- 「利下げ」実現による仮想通貨市場への影響は?
- 31日に予定される米国のFOMCにて、景気下振れリスクを背景に米金利引き下げが予想されている。6月には金融緩和を示唆したことでゴールド価格が高騰、ビットコイン(BTC)など仮想通貨市場の上昇を後押ししたとの見方もある。
「利下げ」実現による仮想通貨市場への影響は?
31日に予定される連邦公開市場委員会(FOMC)にて、米中貿易摩擦や世界経済の減速に伴う「景気下振れリスク」を背景に、0.25%の利下げ (金融緩和政策)が予想されている。
FOMCとは、連邦公開市場委員会の略で、米国の金融政策を司るFRBの議長、副議長、理事と各地区連銀総裁で構成されており、世界経済を牽引する米国の金融政策を決める会議である事から、世界中のマーケット参加者から注目が集まる重要イベントとされる。
6月18-19日に開催された会合では、「景気先行きの不確実さと下振れリスクが著しく高まった」と言及し、今年初めて利下げの可能性を示唆するも、当局者間では反対意見も出るなど慎重論も台頭していた。各国の中央銀行は、FOMCなどの政策金利を通じて市場の預貯金やローンの金利に影響を及ぼし、通貨の流れを調整する。
今年5月以降、新興国を中心に利下げが相次ぐ中、米国での政策金利の引き下げが実現すれば、2015年12月以降3年半続いた景気拡大期間に伴う「利上げ局面」から一転、反対側に”舵を切る”ことになる。利下げ局面となれば、世界的金融危機「リーマン・ショック」の尾を引いていた2009年以来、10年ぶりの出来事だ。
トランプ大統領は22日、連邦準備理事会(FRB)に対し、これまでの米国の高金利の金融政策を再び批判した上、「FRBが今すぐに動くことは理に適っている。二度と失敗するな。」などと、異例の政治的圧力をかけている。
ゴールドの上昇要因に
ただし、懸念されるのはその副作用だ。
現在は米株価は史上最高値をマークしており、利下げとなれば、短期的にさらなる一時的な株価上昇をもたらす可能性は十分にある。一方で、景気後退局面においてカンフル剤としての役割は長続きしないことが危惧され、日本においても日銀による大規模金融緩和策をすでに取り続ける中、出口戦略ははっきりしないままだ。
また、トヨタ自動車など輸出企業の業績や日経平均株価の押し下げ要因となる「円高」の進行が予想されるほか、米国でも債務拡大とそれに伴う将来的な金融危機懸念が生じるなど、金融緩和策の悪影響も懸念される。
このような利下げ局面では、米10年債などの利回り低下によりゴールドが買われやすく、今後も米欧の中央銀行が金融緩和姿勢を強める中での世界的な金利安と、不況時に景気底上げのために行う金融政策の1つである金融緩和政策の流れが継続すれば世界的な「低金利・通貨安」が加速することになり、デジタル・ゴールドと呼称されるビットコイン(BTC)にとっても追い風となる可能性がある。
6月18~19日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、年内の利下げが示唆されたことで、金(Gold)価格が急伸。 20日には、金先物価格は一時1410ドルを上回り、2013年8月以来、5年10カ月ぶりの高値を付けた。
加えて同タイミングでは、イランのタンカー爆破疑惑や米国無人偵察機の撃墜騒動が発生。米トランプ政権が「イラン攻撃を一時承認した」などと軍事衝突を示唆する情報が伝えられると、金(ゴールド)だけでなく安全資産とされる日本円やフランも急速に買われ、6月下旬にかけて149万円まで高騰したビットコイン(BTC)市場を後押ししたとされる。中東情勢は7月現在も燻っており、地政学リスクを踏まえた市場動向が注目される。