可能となる。ユーザーは従来のブリッジ操作と比較して、より直接的な資産移動が行えるという。
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既存USDCからの移行計画
現在、Sei上のUSDCはNobleから供給されている。ネイティブ型USDCのローンチ後も、Noble上のUSDCは引き続き利用可能な予定。
CircleとSei Foundationは、エコシステムと協力して、Noble上のUSDCからSei上のネイティブ型USDCへ段階的に流動性を移行する計画を策定する。この移行により、ユーザーは従来よりも直接的なUSDCへのアクセスが可能となる。
Noble経由のUSDCはIBCプロトコルを介して動作するため、Cosmosエコシステム内では効率的であるものの、イーサリアムの規格であるERC-20との互換性や他のエコシステムとの直接的な統合が限定的という課題があった。ネイティブ型USDCは、SeiのEVM互換と組み合わせることで、より広範なアプリケーションに対応可能になる。Seiのエコシステムは2025年に急速な成長を遂げている。Total Value Locked(TVL)は年初来で188%以上増加し、2億800万ドルから6億ドル(2025年7月10日時点)に達した。現在、200以上のアプリケーションが稼働しており、開発者コミュニティも拡大を続けている。
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