はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨の有価証券問題を巡り米SECと初の裁判へ 企業の仮想通貨利用を左右する重要事例に|その重要性を解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Kik社CEO、ICOプロジェクトの有価証券性について疑問
メッセージアプリ「Kik」を提供するKik社が独自発行した仮想通貨プロジェクトの有価証券性を巡って米SECと裁判での抗戦も辞さない姿勢を示した。本件の判断次第では、有価証券性に大きな前例ができる可能性があり、今後の仮想通貨市場に最注目の裁判となるだろう。

Kik社CEO、米SECと独自通貨の有価証券性巡り裁判辞さない姿勢

人気メッセージアプリ「Kik」を提供するKik社が、米SECと同社が発行した仮想通貨の有価証券性に関して、裁判に行く可能性が浮上していることがわかった。ウォール・ストリート・ジャーナルが報道した。

Kik社のCEOであるTed Livingston氏もWSJの記事公開直後に、同社の公式ブログを通じて米SEC(証券取引委員会)と対抗していく理由について言及しており、本格的な有価証券問題に関して、米国初の米SECとプロジェクト間での裁判に発展しそうだ。

本件の判断次第では、有価証券性に大きな前例ができる可能性があり、法的な明確化がないことで、仮想通貨を利用を目論む企業参入拡大につながることや、同内容でも悩まされている米リップル社などにも影響する事例となるかもしれない。

本記事ではKik社のCEOがなぜ米SECと裁判での抗戦も辞さない姿勢も示すまで至ったの経緯と最新情報をまとめて紹介する。

経緯を説明

まず、LINE、WhatsAppなどと並び、世界的に利用されているソーシャルアプリ「Kik」は2018年3月、独自の仮想通貨「Kin」を発行する方針を明らかにした。

同社はICOを通じて、約1億ドル(約109億円)のトークン販売に成功、昨年でも上位に入る資金調達額を記録するなど、世界的にも注目が集まったICOの中の一つだ。

仮想通貨KINとは

KinはソーシャルメディアアプリKikがローンチしたKinエコシステムの中での日常オンライン活動(メッセージ、SNS、決済など)のデジタルサービス決済の利用を目的としたイーサリアムベースの仮想通貨。

動画内では、Kik社の創設者で、CEOのTed Livingston氏がKinの説明やなぜ価値があるのか、などを紹介しているため、合わせて掲載する。

SECからの摘発

有価証券の問題が持ち上がったのは2018年11月、米SECの長官であるJay Clayton氏は大型仮想通貨カンファレンスで原則的に「ICOは有価証券として捉えるべき」と発言していたことに始まる。

以前、Clayton氏は「有価証券ではないICOをまだ見たことがない」など、ICOに対して厳しい姿勢を見せていた。

Jay Clayton氏の詳しい発言はこちらから。

米SEC長官が「ビットコインETF承認・有価証券問題」の必要事項を明確化|仮想通貨リップル(XRP)証券性に関する質問も
米SECの長官を務めるJay Clayton氏は米国27日に開催された大型カンファレンスConsensus Investで登壇し、ビットコインETFや仮想通貨の有価証券問題等について言及したことが注目を集めている。また未だ不透明なままのリップルの証券性についても触れた。

またICO全体への言及に留まらず、米SEC(証券取引委員会)はKinのトークンセールが。投資家に投資判断する上で必要な情報を開示しなかったと名指しで指摘。11月16日に、同社に対して「Wells notice」を発令していた。

Wells notice

米SECが有価証券に関する取り締まりを発令するまえに企業や人物に提出する通知書。通知はSEC側が既に判断を下しているが、罰金などを下す前の段階で該当団体に送付される。

この文書内にて、SECの規制部門は「なぜKinのトークンセールが有価証券に該当するか説明した」とLivingston氏は述べているが、SECはKik社を詐欺として取り締まっているわけではなく、証券法に違反している件を指摘している。



Kik社は反論へ

Kik社は12月6日、SECの文書に反論する形で、40ページに及ぶレスポンス文書(Wells Response)をSECに対して提出した。

出典:kinecosystem.org

Kik社は仮想通貨Kinが有価証券ではない主な理由として、同通貨が「ユティリティートークン」として説明された上で、販売されていたことを強調。また1934年の証券法を引用し、SECが70年以上前に発令した法令が「通貨」は有価証券に該当しない点を指摘している。その上で以下のような声明を発表している。

今日、Kinは30以上のGoogle PlayやIOSアプリストアで利用できる。既に何百、何千という人々がKinを商品やサービスと交換する為に利用しており、Kinは実際に「通貨」である数少ない仮想通貨である。

また同社ブログ内で、Livingston氏は「仮想通貨が次世代のイノベーションをもたらす」とブロックチェーン技術の重要性について期待感を示し、仮想通貨関連の規制における明確化が必要不可欠であるとした。

その上で、Kinだけではなく、多数の仮想通貨ICOプロジェクトも現在同様な状況にあると説明し、業界の存続と発展にはKik社が変革を起こす必要があると述べた。

なぜこの裁判が重要なのか?

まず、過去に有価証券ではないとSECから明確に認められた仮想通貨は、今だにビットコインとイーサリアムだけであり、多くの仮想通貨は米国における分類が明確化されていない状況にある。

要するに、仮想通貨はその利用ユースケースが注目されていた事例ではあるが、既存の企業が仮想通貨を利用したプロダクトを公開しようにも、その通貨の明確な定義がないことから、企業が法令遵守した形での公開ができない状況下にある。

また、世界各地で異なる法律があるが、米国の判断事例は世界的にも影響力が大きく、米SECの動きを見ている政府も多くあることが予想され、仮に有価証券に該当しないとの判断が(いちICOプロジェクトに対して)行われた場合、企業によるユースケースや仮想通貨を利用するプロダクトの拡大に大きく影響をあたえる事例となる可能性がある。要するに企業の参入障壁が大きく変わることになることを示すことにになる。

業界に詳しいJoseph Young氏の見解も合わせて掲載する。

仮想通貨専門家のJoseph Young氏もKik社の裁判が重要な前例を築くとして重要視している姿勢を明らかにした。

Kik社の裁判は昨年トークンセールを行った企業にとって重要な前例を築くかもしれない。

Kik社はSECを裁判で対抗する。もしSECが敗訴した場合、今後規制当局は多くのICOプロジェクトを(未登録有価証券として)取り締まることができなくなる。

しかしKik社が負けた場合、ICOプロジェクトに大きな波紋を及ぼす可能性がある。

先週CboeがビットコインETFの申請が取り下げたものの、米政府のシャットダウンが暫定的に決まった現在、米SECの動向に再び注目が集まる。

▶️本日の速報をチェック
CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者11,000名突破。

CoinPostの関連記事

米SEC、4部署の通常業務再開を公式発表|ビットコインETFやBakktの申請状況への影響は
25日に一時的に終わった米政府閉鎖、SECはこれにて各部署の通常業務を再開すると公式で発表した。今回の政府再開は3週間に限られるため、ビットコインETFの申請を取り下げたVanEckや、現在申請中のBitwiseにどのように影響があるかは未だ不透明とされる。
2018年、仮想通貨に対する米国証券取引委員会(SEC)の動向の総括
SECの動向は仮想通貨市場において非常に大きな影響力を持つ。2018年は、その中でも、特に証券問題やビットコインETFの承認の是非といったテーマが注目された。本記事では、それら2018年のSECの動きを総括していく。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
09/14 日曜日
16:00
DeFiが抱える最大の課題は? トークン化時代見据えソラナ財団らが議論|WebX2025
WebX2025でソラナ財団やBNBチェーンからDeFiの専門家が集いパネルセッションを行った。現在の課題やトークン化などの潮流、今後の各プロジェクトの展望を議論した。
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、トム・リーのBTC年内20万ドル到達予測やDOGEのETF上場計画など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
来週FOMCの焦点は? テクニカル的な買いがビットコイン相場を押し上げる可能性|bitbankアナリスト寄稿
bitbankアナリスト長谷川氏による今週のビットコイン週次レポート。米雇用統計の大幅下振れとインフレ鈍化を受けFRB利下げ期待が高まり、BTC円は8月23日ぶりに1700万円を回復した。来週のFOMCでは年内3回の利下げ織り込みと政策金利見通し下方修正が焦点。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|新経連の仮想通貨税制改正提言に高い関心
今週は、トークン化されたポケモンカードのブーム、ナスダックのトークン化株式の取引承認申請、一般社団法人新経済連盟の仮想通貨税制改正提言に関する記事が最も関心を集めた。
09/13 土曜日
15:00
日本のRWAトークン化の最前線、市場の特徴や展望は?|WebX2025
日本のRWAトークン化市場についてWebXでディスカッションが行われた。最前線にいるプレイヤーを招き、市場の特徴や展望、制度上の課題などについて話してもらった。
10:35
ビットコイン上昇鈍化、株との相関崩れる:トレジャリー企業動向と利下げ観測が焦点|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは上値の重い推移を続けている。米株価指数や金(ゴールド)が最高値圏に位置している一方で、ビットコインは上昇に伸び悩んでいる。その背景は?
10:00
コインベース、SECの文書破棄を問題視 裁判所に制裁求める 
仮想通貨取引所コインベースが米証券取引委員会の公文書破棄を問題視し、連邦裁判所に制裁措置を求めた。ゲンスラー前委員長のメッセージが破棄されていたことが監査で判明した。
09:45
Blockstreamら3社、東京で非公開のイベント開催
仮想通貨ビットコインのインフラ開発企業Blockstreamらは東京で非公開のイベントを開催。テーマは「ビットコインとRWAでアジアの金融変革を推進する」である。
08:40
イーサリアム、機関投資家需要拡大でオンチェーン活動が過去最高水準到達
Cryptoquantの最新レポートによると、イーサリアムは機関投資家の需要拡大により強固な上昇サイクルを示している。
07:10
ポリマーケット、90億ドル評価で資金調達検討 チェーンリンク提携も
予測市場プラットフォームのポリマーケットが90億ドル評価での資金調達を検討している。競合のカルシも50億ドル評価での調達を進めており、両社の成長が加速している。
06:30
WLFI、トークンバーン提案で99%の賛成票を獲得
ワールド・リバティ・フィナンシャルがWLFIトークンの買い戻し・バーン提案を発表した。現在99.57%の賛成票を獲得し、流通量減少によるパフォーマンス改善が期待される。
06:10
ジェミニがナスダック上場実現、ウィンクルボス兄弟はビットコイン100万ドル到達を予想
ウィンクルボス兄弟の仮想通貨取引所ジェミニがIPO上場を果たした。株価は28ドルから40ドル超に上昇し、ビットコイン100万ドル予想も発表した。
05:45
テザー社、米国規制対応ステーブルコインUSATを発表
テザー社が米国規制準拠のドルステーブルコインUSATを発表。ホワイトハウス仮想通貨評議会の元高官ボー・ハインズ氏がCEOに就任。
09/12 金曜日
16:00
AIと仮想通貨がもたらすサイバー空間の新たな脅威|WebX2025で語られた国家安全保障・金融リスク
大型Web3カンファレンス「WebX」では「クリプト・サイバーリスク: 国家安全保障、金融、Web3」をテーマとしたパネルセッションが開催され、金融犯罪や仮想通貨犯罪を助長すると同時に防止にも役立つという二面性を持つテクノロジーの使用に焦点が当てられた。
14:52
GateグループCEOのハン博士がCEX・DEX市場動向を解説、今後の日本展開計画も明らかに|WebX2025
Gate.ioのリン・ハンCEOがWebX 2025で登壇。世界3,600万ユーザーを抱える同社がCEXとDEXの市場分析を発表。2030年までのビットコイン価格予測や日本でのライセンス取得、2025年中の日本市場参入計画について言及した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧