- コインチェック記者会見内容まとめ
- 金融庁は11日、マネックスグループで国内最大手のコインチェックを、改正資金決済法に基づく「仮想通貨交換業者」として、認可登録(関東財務局登録番号:第14号)。それを受け、コインチェックの記者会見が行われた。
コインチェックの会見
コインチェックは、改正資金決済法に基づく「仮想通貨交換業者」認可登録を受け(関東財務局登録番号:第14号)、記者会見「仮想通貨交換業者登録に関する報道機関向け説明会」を開催した。
コインチェックは、2018年1月26日にハッキング(不正アクセス)による仮想通貨NEMの不正送金事件が発生。関東財務局 から業務改善命令を受け、経営管理態勢及び内部管理態勢の改善を図ったのち、マネックスグループの傘下入りした。金融庁は、コインチェックの利用者保護の体制が十分に整ったと判断、登録認可を行なった。
本日登壇者として会見を行なったのは、新コインチェックの代表取締役に就任した勝屋 敏彦氏と、現執行役員の和田 晃一良氏と大塚 祐介氏だ。勝屋 敏彦氏は、2006年にマネックスグループに入社、マネックスFXの代表取締役社長、マネックス証券の代表取締役社長などを歴任してきた人物でもある。
まずはじめに勝屋代表取締役は、「仮想通貨交換業者は、著しく経営環境が変わる環境であるため、安心することなく、システムのセキュリティをはじめ様々な管理体制の強化について特段の努力をしていきたい取り組んでいきたい。仮想通貨交換業自体の、市場の健全な発展にお役立ちできるよう取り組んでいきたい。」と言及し、記者会見を開始した。
コインチェックの仮想通貨交換業者登録までの歩み
- マネックスグープ入り後、様々な経営体制の体制の整備、強化に取り組んできた
- お客様の資産保護の様々な仕組み、セキュリティの強化、業界として取り組んでいるマネーロンダリング対策などに注力した9ヶ月間だった
- 毎月業務改善報告で報告している。その結果一部の通貨のサービスを再開するなど、順次サービスを再開してきた
- その結果登録が完了
業務改善命令に関するコインチェックの取り組み
ガバナンスの変更
一番重要なのは、経営体制「ガバナンスの抜本的な見直し」
急速に大きくなった一方で、バランスを考えて経営をする点に努力が必要だと考えた。
取締役と執行部でガバナンスの構築に取り組んだ。
取締役に関しては、社外の取締役に入っていただき、ガバナンスを強化した。
お客様の財産保護
2つ目にお客様の財産保護を重点を置き、内部体制、システム管理体制の見直しを行なった。
お客様に対する苦情などの問い合わせに対する対応の強化にも当たった。
取締役に関する体制監督
取締役に関する体制監督をおこなった。
ガバナンス強化のための仕組み制度を導入、コンプライアンス、システムリスクの委員会に関しては外部の有識者に入ってもらった。
リスク管理に関しては、金融機関で作る3線の防衛ライン「フロントライン、チェックするミドル、内部監査」を導入した。
取り扱いの仮想通貨に関して
取り扱う基準を定める。
匿名性の高い通貨に関しては、基準のもと廃止することが決定した。
マネーロンダリング・テロ資金供託
マネーロンダリング・テロ資金供託
仮想通貨の性質上重要な「マネーロンダリング・テロ資金供託」は、金融庁が出したガイドラインに則って、リスクを特定・強化・低減していくことに、ロードマップを作成して取り組んできた。
業務改善命令に対するコインチェックの取り組み
- リスク管理体制の横断化
- システムリスク管理体制の強化
- 連携した監査、専門家の採用、人員強化
リスク管理体制の横断化
多面的に見る専門部署を設置(横断的監視部署)
システムリスク管理体制の強化
- 全般的な監視部署の設置
- システムリスク委員会による牽制
- ビジネスに使う端末などのセキュリティの強化
- ネットワークの分離
- 仮想通貨のシグネチャを複数行うマルチシグ化
- コールドウォレットを全通貨に設置
- セキュリティルームを全体的に強化
- (もし何かあった場合に対応する)インシデントが置きた時のレスポンスチーム(CSIRT)を設置
- 事後にも対応できるコンチプランを発動環境整備
- 役員にセキュリティ教育を強化
連携した監査、専門家の採用、人員強化
導入した3線の防衛ライン「フロントライン、チェックするミドル、内部監査」の内部監査に関して、マネックスグループの支援を受け、計画の時点から体制を整え強化してきた。
170万人の顧客のサポート
- ユーザーファースト 優れたUIUX
- マーケティング力 仮想通貨の幅広い知見
- 高い技術力 ブロックチェーン
- ユーザーサポート 複数拠点で対応
- 最新:システムセキュリティ さらなる改善
これまでの動きに、今回強化した「システムセキュリティ」を追加し、アプリをダウンロードした170万人の顧客をしっかりサポートできる経営体制が整った。
現状と今後の施策
左側のグラフにて、コインチェックの取引量と販売所における売買の回数を掲載。
ビットコインの取引量と顧客の活発度には相関性があるが、2018年10月30日の新規口座開設や一部仮想通貨再開(またはその報道)によって、売買回数が順調に増加している。
販売所や取引所としての地固めをしていくことが目先の目標。
マーケティングの施策としては以下の3点。
- 顧客のリテラシー向上を目的としたプロモーション施策の実施
- 入会から初回までのプロセスの改善(スムーズなプロセス)
- マネックスグループとの連携(サービスタイアップ)
マネックスグループとのシナジー
上部はマネックスグループが掲げてきたテーマ。
コインチェックについては、そのうち「新技術」、「個人」、「グローバル」において主軸になるオペレーション会社。
市場の健全に資するという意味で、仮想通貨交換業での確固たる地位を確率することに注力する。
クリプトアセットを活用したサービスに関しても展望していきたい。
2019年は仮想通貨交換業に注力し、将来的にはグループの中でシナジーを出しながら発展していきたいと考えている。
ICOやSTOにも興味を示す
また記者会見の記者質問に対して「新しいビジネスとして、ICO/STOなどに取り組む予定はあるか?」との質問に対して、和田 晃一良執行役員は以下のように言及した。
ICOやSTOなどそれぞれ色々なビジネスがあると思うのですが、継続的に調査検討を行なっています。
ブロックチェーンというのはそれまでの投機的な進出だけが使命ではないと考えており、私たちの会社も元々仮想通貨の決済をグローバルに行うことが目的で立ち上げています。
今後も販売所、取引所に集中していこうと考えていますが、中長期的にはそういった新しい仮想通貨やブロックチェーンを使った新たなサービスも視野に入れています。
質疑応答内容
- ―足元BTCをはじめ相場はかなり去年からしぼんでしまっていると思うのですが、そのきっかけの一つが御社の事件と思う方が多くいるがどのように受け止めているのか思っているのか?
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勝屋氏
当社の事件を境にマーケットが下がった現状はありましたが、必ずしもそれが影響したとは限りませんが、確かにマーケットが動いた事実はあるかと思います。当社のお客様だけではなくマーケットに携わる方々に対してご迷惑をおかけしているという認識はあります。だからこそ、我々からはしっかりとセキュリティは高めて不正流出が内容に勤めて行きたい。
- ―こうしたハッキングは二度と起きないと宣言できるのかお聞かせください。
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勝屋氏
ただ、セキュリティに関してはここまでやれば安全という訳ではないので、内部で努力をして我々の設備としては普段の努力を惜しまず、しっかりやっていくこと。これに尽きるのかと思います。
- ―騒動があって1年。話にもありましたが、そのそう度が起こったことで、かなり仮想通貨に対して不信感を持っている方々がいる面はある。あの騒動があったから仮想通貨の取引が浸透したという面もある。この1年を振り返りあの騒動がどのようなものだったのか聞きたいです。
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和田氏
確かに、ちょうど一年前ですかね。私たちの事件がありまして、その影響で色々なところにご迷惑をおかけしてしまったことはたいへん申し訳なく思っております。また、その中での1年間ですが、事件が起こったよりも以前から、仮想通貨は バブルだったなと考えておりまして。それが現在落ち着いた状況になったなと考えております。そしてこの状態が元々仮想通貨の正常な状態だと考えていまして、このような状況だからこそ例えば新しい技術の開発であったり、新たな商品の開発であったりと腰を据えて未来への投資をする事が出来ると考えています。その為、私達も色々な新しいコインやもう少し証券に寄ったような仮想通貨であったりといったものは??調査を行ないながら今後の業界の発展の為に努力をしている次第で御座います。
- ―去年のNEMの不正流出が580億だったと思いますが、当時の収益で全て払う事が出来たという事だったと思うのですが、足下で今のマーケットを反映する形で取引状況はどう変わったのか?
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勝屋氏
一昨年、2017年の話になりますけど、先ほども申し上げたとおり非常に活況でそれに比べますと、足下は大分取引量が市場全体が下がっているのは否めないと思います。
- ―JVCA仮想通貨ビジネス交換業協会があるが、流出事件を受けて技術的サポートはあったのか?他の取引所との協力関係がありましたら教えていただけたらと思います。
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勝屋氏
JBCAさんは1月4日に二種会員としてですね参加をさせていただきました。そして参加の前にですね、今日のお話を当社の方から説明する機会がありました。
- ―投機的側面が先行して日本の中で盛り上がりましたが、今後技術的な面をどのように捉えているのか、また今後業界のリテラシーをあげる為にどのようにコミットしていくのでしょうか?
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和田氏
私個人としましてはICO、STOに興味を持っています。というのも特にSTOに限った話ですと、小さい企業はグローバルに資金調達をすることは難しい部分があります。それが仮想通貨によって非常に流動性が高くなる反面怪しい業者が出てきたりすることもあります。ただ、そうはいってもそのようなことが可能になったということは技術的にも影響は大きいいかなと思います。なのでそのような仮想通貨の技術の利点を生かした上で健全な形で健全な発展ができるようやって行きたいと思います。
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大塚氏
リテラシーに関して、私からもコメントをさせていただけたらと思います。仮想通貨というものはどうしても技術的は側面であったりとか、金融的な側面であったりとか両 側面もとても専門的な分野が強くなっておりまして、やはりこうした新しいことが出てきた時に一般の方がわかるような形としてわかりやすく記載していくことが仮想通貨業界のリテラシーを高めるきっかけになると思います。
当社としてはわかりやすい、使いやすいサービスを作って行きたいと考えております。金融的な難しいところもみなさんが理解していただけますような情報提供をし皆様が仮想通貨に対する理解を深めていただけたらと思います。
- ― 顧客に対する説明に関しての現時点でどのようになっているのか、苦情対応スタッフの拡充はどのような状況か
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勝屋氏
拡充はしています。事件の前から、対応体制はかなり強化していた。ブームがあったから人員を増強してきていました。メールや電話対応の人員を強化してきました。事件の後もそこを強化していた。業界の中では人員的には1番ではないかと思っている。人員的には100人くらいのスタッフが対応している。
- ―匿名通貨の4通貨を廃止されたとのことですが、今後も取り扱いはしないのでしょうか?
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勝屋氏
匿名通貨に関しては我々弊社の基準を作りまして、先日加入させていただいた自主規制団体のJVCEAさんの基準を擦り合わせた上で、やっています。そういった基準をクリアした通貨に対しては増やしていきたいと考えていています。
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和田氏
現在匿名性の高い通貨に関しましては自主規制団体に入っている以上協会のルールにしたがって行きます。
- ―去年のNEMの不正流出が580億だったと思いますが、当時の収益で全て払う事が出来たという事だったと思うのですが、足下で今のマーケットを反映する形で取引状況はどう変わったのかというのが一つ目の質問です。
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勝屋氏
一昨年、2017年の話になりますけど、先ほども申し上げたとおり非常に活況でそれに比べますと、足下は大分取引量が市場全体が下がっているのは否めないと思います。
当社の今年度に関してましては、4月から10月の終わりまでお客様の入金や、販売を止めていた範囲でございますのでコストが色々な管理体制の強化で上がっていくと、収入がかなり落ちると。その後の11月以降、再会をして先程のグラフにあります様に、本社のボリュームとしましては伸びておりますが、まだ収支が均衡する所までは経常的に出ていないのかと思います。市場に左右される部分があるため、市場が良くて当社の努力が実った場合は、達成することもありますが、それが経常的に続くという状況にまだなっていないのだと思います。