ESMAの権限拡大案も
欧州委員会は、米証券取引委員会(SEC)をモデルに、暗号資産(仮想通貨)取引所、証券取引所、清算機関を監督する単一の機関を設置することを提案する予定だ。フィナンシャルタイムズが2日に報じた。
これは、米国に対する欧州連合(EU)の競争力を強化するための取り組みの一環であり、企業が米国など海外よりもEU内で資金調達と事業拡大を行えるようにする狙いがある。
欧州中央銀行(ECB)は、12月にこの取り組みに関する提案を行う予定だ。ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は、前任者のマリオ・ドラギ総裁と共にこの動きを支持している。
関係筋によると、現在の案の一つは、すでに存在している欧州証券市場監督局(ESMA)の権限を拡大し、仮想通貨関連企業や証券取引所などの、国境を越えて活動する主要な金融機関を監督対象とするというものである。
ラガルド氏は、2023年時点で欧州の市場でSECに相当する組織を持つことを提案していた。現状、資本市場の監督が各国レベルにとどまっていると指摘し、これを統一するためにESMAの権限を拡大することも唱えていた形だ。
ただ、フィナンシャルタイムズによると、仮想通貨企業の一部からは、ESMAに監督を移管することで、コンプライアンス費用の増加やESMAの権限の行き過ぎを懸念する声も上がっている。
また、金融ハブを持つ小国であるルクセンブルクやアイルランドも、EUで単一の監督機関を作るという構想に難色を示していると伝えられる。
欧州証券市場監督局(ESMA)とは
EU加盟国の資本市場(株式、債券、デリバティブなど)を監督・調整する独立したEUレベルの金融規制機関。
EUではブロックチェーン関連の取り組みが活発化しているところだ。欧州中央銀行(ECB)は10月29日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタルユーロの開発で次の段階に進むと発表したところだ。2029年の正式導入を目指すとしている。
欧州議会が2026年に必要な規制を可決した場合、2027年半ばに実証実験や取引が開始される見込みだ。
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また、欧州委員会のアドバイザーであるピーター・カーステンス氏によると、同委員会は貯蓄投資同盟(SIU)に関する提案を12月に提出する予定だが、これに現実資産(RWA)トークン化についての内容も盛り込まれる見込みだ。
SIUは、EUが構想中の、貯蓄と投資をEU内で統合・効率化する政策枠組みのこと。EU域内の投資市場を統合し、個人貯蓄・投資を資本市場に効率的に流すための仕組みとして検討されている。
カーステンス氏は、The Blockのインタビューで、SIU構築にあたり、分散型台帳技術を活用していきたいとして、次のように話した。
欧州には27の小さな資本市場があるが、私たちは一つの大きな資本市場を望んでいる。そのために、最新世代の技術を活用したい。ブロックチェーンは国境の壁を乗り越える強力な統合力だと考えている。
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