- トヨタのデジタル広告分野における提携
- 日本市場で時価総額1位を誇るトヨタが、ブロックチェーンを使用した広告分析を行うLucidity社と提携を行った。ブロックチェーン技術を使用し、透明性、効率性の向上が期待されている。
- ブラックボックス化されていたデジタル広告
- デジタル広告分野では、広告詐欺(Ad Fraud)や、可視性(Viewability)の問題があり、その不透明性が払拭できずにいた。しかし、ブロックチェーン技術を使用し、透明性、効率性の向上が期待されている。
トヨタのデジタル広告分野における提携
10月16日、日本の時価総額1位の自動車メーカー「トヨタ」が、ブロックチェーン関連広告分析企業のLucidity社と世界的な広告代理店「Saatchi & Saatchi」と提携を行うことがプレスリリースで明らかになった。
トヨタのデジタル広告キャンペーンに効率化および、透明性をもたらすことを目的としており、既にLucidity社の最適化キャンペーンによって、既存の可視性(Viewability)や詐欺を回避するソリューションを適用した後でも、そのパフォーマンスを21%向上させたと記述されている。
2017年に創業されたLucidityは、2018年にブロックチェーン業界で活躍するスタートアップに与えられる「Blocks Award」を受賞しており、ブロックチェーン基盤のデジタル広告に特化した企業として知られている。
また、イーサリアムブロックチェーンを使用したシステムでは、広告インプレッションの検証、支払い追跡、詐欺の回避などに焦点を当てたソリューションを提供している。
Saatchi & Saatchiは、1970年に創業された歴史ある企業であり、70カ国以上の国々にオフィスを構え、6000人以上の従業員を持つ国際的な広告代理店である。
トヨタのマーケティング・コミュニケーション・マネージャーを務めるNancy Inouye氏は、今回の取り組みに対し、以下のようにコメントした。
今までは、データに基づいた自動デジタル広告の裏側で「何が行われているのか」を明確に検証する術がなかった。
ブロックチェーン技術革命も長い間注目している分野ではあったが、実用的なソリューションを見出すことができていなかった。
今回の(ブロックチェーン技術を活用した)Lucidityとのキャンペーン実施を喜ばしく思う。
さらにトヨタは、当初予定されていた3週間のテスト期間を超え、その契約を続けて行くことを示唆している。
Inouye氏は、Lucidityと共同で行うデジタル広告運用を長期に渡って継続して行くことで、さらに顕著な結果が得られると期待していると指摘している。
ブラックボックス化されていたデジタル広告
Inouye氏は、人ではなく、機械によって閲覧、クリックされ、広告料が徴収されてしまう広告詐欺(Ad Fraud)や、ページ上に表示されてはいるものの、ユーザーの閲覧画面外に広告表示されてしまう可視性(Viewability)の問題などが、現在のデジタル広告業界で蔓延し、その自動配信という分野で透明性が確保されていないことを言及した。
しかし、このLucidityのブロックチェーン基盤のシステムによって、異常な閲覧数やクリック数を誇る不正なアプリやWebサイトを検知し、どこで広告料が使用され、浪費されているのかを検知でき、投資利益率(ROI)を最大限に高めることができると記述されている。
Saatchi & Saatchi社のメディアディレクターを務めるTom Scott氏は、今回の取り組みに対し、以下のように言及した。
アンチ詐欺、可視性フィルターなどの標準仕様もすでに高水準であるが、Lucidityは、それ以上にキャンペーンの最適化で付加価値を付けることに成功している。
プログラム化されたサプライチェーン上で、透明性のあり、整備されたデータへのアクセスを可能にしたことは、この分野における革新である。
さらに今年6月にも、広告ソフトウェア企業Mediaoceanや大手テクノロジー企業IBMがデジタル広告の不透明性を払拭するために、共同で取り組みを開始している。
このように、ブロックチェーン技術は、今後金融業界だけでなく、デジタル広告分野にも大きな影響を及ぼしていくのではないかと期待されている。