はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ベネズエラでビットコイン取引量が過去最高を記録|政府発行仮想通貨ペトロの現状や規制の動向から考察する背景

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

混迷を極めるベネズエラ、ビットコイン取引量は過去最高を記録
ハイパーインフレなど混迷を極める経済状況に置かれるベネズエラは、政府発行の仮想通貨ペトロの現状や強硬的な仮想通貨業界の規制枠組み法案の施行など、仮想通貨を取り巻く環境においても混乱が伺える。

ベネズエラでビットコイン取引量が過去最高を記録

先週、ベネズエラにおけるビットコインの取引量が過去最高を記録した。

取引量は、一週間で約2000BTC、およそ700万ドル(約7.7億円)に相当する。

昨年夏の取引量500BTCと比較すると400%の上昇率だ。

出典:CoinDance

同国内では、ライセンスを有する取引所を通した取引所ではなく、P2Pの取引が行える個人間OTC取引を提供する「LocalBitcoins」OTCプラットフォームにより売買されている。

OTC取引は個人間での売買(相対取引)となるため、取引量が増加が、直接的に価格へ影響しにくい状況にはなるが、これだけ需要が拡大している状況を見ると、同国内のBTC価格は大きく上昇していることが予想される。

OTC取引がベネズエラにおいて好まれる理由としては、経済的、政治的な理由に加えて、ユーザーが同じエリアの仮想通貨支持者を見つけて繋がることができるなどOTC取引がコミュニティ参加のきっかけになるといった側面もあるが、最も重要なのはビットコイン需要が高まるベネズエラであるが、その主な要因としては、国内のハイパーインフレだろう。

この動きはビットコインが過去に注目されたキプロス危機などに似た需要増加であり、国民の信頼度が一時的に、自国通貨から、国に属さない非中央集権型の通貨へと移った事例と言える。

ベネズエラのインフレ

現地時間2月7日に開かれた国会では、1月の物価上昇率が年率268万8670%であったことが公表された。

月間の物価上昇率は191%であり、前月から約50ポイント上昇。物価上昇のペースが加速している。

国際通貨基金(IMF)は、年内にインフレ率が年率1000万%に達すると予測しているが、現状のままではさらに上回る可能性が高く、通貨の単位を5ケタ切り下げるデノミを実施している。

ハイパーインフレ下では、デノミが利用されることは多くあり、アフリカのジンバブエでは、中央銀行が2009年に1兆ジンバブエドルを12ケタ切り下げ、1ジンバブエドルに切り替えた事例もある。(日本円で例えた場合だと、1兆円が1円になるように通貨単位が切り下げられる。)

また、2019年1月には米国政府による経済制裁が発令されており、米国とベネズエラ間の石油製品の輸出入が大幅に制限されることとなった。

急劇に高まるビットコイン需要の背景には、そのような政治的、経済的に混迷を極めるベネズエラの深刻な状況がうかがえる。

仮想通貨ペトロの現状

ペトロとは、ベネズエラ政府によって発行される、国内の原油が価値の裏付けとなる仮想通貨である。

マドゥロ大統領は、ペトロによって33億ドル(約3650億円)を調達したと公表しており、ベネズエラ経済再建の礎になるとしている。

しかし、ペトロに対してはそもそも存在するのかなど懐疑的な意見が少なくない。

昨年に大手通信社のロイターが実施した調査によると、裏付けとなる原油が眠るとされる同国中部の村アタピリレでの開発は全く進んでいないという。

同村での取材で、地元住民は、政府が油田を開発しようとしている様子は見たことがないと語った。

また、同社の、仮想通貨や油田査定の専門家10人以上への取材と4ヶ月に渡る調査にも関わらず仮想通貨ペトロの存在は確認できなかったという。

取引所での売買や、ペトロ支払いを受け付ける店の確認はできず、取引の裏付けを取るのは困難であったそうだ。

ビットコインの需要は高まっているものの、政府が推奨するペトロについては機能しているのかも不明確な現状がうかがえる。少なくとも、大多数の国民がビットコインを選択していることは明らかである。

仮想通貨の新たな規制法が執行

1月31日には、ベネズエラで、仮想通貨業界における法的枠組みを規定する新たな法律が施行された。

マイナーやトレーダー、事業者などは同法の規制下におかれる。

マイニング事業者や仮想通貨取引所はライセンスの取得が義務付けられ、違反した場合にはペトロ支払いによる罰金を含む罰則が与えられるとされる。

また、2018年に設立された機関「Sunacrip」は、同法により、同国の仮想通貨市場全体の監視を担うようになる。

それに加えて、同国内の仮想通貨サービス全てをコントロールする権限も持つという。

そのような強硬的ともとれる姿勢からは、政府のペトロを使わせたいといった意図が読み取れるだろう。

仮想通貨を取り巻く環境においても、非常に混沌とした様子がベネズエラにみられる。

▶️本日の速報をチェック
CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者12,000名突破。

CoinPostの関連記事

仮想通貨ビットコインOTC取引量はロシアとベネズエラが独占|OTC取引所データを分析
仮想通貨メディアTheBlockの独自調査分析によると、指標となるLocalBitcoinsの世界全体ビットコイン取引では主要先進国よりもロシアとベネズエラの方が大きな役割を果たしている模様だ。
ベネズエラのペトロ(Petro)、仮想通貨取引所と称する6つのウェブサイト上で売買開始へ
政府公式ウェブサイトによると、ベネズエラは国家主導の仮想通貨ペトロ(Petro)を売却開始するために6つの仮想通貨取引所を認可したことが判明。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
17:41
分散型AIトークンのFET、 Binance Japanで取扱い開始【国内初】
Binance Japanが国内初となるFET(Artificial Superintelligence Alliance)の取扱いを開始。本記事ではASIアライアンスの概要、FETの用途、将来性、想定されるリスクを解説する。
16:45
なぜSBI新生銀行は投資家に選ばれる? 圧倒的優位性を持つ「SBI証券」との連携メリットを解説
SBI新生銀行が投資家に選ばれる理由は、SBI証券との圧倒的な連携メリットにあります。預り金自動スィープサービスで入金操作不要、年4.2%の高金利預金で待機資金を運用。IPO投資、NISA口座、資産一元管理まで、他の銀行では実現できない理想的な投資環境を徹底解説。
14:36
リップル決済、欧州初の銀行採用 スイスのAMINA銀行と提携
リップルがスイスのAMINA銀行と提携し、欧州初のリップル決済導入を実現。ブロックチェーンと従来の銀行システムを統合し、ほぼ即時の国際送金サービスを提供。両社の協力関係はステーブルコイン保管から決済へと拡大。
13:44
イーサリアム「フサカ」実装直後にPrysm障害、1.8億円の報酬損失が判明
イーサリアムの大型アップグレード「フサカ」実装直後、Prysmクライアントでバグが発生し382ETH(約1.8億円)の報酬機会が失われたことが判明し、ネットワークの堅牢性においてクライアント多様性の重要性が再確認された。
13:22
英国、2027年に仮想通貨規制を本格導入へ 政治献金も禁止方針
英国財務省が2027年施行予定の仮想通貨規制案を策定中。英国金融行動監視機構の監督下で取引所やウォレット企業に透明性基準を義務付け、消費者保護を強化。仮想通貨による政治献金も禁止へ。
10:50
ストラテジー、ナスダック100指数への残留決定 ビットコイン買い増しの意欲示す
世界最大のビットコイン保有企業ストラテジーのナスダック100指数への残留が決定した。セイラー会長はビットコイン追加購入への意欲を示唆している。
10:41
日銀30年ぶりの0.75%利上げ見込み 仮想通貨市場への影響は?
日本銀行が12月19日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に引き上げる方針。30年ぶりの高水準となる利上げが、円キャリートレード巻き戻しを通じてビットコインなど仮想通貨市場に与える影響を分析。米FRBのQT終了による影響緩和の可能性も解説。
10:10
2025年末までに済ませておきたい仮想通貨に関する税金と確定申告への準備|Gtax寄稿
仮想通貨の税金の仕組みと、年末までにできる節税対策を解説。損益圧縮やふるさと納税・iDeCoの活用法、確定申告に向けた取引履歴・経費の整理ポイントをまとめています。
08:50
米SEC、個人投資家向けの仮想通貨保管ガイドラインを提示 姿勢転換示すか
米証券取引委員会が個人投資家向けにビットコインなど仮想通貨を保管する方法に関して推奨事項を提示した。ウォレットの選び方やカストディアン選定の注意点を解説している。
12/14 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、トム・リーのイーサリアム相場分析やXRP現物ETFの連続純流入など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
来週の米雇用統計に注目、労働市場減速ならビットコイン相場に追い風か|bitbankアナリスト寄稿
BTC相場は1450万円周辺で推移。FOMCで利下げ決定、流動性供給再開で中期的な下支え期待。来週の米雇用統計で労働市場減速が示されれば、追加利下げ観測強まりBTCの追い風となるか。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|仮想通貨税制に関する国会質疑に高い関心
今週は、ストラテジーによるビットコイン押し目買い、仮想通貨税制に関する国会質疑、仮想通貨マーケットメーカー大手Wintermuteの市場分析レポートに関する記事が関心を集めた。
12/13 土曜日
14:05
米インタラクティブ・ブローカーズ、ステーブルコインでの口座入金を開始
ステーブルコイン入金を導入 ブルームバーグが報じたところによると、オンライン証券大手インタラクティブ・ブローカーズ・グループが、個人証券口座へのステーブルコインによる入金を可能…
13:35
仮想通貨業界団体ら、シタデルに反論 「DeFiは仲介事業者ではない」
DeFi教育基金など仮想通貨業界団体らが米SECに書簡を提出した。シタデル・セキュリティーズによるDeFi規制要求に反論し、自律的ソフトウェアは仲介者に該当しないと主張している。
11:55
ブラジル金融大手イタウ、3%のビットコイン配分を推奨
ブラジルの金融機関イタウがポートフォリオの1%から3%をビットコインに配分するよう推奨した。米国のバンク・オブ・アメリカやモルガン・スタンレーも最大4%の配分を提案している。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧