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三菱商事、JPモルガンのブロックチェーン決済を活用へ 日系企業初=報道

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • JPモルガンBDAを日系初採用へ
  • 世界・日本の金融機関、デジタル決済競争が加速

ドル建て即時送金へ

日本経済新聞が31日に報じたところによると、三菱商事は2026年度にもJPモルガン・チェースのブロックチェーン基盤の決済サービスを活用し、デジタル預金口座を通じた国際送金を開始する方針だ。

ロンドンやニューヨークなどの海外拠点間でドル建て資金をほぼ即時に融通できる体制を整える。JPモルガンのデジタル預金口座「ブロックチェーン・デポジット・アカウント(BDA)」を採用するのは日系企業として初めて。

BDAはJPモルガンのブロックチェーン部門「Kinexys(キネクシス)」が提供するサービスの一つで、ステーブルコインやトークン化預金といった新たなデジタル通貨を発行せず、口座残高をブロックチェーン上の預金台帳に記録することで送金を完了させる仕組みだ。

シーメンスやBMW、フェデックスなど海外大手がすでに導入しており、三菱商事は円建てステーブルコインを使った別の国際送金実証実験とは別に、本サービスを活用してドル建て送金を実現する。

関連:JPモルガン、ブロックチェーン「Kinexys」でオンチェーンレポ取引開始

従来の国際送金が抱える課題

国際送金はこれまで長年、SWIFT(国際銀行間通信協会)と呼ばれる金融メッセージネットワークとコルレス銀行(仲介銀行)を組み合わせた仕組みに依存してきた。

この仕組みでは、送金元銀行・仲介銀行・受取銀行のそれぞれが手数料を徴収するため総コストが高くなりがちで、複数の銀行システムをまたぐため処理に数日かかることも珍しくない。 また送金の最終段階までコストが確定しない不透明さも長年の課題とされてきた。

さらに、各国の決済システムが平日の営業時間内でしか稼働しないため、週末・祝日をまたぐ送金には遅延が生じやすい構造的な問題もある。グローバルに事業を展開する大手商社にとって、こうした制約は資金効率の低下に直結する。

関連:銀行間の目詰まりを解消、Swiftが主要30行と「次世代決済システム」の実装開始

大手行が競うブロックチェーン国際決済

三菱商事の採用は、世界の主要金融機関がブロックチェーンを活用した国際決済インフラの整備を競う中で生まれた動きだ。

JPモルガンに先行してサービスを展開するシティグループは、独自の「Citi Token Services(CTS)」をすでに稼働させている。CTSはニューヨーク・ロンドン・香港の各拠点間でリアルタイムのトークン化送金を可能にする24時間365日稼働の決済システムだ。

仕組みはJPモルガンのBDAに近く、クライアントの預金からトークンを生成して送金し、着金後にそのトークンを消却することで資金を即時に移転させる。事前の資金調達(プレファンディング)が不要なことも特徴だ。

バンク・オブ・アメリカも動いている。ゴールドマン・サックス、ドイツ銀行、BNPパリバ、三菱UFJ銀行、UBSなど計10行がG7通貨に連動したステーブルコインの共同発行を検討していると昨年10月に明らかにした。

日本でも国家レベルの動きが加速

海外の動きに呼応する形で、日本国内でも官民両面での対応が本格化している。

日本銀行の植田和男総裁は2026年3月、ブロックチェーン技術を用いた「中央銀行マネー」を海外送金や日銀当座預金の決済に活用することを検討すると表明した。

海外中央銀行との共同プロジェクトにおいて中銀マネーをトークン化預金として発行できる仕組みを検討しており、「国際送金の業務効率化に革新をもたらす可能性がある」と語った。

日銀はBIS(国際決済銀行)主導の「プロジェクト・アゴラ」にも参加しており、第1フェーズの完了は2026年前半が見込まれている。

民間でも動きが相次ぐ。2025年11月には三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行が三菱UFJ信託銀行を受託者として、ステーブルコイン発行とクロスボーダー利用を検証する実証実験を金融庁の「FinTech実証実験ハブ」支援案件として開始した。

三菱商事の今回の動きは、日本の大手事業会社がブロックチェーン基盤の国際決済インフラを実用化する段階に入ったことを示す事例として注目される。

関連:植田総裁が表明──日銀、ブロックチェーン活用の当座預金決済実験に着手

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