- ベネズエラ、仮想通貨とルーブル利用し米制裁逃れか
- 米経済制裁を受けるベネズエラは、露との貿易の決済手段に仮想通貨ペトロとルーブルの導入を検討。米ドルとの関係を遮断し、経済制裁の回避を試みている。
ベネズエラ、仮想通貨とルーブル利用し米制裁逃れか
米国の経済制裁により危機に直面するベネズエラは、ロシアとの共同貿易の決済手段として、国発行の仮想通貨ペトロとロシアの法定通貨であるルーブルを導入することで、経済制裁の回避を試みている。現在、この案についてベネズエラ、ロシアの両政府は協議中だという。
「ペトロ」とは、ベネズエラ政府によって発行される、国内の原油が価値の裏付けとなる仮想通貨。
米国政府はベネズエラに対し、2019年1月に経済制裁を発令して以来、米国とベネズエラ間の石油製品の輸出入が大幅に制限されている。
ベネズエラの国連代表を務めるJorge Valero氏はロシアに拠点を置くニュースメディア「Russia Today」の取材に応じ、ペトロやルーブルを導入し米ドルとの関係を断ち切ることで、そうした経済制裁を避ける目的があることを明かしている。
同氏は、米ドルへの制限による被害について以下のように語る。
米ドル口座の凍結など、ベネズエラの石油業界に対する制裁に、(ベネズエラの)外交官は頭を悩ませており、これは我が国の経済に甚大な被害をもたらしている。
同業界への、国際金融機関からの支援や投資を受け入れることができないからだ。
ロシアは米国から経済制裁を受けている国であり、仮に、ベネズエラがロシアと共同で米ドルを迂回する仮想通貨の利用手段が実現すれば、今後経済制裁を受ける国が米国の圧力をよそに経済活動を行い得る先例になるかもしれない。
ベネズエラのハイパーインフレ
今年2月7日に開かれたベネズエラ国会では、1月の物価上昇率が年率268万8670%であったことが公表されている。
1945年以降、最悪と称されるハイパーインフレを経験している中南米の同国では、2018年3月に0.75ボリバルで購入できたコーヒー1杯が、1年後の現在、2800ボリバル(約3700倍)にまで急騰しているという。
国際通貨基金(IMF)は、年内にインフレ率が年率1000万%に達すると予測しているが、現状のままではさらに上回る可能性が高く、通貨の単位を5ケタ切り下げるデノミを実施している。
こうした状況を受け、安定した決済手段を模索する中で誕生した「ペドロ」だが、現在、ペドロに経済制裁の回避という、新たな使い道が見出されている様子だ。