- 「クリプトの父」Giancarlo氏が7月中に退任
- 米CFTCのコミッショナーで仮想通貨に対して前向きな姿勢で定評のあるGiancarlo氏の後任が米上院議会で承認された。7月中旬から就任する次期コミッショナーの仮想通貨に対するスタンスに注目が集まる。
米CFTCコミッショナー7月に退任へ
米CFTC(商品先物取引委員会)の次期コミッショナーとして現財務次官補(国際市場担当)のHeath Tarbert氏が上院議会の公聴会で正式に承認された。これまで「クリプトの父」の愛称で仮想通貨界隈から親しまれてきたGiancarlo氏の後を継ぐこととなったリーダーが仮想通貨に対してどのような姿勢を持つか、注目が集まる。
米CFTCは、デリバティブ市場をはじめとする、仮想通貨の店頭取引などに対し監督の責を負う規制機関だが、Giancarlo氏は、仮想通貨やブロックチェーンなどの新しいテクノロジーに対し、規制当局側の「不干渉」アプローチの重要性を説き、仮想通貨の擁護派として業界内外からも高く評価されてきた。
意図的に仮想通貨に対するツイートを発信するなど、政府機関が一般的に仮想通貨に対してとる懐疑的な姿勢とは違う同氏のアプローチが界隈から好印象を与えた要因の一つだと言える。
Is #crypto #FOMO your #FridayFeeling? #DYOR at https://t.co/JBWIJbZTo7 #CryptoDad
— Chris Giancarlo (@giancarloCFTC) 2018年3月2日
Giancarlo氏は7月15日に任期を満了した後にTarbert氏に任を譲ることになるが、声明の中で次のように述べた。
私の任期期間中の最優先事項は、CFTCを今日のデジタル市場にふさわしい、21世紀の規制機関に変革することだった。Tarbert博士が承認されたことでその変革の歩みをCFTCが継続して行くことは安泰となったと確信している。
「CFTCの変革」に関しては、Giancarlo氏が仮想通貨・ブロックチェーン業界に対して果たした役割は大きい。
Giancarlo氏は、5年前のCFTC委員長就任当時には、仮想通貨、ブロックチェーン、そしてフィンテックが、CFTCにとって主要な部分を占めることになるとは予想できなかったという。しかし、自身の任期中に「政府内の声」として、この新しい技術に対する恐怖を和らげ、この技術を却下、または潰そうする呼びかけをなだめることに一役買うことができたことを幸運だと語った。
また、「アナログからデジタルへ、人間からアルゴリズムへ、独立型から相互接続へ」とデジタル革命を経験し、変貌を遂げる世界の取引市場に遅れを取る事なく、CFTCが効果的な規制当局であり続けるために「傍観者」ではなく、当事者として積極的に関わって来た事を強調した。
そのような取り組みの一つとして挙げられるのはデジタル変革を理解するためのイニシアチブ「LabCFTC」だ。2年間で250以上ものイノベーターとの交流を行って来たと説明。
政府機関職員や他の規制当局に対しては技術革新について説明する事で、技術採用をサポートする役割を果たすと同時に、技術革新と市場の進化を知るために業界内のイノベーターと交流、政府との連絡経路を提供する役割も兼ね備えている。
CFTCコミッショナーの重要性
Tarbert氏は、現在国際問題担当次官補として今年4月16日から任務に就いていたが、その前の2年間は超党派の高い支持を得て国際市場担当の財務次官補を務めた経歴を持つ。また、世界市場を監視するために設立された国際機関の金融安定理事会(FSB)のメンバーでもある。
なおTarbert氏の仮想通貨やブロックチェーンに対する見解はまだ明らかになっていない。しかし現在米CFTCは仮想通貨業界において注目される案件に対する認可の判断を決めていないため、Tarbert氏の姿勢次第で以下の仮想通貨ファンダメンタルズに影響が及ぶ可能性がある。
- Bakkt:毎日現物決済のビットコイン先物
- 機関投資家・一般投資家向け仮想通貨取引所ErisXの認可
- イーサリアム先物
これまでGiancarlo氏の元、ビットコインはコモディティとして定義が普及したほか、2017年には仮想通貨相場の高騰要因にもなったビットコイン先物取引を承認が行われてきた。そういった点において、Tarbert氏が現職のGiancarlo氏が抱えてきたビジョンを共有して技術と市場の変化に柔軟に対応する姿勢を貫くのか、意識したいポイントだと言えるだろう。