ビットコイン相場と金融マーケット
28日の暗号資産(仮想通貨)市場。 ビットコイン価格は、前日比+7.1%の436万円(39,700ドル)と力強く反発。一時4万ドル台を回復した。
昨日は、急騰の反動で41,000ドル前のレジスタンスラインを前に失速。米Amazonのサービス導入リーク報道否定で下げる場面もあったが、36,500ドルで下げ渋ると、結果的に押し目となり再上昇に転じた。
26日の上髭を即座に吸収したほか、これまで上値抵抗線となっていた36,000ドル付近を割り込まずにロールリバーサルしており、先日までとは打って変わって投資家の買い意欲は旺盛だ。
日足レベルで1つ上のレンジに移行(②→①)しており、デリバティブ市場のファンディングレートを含め下目線に偏っていた中、現物市場主体で潮目が変わった可能性を示している。
現時点で上昇トレンド入りと判断するのは早計であり市場も半信半疑だと思われるが、50SMA(日足50日移動平均線)が再び上向いたほか、雲上など抵抗帯の重なるゾーン(③)、あるいは200SMAの44,643ドルを超えてくるようであれば、「トレンド転換」の確証を強めることになりそうだ。
週足では、前々週の陰線を下髭陽線(包み線)で否定しており、次の足でもレンジ上限を試すなど、やはり強めの反転シグナルが確認される。
センチメント改善も見てとれる。投資家の心理状態を示す「Fear&GreedIndex」は、しばらく極度の恐怖状態にあったが、本日下落トレンド転落以来初となる「中立」を示した。同指標は、ボラティリティ、市場のモメンタム、SNSの感情分析、ドミナンス、Googleトレンドから算出される。
一方、27〜28日には米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えるほか、中国当局の締め付けの影響による中国株の暴落など、相場の不確実性も懸念される。4万ドルを抜けきれずに転落すれば、再びレンジ下限の3万ドル前半を試しにいく可能性があるほか、41,000〜42,000ドルは厚めの上値抵抗線があり、売り圧力を確認することになるものとみられる。
追従するアルト市場
ビットコイン復興により、5月上旬移行低迷していたアルト市場も回復基調にある。
Coinmarketcap時価総額2位のイーサリアム(ETH)は、3年前の最高値1,420ドルまで下落することなく、1,700ドルの下値支持線で3度耐え抜き、底打ち反転。2,300ドル台を回復した。
8月4日頃には、注目度の高い大型アップグレード「ロンドン・ハードフォーク」を控えている。
ETH/BTC建で見ると、下落トレンドからの転換期に起こりがちなビットコインへの資金集中が確認されるが、このまま一極集中してアルトドレイン現象が本格化するのか、リスク選好が強まりアルトシーズン再開となるか、相場のサイクルを見極めたいところだ。
グレースケールGBTCの乖離縮まる
直近では、グレースケールの投資信託「GrayscaleBitcoin Trust(GBTC)」におけるプレミアム(ディスカウント)が急改善している。
We need @Grayscale Premium to flip positive in order to get any meaningful $BTC price action.
— Nick Hellmann (@stunad620) July 21, 2021
Reason being is wall street would rather buy discounted coins in the form of $GBTC over actual #Bitcoin when the product is running at a discounted rate or negative premium. (-14.46%) pic.twitter.com/RDecr072AV
GBTCの現物乖離は需要と供給によって変動するもので、2021年以降の強気相場では、純資産価値に対して大きなプレミアムが付き、相応の裁定取引(アービトラージ)需要が生じていた。
その後マイナス乖離への転落は、今年2月に北米初の「ビットコインETF(Purpose Bitcoin ETF)」が承認・トロント証券取引所に上場したことや相場環境の悪化などを受け、ビットコインへのエクスポージャーを求める伝統金融市場の機関投資家による保有量(需要)減少が響いた。
なお、Purpose Bitcoin ETFへの流入は、前週比+2.28億ドルと5月中旬以降最大の伸びを観測し、運用資産額は11億ドル規模に達するなど、機関投資家需要の拡大を示している。