
ユーロ増刷とビットコイン上昇を予想
暗号資産(仮想通貨)著名アナリストのアーサー・ヘイズ氏は2日、ユーロ圏第2位の経済大国フランスの債務問題が、ビットコイン(BTC)を上昇させることにつながる可能性があるとの記事を発表した。
欧州中央銀行(ECB)は、フランスの債務がユーロを弱体化させるのを防ぐために、数兆ユーロ単位の紙幣を増刷するだろうと主張した。投資アドバイスではないとしつつ、これがビットコイン価格を押し上げる要因になるとしている。
ヘイズ氏は、米国の外交・金融政策の変化が影響するとも予想した。
具体的には、米国はトランプ政権の下で貿易障壁を築き、国内の金融資源を使って国内の産業能力を再構築することに注力しようとしていることを指摘する。
これは、過去80年間に米国企業が雇用を中国にアウトソーシングしてインフレを抑制し、企業利益を押し上げてきた結果として、米国市民の生活が親の世代に比べて豊かではなくなっているという不満に対応するものだと続けた。
さらに、トランプ政権が米国内での産業構築を進めれば、ドイツと日本も海外資本を本国に還流させ、国内市場に焦点を当てて経済を再構築することになると意見している。
ヘイズ氏は、フランスは、純ポートフォリオ・バランス(NPB)で見た赤字がGDPの38%と世界で2番目に大きく、その巨額の負債を特にドイツと日本からの資本によって賄ってきたと述べる。
ヘイズ氏は、ドイツと日本がNPB黒字において、世界でも最も裕福な国々だと評価。この二国が、フランスの債務の多くを有していると指摘した。
純ポートフォリオ・バランス(NPB)とは
対外資産(海外に保有する資産)から対外負債(海外からの借入・投資)を引いたものである。これが赤字であれば、海外に対して債務超過の状態だ。
その上で、もしドイツと日本が米国の動きにともなって自国へ資金を還流させることになれば、フランスの財政が悪化することになるとしている。
また、最終的にフランスの政治家が、政府支出を維持するために、ユーロを離脱し、以前の法定通貨「フラン」を再導入するシナリオもあり得るとの独自見解を披露した。この場合、フランスの法定通貨の価値は下落することが考えられる。
以上のようなシナリオがどれくらいの可能性で起こるのかは不明だが、ヘイズ氏はフランスの財政赤字の状況が悪化して、これに対応するためユーロが増刷されればビットコインや金(ゴールド)などに資金の一部が流入すると考えている。
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ヘイズ氏は先月23日にも、トランプ政権の政策がビットコイン上昇の追い風になるとの記事を発表していた。
トランプ氏が2026年上半期までに連邦準備制度(FRB)に量的緩和政策を実施させることなどを前提している。米国が紙幣増刷でドル安にすることで、自国の製造品が国際的な価格競争力を得られるようにするとも予想した。
通貨安と貨幣の流通増加によりビットコインが上昇するとみる格好だ。ヘイズ氏は先月、ビットコインが15万ドル、17万5千ドル、20万ドルの水準へと上昇し続ける可能性があると予想していた。
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