
現物取引量が30%以上減少
米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは7月31日、2025年第2四半期(4~6月)の決算を報告した。
第1四半期(1~3月)と比較して総収益が15億ドル(約2,300億円)で26%減、仮想通貨現物取引量が30%以上減少したと報告した。
純利益は14億3,000万ドル(約2,160億円)で、これは前四半期の6,600万ドル(約100億円)、前年同期の3,600万ドル(約54億円)と比較して大幅に増加している。
コインベースのビットコイン保有
2025年6月30日時点で、コインベースは11,776 BTCを保有しており、前四半期から2,509 BTC増加した。このビットコインの総コストはおよそ7.4億ドル(1,116億円)で、現在の公正価値は約12.6億ドル(1,900億円)となっている。また、今後も保有量を増加させていく方針であると述べている。
データ侵害の被害について
一方、データ侵害に関連する損失は、3億700万ドル(約560億円)に達したと発表している。
同社5月に、昨年12月にデータ侵害が発生していたことを公表していた。ハッキングではなく、インド拠点の社員が賄賂を受け取り、顧客情報を不正に引き渡したものだ。
パスワードや秘密鍵、資金の漏洩はなかったとされるが、利用者の約1%が影響を受け、その補償・対応費用が発生し、今回損失として計上された格好だ。当初は最大4億ドルと見積もられていた。
コインベースの株価は年初来で40%以上上昇しているものの、今回の決算発表後、時間外取引で8%以上下落している。
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新規事業
事業内容については4~6月期に、デリバティブ事業の革新と拡大を継続したと述べる。米国で仮想通貨の永久先物商品をローンチし、国際デリバティブ取引所における取引量と未決済建玉で過去最高を達成した。
その他、ステーブルコインUSDCの普及を進め、Base App(旧Coinbase Wallet)をオープンベータ版としてリリースしたことにも触れた。
Base Appはソーシャルネットワーキング、決済、トレーディングなど様々な機能を持つ次世代アプリで、現在70万人以上がウェイティングリストに登録している。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
バーンスタインは株価目標を引き上げ
先週、バーンスタインのアナリストは、コインベースの目標株価を510ドルに引き上げた。コインベースの多様な事業ラインが長期的な利益を生み出すとする格好だ。
例えば、同社はビットコイン上場投資信託(ETF)発行企業のほとんどにカストディサービスを提供している、さらに、イーサリアム(ETH)エコシステムの中でも、最も急成長しているレイヤー2である「Base」を支援していることも挙げた。
Baseは7月16日、処理速度が10倍になったと発表している。ゲームやリアルタイムのトレードなど、速い処理が必要な用途での活用が期待されているところだ。
BaseはイーサリアムL2の中でも預かり資産総額(TVL)がトップのブロックチェーンである。記事執筆時点で約42億ドル(約6,300億円)だ。なお、2位はアービトラム・ワンで約29億ドル(約4,400億円)である。
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