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XRP(エックスアールピー)の概要
XRPは、オープンソースの分散型ブロックチェーン「XRP Ledger(XRPL)」のネイティブ通貨です。米リップル社が開発する国際送金ソリューション「On-Demand Liquidity(ODL)」をはじめとする、様々なユースケースが構築されています。決済に特化した通貨として開発され、高速および低コストで利用でき、高度なスケーラビリティを有していることが特徴です。
ODLやXRPは、現在の金融機関で使用されている送金システム「SWIFT」の課題解決を目的として開発されました。SWIFTは世界中で利用されており、国際送金業界ではSWIFTによる寡占状態が続いていましたが、国際送金に多大なコストおよび時間を要することが、かねてより問題視されています。
XRPは国際間送金や銀行間送金における速度と手数料の安さを追求しており、国家間の送金・両替におけるハブ的存在になることを目標としています。すでに、銀行間の送金にも採用されています。
ネイティブ通貨「XRP」
XRPLのネイティブ通貨であるXRPは、2024年5月時点で、時価総額世界第7位の仮想通貨です。日本のコミュニティが発展している仮想通貨で、投資に加え、仲介者不在の個人間送金でXRPを利用することが可能です。
一方で、XRPが高く評価されているのは、ブリッジ通貨としての役割です。ブリッジ通貨とは、「日本円⇆XRP⇆米ドル」のように、ある通貨を他の通貨に両替する際に、両通貨間の橋渡し的な機能を果たす通貨を指します。
マイナー通貨同士、例えば南アフリカランド(ZAR)をアルゼンチンペソ(ARS)へ両替したい顧客がいたとすると、ブリッジ通貨を介さない場合、銀行は需要がほとんどないARSを常に保有する、または基軸通貨として機能している米ドルへ交換してからARSを渡す必要があり、コストおよび処理速度の観点から効率的ではありません。
このようなケースにXRPを導入した場合、システム内で円滑に移動できるXRPのみを外貨準備金として用意すれば良いため、為替ヘッジなどのコストが削減でき、素早い送金も可能です。
5つの注目点
1.米地裁が有価証券ではないと判断、判決時は前日比2倍超に高騰
2020年12月に米証券取引委員会(SEC)から提訴されたリップル社は、XRPの各種のやりとりが「未登録有価証券の販売」にあたるかどうかを2年半に渡って争っていましたが、23年7月にデジタルトークンとしてのXRPは有価証券ではないと地裁に判断されました。
一部の販売については、有価証券法に違反しているとするSEC側の主張も認められましたが、XRP自体や取引所での一般的な売買は証券性がないと判断されたことが好感され、判決後に前日比2倍超に価格が高騰。SECは多くの仮想通貨が有価証券に該当するとの考えを示していますが、XRPについては地裁が有価証券ではないと判断しました。この点について、SECは上訴していません。
2.XRPの現物ETF上場に関心高まる。リップル社が関連求人掲載
XRP自体は有価証券ではないと判決されたことで、ビットコインに続いて米国でXRPの現物ETFが誕生するのではないかと期待が高まっています。
米仮想通貨投資企業ValkyrieのSteven McClurg最高投資責任者(CIO)は24年1月、ビットコインの次の現物金融商品について質問された際「イーサリアムまたはXRPの現物ETFが誕生しても驚かない」と発言しました。
また、同月にはリップル社が「機関投資家向けDeFi」の分野における事業開発部シニア・マネージャーを募集していることがわかりました。職務に関して「社内のトレーディングチームや関連パートナーと仮想通貨関連ETFのイニシアチブを推進する」と書かれています。
ETFへの言及は限定的で、どのような事業に発展するかは詳しく書かれていませんでしたが、これによって現物ETF誕生への期待が一段と高まりました。
3.ブロックチェーンのユースケースが増加、AMMやステーブルコインを開発
国際送金以外でも、基盤のXRPLのユースケースは増加しています。例えば24年3月には、XRPLのメインネットに「AMM(自動マーケットメイカー)」がローンチされたことが発表されました。
AMMの名称は「XLS-30」で、これはXRPL上のネイティブのDEX(分散型取引所)として機能。XLS-30は、ユーザーがプールにXRPなどの流動性を提供して報酬を得ることができることに加え、NFT(非代替性トークン)などのデジタル資産の取引における活用も期待されています。
また同年4月にはリップル社が、XRPLとイーサリアムのブロックチェーン上で米ドルステーブルコインを発行する計画を発表。24年後半にローンチする計画であると説明しました。
4.開発者・ユーザー体験向上へ、サイドチェーンの開発進む
ほかにもXRPLは、サイドチェーンの開発が進められています。サイドチェーンとは、メインチェーンであるXRPLを補完する役割を持ちます。サイドチェーンは、独自のルールを持つ独立したブロックチェーンです。
XRPLのサイドチェーンは24年3月、開発者向けに実験的にローンチされました。サイドチェーンをローンチすることで、資産のトークン化やDeFiなど独自のユースケースが誕生することが期待されています。
5.拡充するユースケース、CBDCや金融領域以外にも普及へ
今後については、上述した以外にも中央銀行デジタル通貨(CBDC)やサプライチェーンなどの分野でもXRPLの活用が進む可能性があります。
CBDCについては、23年5月に開発プラットフォームを立ち上げたことをリップル社が発表。このプラットフォームは一連のサービスを提供するもので、中央銀行、政府、金融機関などをユーザーとして想定しています。ユーザーはCBDCとステーブルコインを発行、管理、取引、償還することが可能です。
また24年5月にはリップル社が、日本にXRPLを活用した企業向けソリューションを導入することを目的に、東京拠点のブロックチェーン企業HashKey DXと戦略的パートナーシップを締結したことを発表しました。
このソリューションを最初に利用するのはSBIグループの企業であることがすでに決まっていて、まずサプライチェーンファイナンスのソリューションをXRPL上に構築する計画です。
こういった全てのユースケースで仮想通貨のXRPが使用されるとは限りませんが、ユースケースの増加はXRPの信頼性や知名度の向上につながります。
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