- Coinbaseがニューヨーク事務所を開設、新な人材引き抜き
- Coinbaseがニューヨーク事務所を開設し、記念イベントを開催した。同社幹部は今後の重要施策として「機関投資家向けサービスの拡大」「既存金融サービス出身者を含む積極採用の継続」「アジア/ラテンアメリカを含むグローバル展開」を挙げた。そして早いこと、9月18日に、LinkedInのシニア役員Michael Li氏を自社の『データ』を管理する重役へ。
- Coinbaseとは
- 世界最大手の仮想通貨取引所の一つ。2012年に民泊サービスAirbnb出身のエンジニア、ブライアン・アームストロングと、ゴールドマン・サックス出身のトレーダー、フレッド・アーサムによって設立された。非上場のまま時価総額が10億ドルを超えた企業を、その希少性からユニコーンと呼ぶ。Coinbaseは仮想通貨業界初のユニコーン企業である。
仮想通貨最大手取引所の1つであるCoinbaseがニューヨークに事務所を開設しました。
同社の事業戦略によると、今後、同社がこれまでに雇用してきたNYSE(ニューヨーク証券取引所)やバークレイズ、シティグループといった伝統的な金融機関の出身者が中心的なスタッフとなる見込みです。
また、機関投資家向けのサービス展開を図る同社は、約20人のニューヨーク勤務者を来年にも150人規模にまで拡大したい考えです。
LinkedInからの引き抜き
元シニア役員Michael Li氏は自身のブログを通して、世界最大級のビジネス特化型SNSサービス企業LinkedInから、Coinbaseのデータ管理の役員として加入したことを明かしました。
Li氏は、これまで、LinkedInでデータを金融業務やソーシャルネットワークへ統合することを担当しており、仮想通貨とブロックチェーン分野におけるデータの可能性を見込んでいると語りました。
なお、Coinbaseは、LinkedInの役員から起用するのは今回が初めてではなく、今年の3月にもEmilie Choi氏を『企業買収』部門へ投入した背景があります。
「金融サービスとテクノロジーの架け橋」に
Coinbase Institutionalのアダム・ホワイトGMは開設イベントで、今年に入ってからの仮想通貨相場下落に触れ、
「市場が自律的な修正を始めたようだ。しかし当社が予想した通り、金融サービス事業者や機関投資家は利益を失っていない。むしろその反対に、彼らは足元が不安定に見えるときにこそ参入機会を見る」
と述べました。ホワイトGMはさらに、
「当社の使命は金融サービスとテクノロジーの架け橋になることだ。それには、伝統的な金融サービス企業でキャリアを築いてきたトップクラスの人材から、知見を引き出す必要がある。そしてその才能がニューヨークには集まっている」
と述べました。
機関投資家の来訪増加を想定して、Coinbaseのニューヨーク事務所ではNYSEに匹敵するセキュリティスタッフが警備に当たっています。
個人投資家はどうなる
今後Coinbaseが力を入れていきたいカストディ、資産運用、トレーディングといったサービスは、機関投資家を想定したものに見えます。
これらは一見、Coinbaseがこれまで行ってきた個人投資家向けのサービスや施策と矛盾するようにも思えます。
これに対しBig Board出身のCoinbase機関投資家クリスティン・サンドラ氏は、むしろ連携と分散/流通こそが同社が広く受け入れられるための鍵だとして、
「仮想通貨というエコシステム全体の発展から物事を考えるべきだ。そう考えた場合、適切な機関との連携が必要になる。『機関』『個人/リテール』といった分け方は意味を持たない。エコシステムでは、機関投資家は流通業者的な立ち位置になるからだ」
と述べました。
アジアや中南米への展開も
振り返ってみると、今年2018年の足元の弱い市場環境にあって、Coinbaseはかなり積極的な採用を続けてきました。
現在では500名を超えるスタッフが世界中で働いています。
その観点で見れば、同社が機関投資家や人材を引き寄せたいのはニューヨークばかりではありません。
同社は「より多くの国や地域に、仮想通貨の光と道筋を」との考えの元、この夏には東京事務所を開設しており、アジアや中南米への展開も早急に進めたい考えです。
ホワイトGMは、
「『米国企業である』ことを当社は標榜していない」
と述べています。
参考記事: Coinbase’s New NYC Office to Hire 100 in Wall Street Crypto Push